ユンギボの映画日記

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3/11『スリー・ビルボード』

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スリー・ビルボード』を観賞。
最近、観た作品の中でも一際は面白かったのが、本作。
娘を殺され、捜査の進展がない事に腹を立てた主人公の肝っ玉かーちゃん。舞台となる田舎町の道路に3つの広告看板を出すんです。その広告には警察署長への批判を実名で掲載。所が、その警察署長は末期癌で余命いくばく。田舎町の住人たちは、みんな知ってるんですね。だから、「末期癌の署長を批判するなんて、酷い!」と大ヒンシュク! マスコミに取り上げられるわ、広告の賛成派と反対派で小さな村がモメモメになるわの大騒動!!
重たい映画かと思いきや、掘り下げられた登場人物たちとギリギリの痛快ブラック・ユーモア、スリリングな展開で、第90回アカデミー賞の作品賞、脚本賞編集賞など、6部門にノミネート。
主人公に批判される警察署長も悪人かと思いきや、家庭を大切にし、部下を思いやる常識人。演じるは名優というより怪優の方がしっくりとくるウディ・ハレルソン。ボスの貫禄と家庭的な好感度をバランス良くミックス。
そんな警察署長を尊敬しまくってる村のボンクラ警官が大変な奴。昼間からマンガばっか読んでは怒られてる。挙げ句、「クビだ! 銃とバッチを返せ!」と言われたら、「あっ、バッチありません。無くしちゃいました!」って言っちゃうバカ。挙げ句、荷物がマンガだけってのも爆笑。でも、彼には彼でまたドラマチックな展開が用意されてるんですねー。
主人公を演じたフランシス・マクドーマンドは、一見して強そうだけど、その内に様々な思いを閉じ込め、圧倒的な名演技でアカデミー賞主演女優賞を獲得。
ボンクラ警官役のサム・ロックウェルも素直になれない複雑なキャラクターで観客のハートをカツアゲ。アカデミー賞助演男優賞を受賞。
心のスキマがギクシャクした登場人物たちが批判広告事件を発端に様々な思いが交錯。もう先読み不可能なドラマへ発展していくスリリングな構成。もう目が離せない傑作でした!

本作のパンフは、キャストのインタビューや批評、監督の過去作品のおさらい、ロケ地解説まで満足の出来だったので、映画の余韻やバックボーンを楽しみたい方には、とてもオススメです!

スリー・ビルボード
★★★★★
満点5つ星