ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

『オデッセイ』(4DX)感想

2016年2月15日(月)、ユナイテッド・シネマ豊洲で『オデッセイ』を4D・吹替え版で観賞して来ました。

1人ぼっち火星サバイバル映画ながら、意外に軽いノリで観れる映画でした。何故なら、火星に取り残される主人公が「陽気な天然キャラ」だから。
火星で調査を進めてるクルーが砂嵐に襲われ、「作業中止! 逃げろー!」って宇宙船に乗り込んでたら、主人公だけ飛んできたアンテナにぶつかり、砂嵐の中へ吹っ飛んでいくんです。そこまでが冒頭10分くらい。NASAは死んだと思って、壮大に葬式を上げるんです。火星作業クルーの隊長なんて罪悪感にさいなまれてて、部下に「悪くないですよ」とかって慰められたりしてる訳ですよ。そしたら、生きてたっていう。まさかの火星に1人、置いてけぼりですよ。そんな事あります?!
NASAの本部では「あいつは置いてかれたと思ってるに違いない。裏切られたと思ってるはずだ。どんな気持ちだろーな、1人で。いたたまれない。」と心配してるんですけど、次のカットでは火星に取り残された主人公がシャワーから出てきて陽気にディスコ・ソングを聴いてるんですね。このディスコ・ソングもクル...ーの隊長のパソコンから見つけた音楽で、映画中、終始「なんでディスコ・ソングしか入ってねーんだよ!」とキレてる始末。「じゃあ、聴くなよ」とも思うのですが。そんなんなんで、ミュージカルか?!ってくらい全編、次から次へ、ノリノリのディスコ・ソング全開!!
ただ、先日、亡くなったデビッド・ボウイの曲が丸々1曲、使われてるシーンはついついグッときましたね。
それでいて、宇宙で科学的に野菜を育てる方法や水を作り出す方法など、天然だけどバカではない主人公によるサイエンス手管の数々が丹念に描かれていきます。このように、なんてこったな危機的状況を陽気な精神と几帳面な段取りでサバイブしていくのが面白くて、思わず見いっちゃいますね。本作を3回くらい観ておけば、いつ火星に取り残されても大丈夫。ここら辺の科学的考証はパンフに結構ページを割いて掲載されているのですが、かなり信憑性があるらしーです。
主人公が火星での生活を動画で保存しているという設定で主人公によるナレーションで状況を分かりやすく(ユーモラスに)リードしてくれるので、とても観やすい。
それでいて、NASA本部のワタワタや地球へ帰還途中のクルーの重たい空気など……が同時進行で描かれる構成です。その中で垣間見えるリアリティーの説得力はシリアスで、ユーモアを忘れない主人公とのギャップが笑いを生みます。他の隊員の置いて行ったパソコンを漁って、「暇つぶしゲーム見つけたー」とかね。
主人公を演じるのはマット・デイモン。ピッタリです。ボクだけかもしれないですけど、マット・デイモンって天然キャラがハマると思うのですが。抜けてるキャラとか。思うに、若い頃からスコセッシやイーストウッド、ソダーバーグ、スピルバーグなどの大御所監督陣の作品に出てるのに、同年代のジョニデやブラピに比べると何か霞む……と言うか、華がない。そんなデイモンは、それだけで庶民派な好感度があり、天然キャラもナチュラルですね。それこそ、トム・クルーズとかがやったらハナにつきますよ。
火星クルーの女隊長役はジェシカ・チャステイン。『ゼロ・ダーク・サーティ』でビン・ラディンを追うCIA分析官を圧倒的な頑張り屋さんキャラで演じてた女優さんですね。
今作でもクルーの身を預かる気丈な態度ながら、実は罪悪感にさいなまれる繊細な心の持ち主を演じています。本作の監督=リドリー・スコットがお得意とする「強い女」の象徴キャラですね。今までも『エイリアン』のシガニー・ウィーバーや『G.I.ジェーン』のデミ・ムーア、『ハンニバル』のジュリアン・ムーアなど戦場で戦う強い女萌えのリドリー。
ゼロ・ダーク・サーティ』を観て「オレの方がもっと……」と思ったかどーかは知らないですが、そーに違いありません。
ちなみに4D的には良かったです。特に冒頭の砂嵐に襲われるシーンなんて、ずっとソファーが動きまくりのアトラクション感。臨場感ハンパなしです。ボクは吹替えで観たから良かったですが、字幕は追えないんじゃないでしょーか。あと、宇宙空間でのソファーがゆっくり動く浮遊感も絶妙でした。
ただ、リドリーの映画はいつもそーなんですが、長い。クライマックス近くの救出シーン辺りで集中力きれそうになりましたわ。

『オデッセイ』
★★★★☆
4つ星