ユンギボの映画日記

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『デッドプール』(MX4D版・吹替え版)感想

2016年6月13日(月)、やっとこさ『デッドプール』を観賞して来ましたよ。
しかも、TOHOシネマズ富士見で日本語吹替えの4DX版で観賞ですよ。関東近郊で吹替え&4DX版を公開している劇場が少なくて、ホントわざわざですよ。

原作はアメコミなんです。ボクはもともと原作のファンだったので、もう2年くらい前から楽しみにしてましたよ! ちょっと楽しみにし過ぎましたね。まぁまぁでした。
でもね、でもね……、原作の悪ノリなテンションが見事に映像へ、トランスフォーム。
何と言っても原作の魅力を見事に移植できてたのは主人公のデッドプール(通称:デップー)のキャラクター。デップーは常にフザけてて、どんなにガチヤバな状況でも緊迫感のないジョークや下ネタを披露。さらに傭兵あがりなので、とにかく強い。しかも人体実験で死なない体にされてるんです。セガール並みに負けそうにならない。むしろ、敵キャラに同情しそうになるくらい人を殺す事を何とも思ってない。だから、アクション・シーンの迫力は破壊的! そう、強くて面白い男。それが、デップー。
そんなデップーの弱点は愛する恋人:ヴァネッサ。ジョークのセンスから考え方、セックスの相性までピッタンコカンカンな娼婦。所が、不死身の体に改造される際、顔がただれてモンスターのような容姿になってしまったトラウマにより、「彼女に嫌われてしまうのではないか」と中二病のようにストーカーをする日々。ここら辺は『フランケンシュタイン』等の優しき怪物系映画あるあるですね。まぁ、そんな繊細な面も持ち合わせる憎めないお喋りクソ野郎っぷりがボンクラのハートにジャストフィット。本作を見れば、みんなデップーファンのイッチョあがりなんです。
見せ方……と言うか編集も凝っていて、壮絶な銃撃戦を冒頭からストップモーションで見せるんですけど、甘いムーディーな曲がかかってるんです。これ、重要!! アクション・シーンをストップモーション(あるいはハイスピード撮影)で見せながら、一見、アクション・シーンに合わないようなセンチメンタルな曲を使ってる映画にハズレなしですよ。イギリス出身の監督とかがよく使いますね。ガイ・リッチーの『シャーロック・ホームズ』やザック・スナイダーの『ウォッチメン』とかね、古くはスコセッシの『レイジング・ブル』。編集と言えば構成も。現在のデップーがある男を追っていくエピソードと「なんでデップーがこのようなヒーローになって、男を追っているのか?」という、冒頭のシーンに至るまでの生い立ちが現在と過去を行ったり来たりしながら、同時進行で描かれていきます。なもんで、グイグイと作品の世界観に引っ張られていきます。こーゆー構成も名作映画には多いですね。タランティーノの映画でもよく使われてますし、『ファイト・クラブ』や『カジノ』とかね。


そんな流行りのアメコミ原作ですが、他のアメコミ作品とは趣向がちょっと違うんですね~。デップーが観客に向かって話しかけてきて、シーンの説明をしてくれます。『ウルヴァリン』や『ダークナイト』のウジウジ系ヒーローでは考えられないくらい親切かつクレイジーですね。他のアメコミ作品をネタにディスります。特に映画版には全然、出てきませんが、原作は『Xメン』から登場したキャラなので『Xメン』の映画版はキャストまでイジられてます。更にはデップー役を演じるライアン・レイノルズまでがネタにされてたりします。
そこら辺の元ネタが気になる人はパンフに記載されてるので、是非。逆に知ってる人には大して読み応えの無いパンフでしたので、買わなくてよかったなーな内容。

なんで映画ネタが満載なんです。そんな喋りっぱなしのデップーのセリフを文字数に制限のある字幕版ではフォローしきれなくて、幾つかのセリフのパロディは省略されています。勿論、吹替え版ではフォロー済み。しかも、ノータレント。芸人やアイドルは一切、吹き替えに参加してない解ってる仕事っぷりなので安心設計。アナタの周りで、アメコミ映画好きが通を気取って字幕版を観賞してきて、「あれは、あのアメコミ映画のパロディなんだよね~」なんてウンチクを吹っかけて来たら鼻で笑ってやりましょう!

デッドプール』(4DX版)
★★★★☆
星4つ