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ユンギボの日記

ネタバレなしの映画感想日記。

「大畑創映画大会」

本日、エムズ・カンティーナで上映された「大畑創映画大会」へ 行ってきました。

大畑監督作品11本+トークイベントの6時間! まさに大畑マラソン。



『大拳銃』(31分/2008年)
出演:小野孝弘、宮川ひろみ、岡部尚
廃業寸前の町工場が謎の男の依頼でピストル作りに着手。どんどん追い詰められていく町工場のオヤジがプッツンして、『タクシードライバー』化するクライマックスの力強さ&破天荒さに驚愕。凄まじさは『マッドマックス2』レベル!!

Trick or Treat』(30分/2013年)
出演:比嘉梨乃、黒田有彩フォンチー
何かを企んでる女子大生2人が政治家の娘に近づいていく前半はショーもないサスペンスかと思ったら、クライマックスは狂気と涙のテロリズム爆発!
いよいよ、頭おかしい!

ハカイジュウ PV』(1分/2012年)
出演:緒沢あかり、仁科貴
僅か1分のハカイジュウ登場シーンに唖然とする程のインパクト。この映像を作ったのに大畑監督に実写化本編の企画が上がらないのが不自然!

「大畑監督×田野辺尚人(『別冊映画秘宝』編集長) トーク 」
2人の出会いから、田野辺キャップが語る当時の大畑監督。そして、大畑監督を過小評価してる邦画界への切り口鋭利な田野辺節。大畑監督の映画元体験と影響を受けた作品談、田野辺キャップの映画への情熱と冷静な分析力が爆笑と共に語り倒し。勉強になりました!

『ラップ現象』(3分/2006年)
これはレア! 過去に一度だけイベント上映されたという学生時代の初監督作品。詰め込まれたユーモラスと突然の無意味なヴァイオレンス。ラップの使い道の変化……と後の作品で登場する大畑監督のエッセンスがギューギューでした!

怪談新耳袋『庭の木』(5分/2010年)
出演:高月彩良、おぞねせいこ、篠原篤
5分という小話な尺ながら、コミカルに不気味を語る独特の語り口が斬新。笑って見ながら、ラストでゾッとする世界観はシッカリ大畑色。

リアル鬼ごっこライジング『佐藤さんを探せ!』(33分/2015年)
出演:竜跳、川口和宥、篠田涼也、仁科貴
小学生たちと連続殺人犯の出会いからミスリードを誘い「まさか、そーきたか!!」の後半の展開。まともに見えて、やってる事がキチガイな殺人犯へのサスペンスが子供の純粋悪へとシフト・チェンジする後半にテンションアップ!

鬼談百景『一緒に見ていた』(8分/2016年) 
出演者:淵上泰史、屋敷紘子、緒沢あかり
逆怨み幽霊の登場にユーモラスとホラーが同居。地味に嫌な恐怖描写で作品の世界観へグイグイ引き込む演出力バツグンな短編。

鬼談百景『赤い女』(14分/2016年) 
出演者:高田里穂、加弥乃、比嘉梨乃
都市伝説的なエピソードを先の読めないドンデン返しで料理する大畑演出。女子高生たちのキャピキャピ感が悲鳴に変わる落差演出は『悪魔のいけにえ』級。

「大畑監督×内藤瑛亮(映画監督)トーク」
同じ映像学校出身だったり、同じ企画に参加してたり、同じ映画祭を回っていた事もあり、リラックスした雰囲気のトーク。2人の共通エピソードから、お互いの映画への展望。そして、暴露大会化。居酒屋ノリで笑いの絶えないトークでした。


『NONE』(25分/2015年)
出演:石川絢子、酒井杏奈、勝地翔太
統合失調症」や「集団ストーカー」、さらに謎の宗教めいた組織の登場と俳優学校内の実習作品とは思えない現代の闇テーマを魅力的に披露。長編化企画があるという更に魅力的な作品。今までで1番、力の入ったストーリーテリングの手管に大畑監督の実力を感じました。

ABCオブデス2『Ochlocracy』(5分/2015年)
出演:森田亜紀、小野孝弘、仁科貴、芦原健介
コミカル系ゾンビで裁判劇という斜め上の設定で押し通す短編。ホントにこーゆー三谷幸喜とかがやりそうな事を三谷幸喜より面白く撮るのだから、たまりませんなー。

『へんげ』(54分/2011年)
出演:森田亜紀、相澤一成、信國輝彦
大傑作! まさに、ホラー要素もサスペンス要素もオカルト要素も詰め込み、まさかの特撮へ着地するというワガママが過ぎるぜな一本。本日、ラストの作品にしては満腹感がハンパないッス!
大畑監督、もう食べられません。

「大畑監督×森田亜紀(女優) トーク」
何作も監督の作品へ出演している森田さんだからこそ明かせる気心知れた裏話&壮絶な撮影秘話の数々。いやいや、『へんげ』でお腹いっぱいだと言ってるのに、割りとハードなパフェとかのデザートを出された気分。
最後は『NONE』出演の若手俳優陣も登段し、華やかなラストを迎え、本日、終了。


先着10名にプレゼントされたポスターに大畑監督と森田さんのサインをもらいました。喫煙所で我が憧れの田野辺キャップと談笑できました。こんな「大畑創映画大会」 を満喫してる人はいないんじゃないかと思うくらいの満足感。
帰りにTSUTAYAで『劇場版 稲川怪談かたりべ』を借りて帰宅しました。

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『「描く!」マンガ展 ~名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ~』

本日、川崎市民ミュージアムで『「描く!」マンガ展 ~名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ~』という企画展示を見てきました。

手塚治虫を始め、赤塚不二夫石ノ森章太郎藤子不二雄A水野英子あずまきよひこさいとう・たかを島本和彦竹宮惠子平野耕太PEACH-PIT陸奥A子諸星大二郎などなどベテラン漫画家さんたちの原画をもう惜し気もなく展示。各漫画家さんたちが漫画界に与えた影響を解説しながら、漫画の歴史と主に絵のタッチの変化を辿っていく有意義極まりない展示でした。さらに、田中圭一先生による解説文章が細かい細かいで、ちゃんと読みながら&見ながらで回ったら、2時間でも足りないレベルでした!
開館から行ったのに、土曜日なんで人も多かったです。

もう1つ人の多かった理由が、今日は田中圭一先生と夏目房之助先生の「ものまねマンガ談義 線上の模倣者」というトークイベントがあったんですねー。こちらも満席。

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夏目先生のアカデミックな漫画論と田中先生のパロってる間に発見した経験論が白熱。気がつけば
手塚治虫の女性キャラはとにかくエロい」➡
「なぜ、手塚はエロいのに、直系の石ノ森章太郎の女性キャラはエロくない?」➡
「『ワンダースリー』のポッコ隊長がとにかくエロい。ウサギなのにエロい」➡
「ポージングがエロい」「いやいや、線がエロい」
という中学生みたいな居酒屋感あふれる会話を田中&夏目両先生が実際に単行本を見比べたり、描いてみたりして、談義するという夢のような雑談光景。会場内、大爆笑!

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さすがの夏目先生。手塚治虫の過去発言やエピソードを交え、手塚の意識や心境の変化を考察していくんですね! 「こーゆー考え方をしてるのか!」と思わず膝を叩きましたよ!
夏目先生による60年代手塚タッチ&田中先生による70年代手塚タッチのコラボから始まり、手塚死後の2000年代以降のマンガの流行り絵あるある……と2人共、サクサク描ける人たちなんで、悪ノリがアカデミック!!
メチャクチャ勉強になりました。

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余韻に浸りながら図録を読もうと思います。

『ブリーダー』感想

さっき、新宿シネマカリテで『ブリーダー』を観賞。
『ドライブ』(2011年)が大ヒットしたニコラス・ウィンディング・レフン監督。彼が、1999年に発表したデンマーク時代の監督第2作目が本作。やっとこさの日本公開ですよ。最近は新作の『オンリー・ゴッド』で観念的世界観を爆発させ、映画ファンたちをキョトンとさせたレフン監督がまだまだネクスト・タランティーノと呼ばれていた頃のちょっとユーモラスなクライム・サスペンス映画が本作なんです。と思ってたら、タガの外れた飛んだオタク映画でしたよ。
デンマークのスラム感ある下町で、夜な夜な集まって映画上映会をしてる愛すべきボンクラたちの全くテイストの違う2つのエピソードが同時進行で描かれていきます。
主役の1人が今やテレビ・シリーズ『ハンニバル』でサイコパスの代名詞的なキャラクター=レクター博士役を演じ、上品なイケメンっぷりを存分に振りまいていたマッツ・ミケルセン。本作では、まさかのレンタルビデオ屋で働く映画オタク役なんです。部屋には『マッドマックス』や『ドラゴンへの道』『タクシードライバー』などのポスターがワサーっと貼られており、オタクとしては信用できるが、悲しいくらい全然、イケてない人物。
そのオタクっぷりが完全にどーかしてるレベル。客にオススメを聞かれ、店内に置いてあるビデオの監督名をひたすらマシンガンのよーに羅列。客をドン引かせる素敵さ。それに対して客が「ポルノはある?」と返した時の露骨な落胆っぷりが微笑まし過ぎて笑えます。
そんな彼も恋をしてるんですね。来店した女の子に惚れ、勇気を振り絞って掛けた言葉が「キミ、『カジノ』借りたよねー?」って(笑)。ちなみに、彼女は『アルマゲドン』くらいしか知らない読書好き女子。さらに、彼女が気を使って「好きな作品は?」と聞いてくれたのに、即答で『悪魔のいけにえ』って。しかも、よく見たら『フランケンシュタイン』や『プラン9・フロム・アウタースペース』(エド・ウッドのB級カルト映画)のTシャツ着てるし!
レンタル屋の店長にも
「『猿の惑星』シリーズで1番、好きなのは?」
「1作目。」
「じゃあ、『13日の金曜日』では?」
「3作目。」
「おいおい、ウソだろー? だって……」
「お前なー!! 映画の話以外できないのか?!!」
とキレられ、自分の話かとドキッとしましたよ。

一方、そんなオタクの映画友達はクラブでチンピラたちのガチなドツキ合いを目撃した事から、不安に駆られ銃を調達。どんどんヴァイオレンスな世界へ堕ちていく、こちらは打って変わって超シリアスなエピソードが同時進行で描かれます。
不安に駆られ、過剰防衛していく様はチャールズ・ブロンソンが過度な自警団化していく『狼よさらば』やデ・ニーロが武装化していく『タクシードライバー』にソックリ。しかも、妊娠している彼女にイラつき、手を上げてしまい、彼女のチンピラ兄貴にチクられるシーン。これは『ゴッドファーザー』のコニーが亭主の暴力をソニーに伝えるシーンと同じじゃないですか! さらに、チンピラ兄貴が階段で待ち構えてる描写は『ゴッドファーザー PARTⅡ』のビトーが初めて人を殺すシーンに激似! どこまでオタクなんだ、レフン!!

要は、映画オタクの日常ってのはレフン監督自身の日常で(ちょっと一般的ではないですが)、その日常の裏では、銃を手に入れた事からチンピラ兄貴と物騒な対立関係になっていく友人のようなデンマークの下町の日常があるんだ……という映画なんだと思います。そーゆー意味では出世作『プッシャー』3部作や『ドライブ』と同じテーマを内包しているんです。

ちょっと中盤がダラダラしてますが、登場人物たちが歩いてる画に、それぞれタイプの違うロック音楽を被せ、キャラ紹介をしてしまう力業、先の展開を暗示させるよーに画面全体が赤一色になる演出など、単純ながら意外と新鮮でスタイリッシュな演出にセンスをビンビンに感じさせてくれます。何で今までソフト未発売、日本未公開だったんだー。果たしてソフト化されるのだろーか……。

『ブリーダー』
★★★☆☆
星3つ

【イベント】夏のコミケ2016

2016年8月14日(日)、夏のコミケ2016へ行って参りました!!

10時00分頃
起床するなり、Twitter田中圭一先生がコミケでブースを出してる事を知り、潔く映画館へ行く予定を全キャンセル。行き先をビッグサイトへ軌道修正。
一昨年くらいの夏のコミケにも行った過去の経験から混むと解っていたので、YouTubeで検索。情報収拾。各局ニュース番組の動画を観賞。
メッチャクチャ混む事を再認識。
「始発で向かう奴らが居るのだから、14時くらいに会場入りすれば、ガチの人達と入れ違いでスムーズに入れる」と計算。

13時30分頃
出発。

14時30分頃
国際展示場駅ビッグサイトの最寄り駅)へ到着。
思ったより人が少なく、風もあって涼しい。時間を遅らせたのは正解だったと確信。駅から出るのも非常にスムーズ。
前文撤回。重要事項につき繰り返す。前文撤回。ビッグサイトに入るまでが人の山。オタクたちは周りに気をとられたり、ケータイをイジるので忙しく、とにかくブツかって来る。大量の紙袋による体当り爆弾。恐るべき、現在のカミカゼ! 退破(心が)。
心を穏やかに保つのだ、パダワン。

14時40分頃
会場入り口周辺でコスプレ祭り絶賛開催中の模様。兎に角、前がつっかえて、少しずつしか進軍できず。各方向からの隊列(……いや、もはや列でもない)が鉢合わせ状態。まるで真冬の八甲田山のよう(暑いけど)。
どーやら、アマチュアカメラマン軍団とコスプレイヤー軍団による紛争がおきている様子。その事による渋滞と思われる。
「大丈夫。こーゆー時は人の列について行けばスムーズに会場へ入れるはず。」
と着いて行ったのが、コスプレ祭り行きの列だった。入り口前で迷子。

14時50分頃
無事、会場内へ進軍。一目散に田中先生のブースの位置を確認。西館へ向かう。しかし、どのコスプレも全く何のコスプレなんだか解らなかったなー。あずき色のジャージ上下を着ていた女の子は何のコスプレなのだろーか?

15時00分頃
会場内、全く解らず、迷子。こうなると方位磁針も何の役にもたたない。何とか目視のみで田中圭一先生のブースへ到着。
この日1番のスムーズさでお目当ての本を購入。大変、恐縮しながら他のお客さんと雑談していた田中先生を捕まえて、サインをねだる。快くサインをしてくれた田中先生に感謝しながらブースを後に。

15時10分頃
「もう帰っても良いんだけど、せっかく来たんだし……」と辺りをウロウロ。

15時20分頃
飽きた。そもそも、何のマンガかアニメかも解らないのに、見て回ったって何にも興味が沸かない。
とりあえず、「せっかく……」の気持ちを大切に東館への進軍を決意。

15時30分頃
東館へ到着。
よもや、西館と同じよーな風景だが、閉会が17時までのせいか、せっかちに片付けてしまっているブースも結構、目に入る。そんな中を散歩。

15時31分頃
迷子。

15時33分頃
飽きた。

15時40分頃
喫煙所で一服。

15時45分頃
帰ろう。

その時、とっさに「そもそも、閉会は17時まで何だから、16時まで残ってる人間は最後まで居るのだろう。今なら駅は空いてるぞ!」と素晴らしく勘を働かせて駅へ向かう。

16時00分頃
激混みでした。遠くに見える駅に人が入りきっていない。溢れかえっている。恐ろしい。

16時01分頃
早々に諦めた。
一駅先の東京テレポート駅へ向かう事を決意。

16時10分頃
歩き始めて驚愕。東京テレポート駅へ向かう道中、コスプレイヤー軍とアマチュアカメラマン軍の戦場の真っ只中に迷い混んでしまったではないか。小生は勿論、武器(カメラの事)を持っていない(それ所か手ぶら)ので戦線離脱。見学程度に見て回る。もはや、戦争と言うよりカーニバル。

16時50分頃
ダラダラ寄り道しながら戦地を見て回った為、到着が遅くなってしまった。だが、さすがにもう人は少ないはずと予想。

16時52分頃
満員!! 全力で満員!! 全く電車に乗れない。

17時10分頃
3本分、待って乗車。

18時10分頃
無事に帰宅。
5時間弱の旅でした。

『シン・ゴジラ』(MX4D版)(2D通常版)感想

2016年8月10日(水)、『シン・ゴジラ』(MX4D版)を越谷レイクタウンで。8月12日(金)はユナイテッド・シネマ浦和で(2D版)を観賞して来ました。

始まって早々から、豪華キャストによる長ゼリフを1カット&細かいカット割りでポンポン進めていくテンポの良さ。これは、まるで岡本喜八監督のオールスター映画『日本のいちばん長い日』のような演出。テロップの出し方までソックリ。『日本のいちばん長い日』は昭和天皇玉音放送までのメチャ多い登場人物たちと、メチャややこしい状況を勢い任せのハイテンポで語り倒していました。が、本作では謎の巨大生物=ゴジラの出現⇒対策に追われる政治家たちや科学者、自衛隊などのメチャ多い登場人物たちと刻一刻と進展し続ける状況を圧倒的なハイテンポで語り倒してましたね。「怪獣が出たら日本政府はどのように行動するか?」をひたすらリアルに描いた本作のポリティカル。

モンタージュのような編集で時系列を追っていくという点では、本作の総監督である庵野秀明監督が総監督を担当した『ガメラ3 邪神覚醒』のメイキングビデオ=『GAMERA1999』を思い出しました。本作の監督&特技監督である樋口真嗣監督が『GAMERA1999』の中で「ガメラの呪縛」に頭を抱えていた姿を見ていただけに、本作のCGゴジラとかは感慨深いものを感じました。ちなみに、本作のキャッチコピーは「現実対虚構」ですが、『GAMERA1999』の最後には「虚構と現実、そして夢は続く。」というテロップが出ます。続いた夢の先が本作という事ですかね。

庵野監督は大の岡本喜八ファンを公言しており、自作の『トップをねらえ!』では岡本監督の『激動の昭和史 沖縄決戦』を丸パクリした程。実際、ゴジラの正体をハンパに残し、冒頭で行方不明になった科学者の顔写真は岡本喜八監督の生前の写真を使ってるんですわ。本作にも倒壊した東京のシーンの中に『激動の昭和史 沖縄決戦』と同じ構図のカットがありましたよ。オタクですねー。
もっと言うと、庵野作品は押井守監督も意識してるよーに思います。押井監督の劇場版『パトレイバー』もキーになる重要人物がヒントを残し、冒頭で疾走。その後、登場人物たちがヒントを解読しようと、あーだこーだするミステリー展開でしたが、それは本作と同じ展開。庵野監督の過去作『式日』は「誕生日である明日が訪れない少女の話」でしたが、これは押井監督の劇場版『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』の「いつになっても文化祭当日を迎えない話」と一緒ではないですか。庵野監督は『ビューティフル・ドリーマー』と同じテーマを『式日』で庵野流に語りなおしたよーに思います。実は、庵野監督はテレビシリーズの『うる星やつら』や押井監督の『天使のたまご』に原画で関わってた過去があります。どーゆー間柄か知りませんが、押井監督の『スカイ・クロラ』が公開される際には庵野監督が予告編の演出をしています。著名な映画監督が多数、出演している本作(塚本晋也監督、犬童一心監督、原一男監督、緒方明監督、松尾スズキ監督)。押井守監督にもオファーがあったのでは?

逆に庵野監督ならではなのが、こだわりの引き画のレイアウト。さらに『ラブ&ポップ』や『式日』等でよく見る変わった所からのアングルも健在。『ラブ&ポップ』では電子レンジの中から、『式日』では電車の模型からのアングルがありましたが、本作では受話器やキャスター付きの椅子やパソコン画面からのアングルと相変わらずの変わり者目線が楽しかったですね。

そんな庵野監督の映画愛溢れる本作ですが、勿論、子供向け映画になる前の第1作目の『ゴジラ』オマージュも。まずゴジラの造形も初代ゴジラを踏襲したもの。太い足、細めの体、丸っこい頭は完全に原爆のキノコ雲風味に戻されてるんです。初代『ゴジラ』は1954年公開作品。戦後の焼け野原から9年しか経ってない時代に公開され、その設定も水爆実験による突然変異という設定でしたが、今作のシン・ゴジラ放射能による突然変異設定。3.11を経験した今の日本は戦後の恐怖に引き戻されてしまったですね。ゴジラにより被災した東京の街並みや避難所に集まる人々なんて、まるで東日本大震災の映像。
つまり、シン・ゴジラは災害や放射能の象徴。なもんで、どこか神々しい感じがしました。生き物らしくない。手が小さい。てか、手を使わないんです。神様っぽくないですか? 手をかざすだけで思い通りなる神っぽさ。そんで、胸の辺りの筋の間が赤いんですよ。切り傷みたい。体の中に核を仕舞い込んでて、今にも爆発しそうな感じなんです。でも、全然、あせった様子は無いんです。むしろ、ノッシノッシ……とゆっくり歩いてくる。体中、傷だらけなのに全然、平気な感じとかも神っぽいなー……って思いました。
庵野監督だからか、どこか『エヴァ』っぽい感じもあるなー」とかって思っていたら、『エヴァンゲリオン』の曲が使われてるじゃないですか!! 『エヴァンゲリオン』が新たに作り直された時、『新劇場版』になったよーに、『シン・ゴジラ』の「シン」って「新」「真」「神」って意味以外に「庵野秀明ゴジラ」って意味もあるんじゃないのかって話!! だから、庵野監督が『風の谷のナウシカ』を作ったら『シン・ナウシカ』ですよ!!
でも、安心して下さい。ちゃんと伊福部昭の作曲した「ゴジラのテーマ」も使われてるし、過去作品では自衛隊の出撃シーン等でよく使われていた「怪獣大戦争のマーチ」まで解ってるネなタイミングで使われています!! もう、思わず泣いちゃいましたよ。。。。

あと、泣いちゃったのは、悪い人が出てこない所ですね。これだけ政治家が大勢、出てくるのに、みんな国の為を思って、発言&行動してるんですよ。そこも『日本のいちばん長い日』同様ですね。最近だと、「政治家=悪い人間・自分の私利私欲ばかり考えてる人間」と描写されるのが当たり前じゃないですか。恐らく、こんなガチで日本の行く末を考えてる政治家なんて現実にいないんですよ。そんな現実とのギャップにより、ゴジラよりもフィクションの登場人物となってて、ボクは泣けましたね。「あー、こんなに日本の事を考えてくれる政治家っていないんだろーなー」って。

他に圧巻なのは、超豪華キャスト。長谷川博己石原さとみ松尾諭國村隼ピエール瀧樋口真嗣監督の『進撃の巨人』で共演してましたね。『進撃の巨人』ではほぼ絡みが無かった長谷川博己石原さとみですが、本作ではガッツリ絡んでますし、『進撃の巨人』ではオタクキャラを演じた石原さとみのキャラクターが違い過ぎるのも面白かったです。ピエール瀧は相変わらずの軍人役(自衛隊は軍人ではないですが)。長谷川博己を色々とサポートしてくれる役所の松尾諭はフジテレビのドラマ『デート ~恋とはどんあものかしら~』でも長谷川博己のおせっかいな友人役で共演しており、これまたパラレルワールドを覗いてるようで面白かったです。
『日本のいちばん長い日』よろしく、アホみたいに登場人物が多いので、「市川実日子松尾スズキ手塚とおるモロ師岡片桐はいり嶋田久作あたりは庵野監督の過去作品にも出ていたなー……」なんて考えがら見てるだけでも楽しかったですね。
キャストの特徴について、もう少し触れると、(上記にもあるように)塚本晋也監督、犬童一心監督、原一男監督、緒方明監督、松尾スズキ監督と本職が映画監督の人たちがチョロチョロ出演してるんです。庵野監督作品では常連と言って良い松尾スズキ監督は自身の監督作品『恋の門』で庵野監督を役者で出演させています。この『恋の門』には塚本晋也監督も役者で出演してます。塚本監督は他の松尾監督作品『クワイエットルームにようこそ』にも出演してます。犬童一心監督に関しては樋口監督の『進撃の巨人』に役者で出演しているし、一緒に『のぼうの城』を共同監督しています。原一男監督に関しては自身の公式ホームページで「庵野監督に自らを売り込んだエピソード」を語っていましたね。もともと庵野監督は原監督の『ゆきゆきて、神軍』に影響を受けた事を公言しており、対談なんかもあって、そこそこ親交もあった様子。緒方監督と本作の准監督&特技統括をしている尾上克郎は高校の同級生で、助監督をしていた緒方監督に誘われる形で石井聰互監督作品『狂い咲きサンダーロード』にスタッフとして参加。緒方監督のデビュー作『東京白菜関K者』にも参加する間柄。本作で美術を担当した林田裕至も石井聰互監督作品『爆裂都市』で一緒に仕事しているんですね。この2人との縁で出演となったのかなぁーと。

ここまでで、名前を出していない主要なキャストは大杉連、余貴美子平泉成柄本明、渡辺哲、津田寛治光石研などなどとなってくるが、ジャンルを選ばず様々な作品に出てまくってるメンツですね。ただ、北野武作品出演経験者が多いのはどういう訳だろーか? 北野作品が今の邦画界からバランス良く集めているのか? 庵野監督が北野作品のファンなのか?
等と考え始めてしまいますが、もはや、脱線しまくりなので、本作の話はこの辺で。

最後に、本作のパンフは長々とストーリーを文字化、少ないインタビューが載ってる程度で、殆どのページが関連の商品広告。残念パンフ。アート・ブックを売る為と思われます。


シン・ゴジラ
★★★★★
星5つ

『貞子VS伽椰子』感想

2016年7月16日(土)、立川シネマシティズンで『貞子VS伽椰子』を観賞して来ました。

『フレディVSジェイソン』や『エイリアンVSプレデター』なんかのヤリ逃げ感あふれるアメリカ映画を見てきて、最近も『スーパーマンVSバットマン』とか見ちゃってガッカリしてましたよ。つまらないとは言わないですけど、こってりキャラ押しの薄味ストーリーはテレ東「午後のロードショー」風味。で、日本でも『貞子VS伽椰子』と聞いた時、「監督はファンに呪われて死ぬな」と心配したものですが、こんな事故物件並みに危険な作品に挑んだのが白石晃士監督と解れば話は丸っきり変わってきます。
案の定、観てみると一味も二味も……所か1万味くらい違いましたよ。全部、濃ゆい。激濃ゆ。キャラもストーリーも濃ゆすぎる。冒頭から『リング』代表=呪いのビデオの貞子、『呪怨』代表=呪われた家の伽椰子の設定をナチュラルに解説。しかも、もはや2つ共、都市伝説として風化してる設定からして好奇心をカツアゲ。前半は、「たまたま呪いのビデオを発見してしまう大学生のエピソード」と「呪いの家の近所に引っ越して来た女子高校生のエピソード」を同時進行でテンポ良く見せていき、後半以降に一つの話に纏まっていく展開が引き込まれます。
今作では設定を多少、変更しており、1番の工事は呪いのビデオの設定。『リング』では「ビデオを見た者は1週間後に死ぬ」という設定で期限が迫ってくる中、地道に呪いの原因を調べていくというミステリー展開でしたが、今作では「2日後に死ぬ」とあの世への道のりを大幅ショートカット。小学生がいきなり大学へ飛び級するくらいのスピードアップ変更により、ラストまで勢いよく見せていきます。観客の落ち着く暇を与えないくらい、スピーディーに呪われていきます。
行動力があり過ぎるが故に、呪いへまっしぐらなダブル・ヒロインは勿論、都市伝説と思っていた呪いのビデオ発見に異常な興奮を見せる大学教授、「ブラック・ジャックピノコ」をモデルにしたと言う凸凹霊媒師コンビ、お祓いの効力に異議を申し立てるとグーで殴ってくるオバちゃん霊媒師、揚げ句、呪いのビデオが入ったままのビデオ・デッキを売っておいてケラケラ笑ってる人騒がせなリサイクルショップのバイトなど、ストーリー以上に濃いキャラのオールスター。映画の登場人物としては飛び切りサイコーだけど、現実にいたら近づきたくない合格なメンツしか出てきません。
そして、肝心の、主役である貞子と伽椰子の対決シーンも超能力みたいな呪い対決かと思いきや、まさかのグーで殴るといった、かなりハードな戦い方でパンチが効いてます。心のこもった『サンダ対ガイラ』系アクションに衝撃を隠し切れませんでした。何の問題もありません。現に、伽椰子の役を演じた遠藤留奈さんのインタビューによると、
「アクションの練習に行くと、貞ちゃん(貞子)の体を這い上がるとか、髪をつかんで引きずり倒すみたいなことをやらされて、肉弾戦だと知りました。さらにエビ反りになって首を上げ、最大限に目と口を見開いてくださいとか、そこに貞子の髪の毛が入ってきて、次の瞬間爆発しますと言われてちょっと混乱しました。」
と現場を回想しております。
さすが白石晃士監督です。全く期待を裏切らない信用できる男です。
しっとり系グロテスク・ホラーに仕上がってて、まさにお祭り映画に相応しいパーティームービーでした。牛丼を食ったすぐ後にカレーを食べたような満腹感。



『貞子VS伽椰子』
★★★★★
星5つ

【過去作品】『WHO IS THAT MAN!? あの男は誰だ!?』感想(未記入)

2016年7月7日(木)、『WHO IS THAT MAN!? あの男は誰だ!?』をポレポレ東中野で観賞。