ユンギボの映画日記

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『貞子VS伽椰子』感想

2016年7月16日(土)、立川シネマシティズンで『貞子VS伽椰子』を観賞して来ました。

『フレディVSジェイソン』や『エイリアンVSプレデター』なんかのヤリ逃げ感あふれるアメリカ映画を見てきて、最近も『スーパーマンVSバットマン』とか見ちゃってガッカリしてましたよ。つまらないとは言わないですけど、こってりキャラ押しの薄味ストーリーはテレ東「午後のロードショー」風味。で、日本でも『貞子VS伽椰子』と聞いた時、「監督はファンに呪われて死ぬな」と心配したものですが、こんな事故物件並みに危険な作品に挑んだのが白石晃士監督と解れば話は丸っきり変わってきます。
案の定、観てみると一味も二味も……所か1万味くらい違いましたよ。全部、濃ゆい。激濃ゆ。キャラもストーリーも濃ゆすぎる。冒頭から『リング』代表=呪いのビデオの貞子、『呪怨』代表=呪われた家の伽椰子の設定をナチュラルに解説。しかも、もはや2つ共、都市伝説として風化してる設定からして好奇心をカツアゲ。前半は、「たまたま呪いのビデオを発見してしまう大学生のエピソード」と「呪いの家の近所に引っ越して来た女子高校生のエピソード」を同時進行でテンポ良く見せていき、後半以降に一つの話に纏まっていく展開が引き込まれます。
今作では設定を多少、変更しており、1番の工事は呪いのビデオの設定。『リング』では「ビデオを見た者は1週間後に死ぬ」という設定で期限が迫ってくる中、地道に呪いの原因を調べていくというミステリー展開でしたが、今作では「2日後に死ぬ」とあの世への道のりを大幅ショートカット。小学生がいきなり大学へ飛び級するくらいのスピードアップ変更により、ラストまで勢いよく見せていきます。観客の落ち着く暇を与えないくらい、スピーディーに呪われていきます。
行動力があり過ぎるが故に、呪いへまっしぐらなダブル・ヒロインは勿論、都市伝説と思っていた呪いのビデオ発見に異常な興奮を見せる大学教授、「ブラック・ジャックピノコ」をモデルにしたと言う凸凹霊媒師コンビ、お祓いの効力に異議を申し立てるとグーで殴ってくるオバちゃん霊媒師、揚げ句、呪いのビデオが入ったままのビデオ・デッキを売っておいてケラケラ笑ってる人騒がせなリサイクルショップのバイトなど、ストーリー以上に濃いキャラのオールスター。映画の登場人物としては飛び切りサイコーだけど、現実にいたら近づきたくない合格なメンツしか出てきません。
そして、肝心の、主役である貞子と伽椰子の対決シーンも超能力みたいな呪い対決かと思いきや、まさかのグーで殴るといった、かなりハードな戦い方でパンチが効いてます。心のこもった『サンダ対ガイラ』系アクションに衝撃を隠し切れませんでした。何の問題もありません。現に、伽椰子の役を演じた遠藤留奈さんのインタビューによると、
「アクションの練習に行くと、貞ちゃん(貞子)の体を這い上がるとか、髪をつかんで引きずり倒すみたいなことをやらされて、肉弾戦だと知りました。さらにエビ反りになって首を上げ、最大限に目と口を見開いてくださいとか、そこに貞子の髪の毛が入ってきて、次の瞬間爆発しますと言われてちょっと混乱しました。」
と現場を回想しております。
さすが白石晃士監督です。全く期待を裏切らない信用できる男です。
しっとり系グロテスク・ホラーに仕上がってて、まさにお祭り映画に相応しいパーティームービーでした。牛丼を食ったすぐ後にカレーを食べたような満腹感。



『貞子VS伽椰子』
★★★★★
星5つ