ユンギボの映画日記

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『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』感想

2016年3月4日、浦和ユナイテッド・シネマで『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』を観賞。

これは、面白い!! 今年の暫定1位ですね!(『サウルの息子』や『オデッセイ』を超えてね)
「怖いor怖くない」以前にお話や構成が面白いじゃないですか!
実話怪談あるあるな「不思議な出来事だが理由は解らず仕舞い」の後日談や過去の因縁を明らかにしていく物語なので、ホラー映画というよりもホラー演出のミステリー推理モノを観ているよう。と言うのも、読者が投稿してきた実話怪談話を短編として書き直す作家の主人公(松下奈緒)と投稿してきた体験者(橋本愛)により、「なぜ、そんな不可解な事が起きるのか?」という謎解きを理詰めなアプローチで黙々と調べていくんですね。だから、近所の人や大家さん、自治会などに話を聞いていくというドキュメンタリー要素もリアルに演出されてます。
その合間合間で新たな怪談エピソードが加算されていくんです。で、その怪談エピソードも精神病患者を入れてた座敷牢だったり、近所のゴミ屋敷、赤ちゃんに纏わる話だったりと一発一発のタブー度も高い!
物件情報を調べてるはずなのに、それと共に平気で実話怪談も収集していくんですよ! お前ら、柳田國男か!!
そもそも、モチーフが日本的というな土着性を感じます。それら別々に集めてたはずの怪談エピソードたちが、物語終盤で集約されていく展開は思わず、ゾッとしますよ!
これは、『本当にあった呪いのビデオ』シリーズの先輩監督であり、本作の監督でもある中村義洋によるパロディでもあるんですな! この手の作品を知り尽くしてる感が見事ッス!!
だってさー、引っ越し先の部屋や家を建てる土地が「曰く付きなんじゃー」なんて誰でも考えそうな事だし、そーでなくともパソコンを使った恐怖演出とか部屋の間取りを活用した恐怖演出など、身近感が恐怖に直結しますよ!
役者以上の存在感ありありな美術セット、小道具など細部へのこだわり、無音上等の研究熱心な恐怖シュチュエーション作り、次から次へ登場する変人キャラたちと全てがパーフェクト!!

パンフレットにはスタッフ&キャストの怖く見せるこだわりから、登場した部屋の間取りを紹介しながら「予算を抑えて見せる美術」も垣間見えるページも! 面白かった!


残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』
★★★★★
5つ星