ユンギボの映画日記

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5/1『ラッカは静かに虐殺されている』

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ラッカは静かに虐殺されている』を観賞。

シリアの残酷な現状を写し出す過激なドキュメンタリーでした。
そもそもラッカとは、シリア北部の街。過激思想&武力拡大するテロ組織=「イスラム国」により、牛耳られてる街なんです。もう、やりたい放題なんですよ。イスラム国のメンバーたちは、言うことを聞かない市民を公開処刑してるんです。それが、首を切り落とし、広場で見せしめにしてたり、死体を街中に吊るしたり。恐怖で統治する酷い奴らなんです。でも、その酷い事を他の国にはバレないよーにと、ハードなメディア規制をしてるんです。そこで、立ち上がったのが、本作の主人公たちである市民ジャーナリストたちなんです。彼らは、爆撃で瓦礫と化した街や街中で日常的に起きている公開処刑(というか、もう殺人)をケータイやデジカメで撮影。ツイッターFacebookなどのSNSへアップする組織を結成。その市民ジャーナリストの組織名が「ラッカは静かに虐殺されている」なんです。

ただ、この映画で描かれる「ラッカは~」のメンバーたちとイスラム国の戦いがとにかく観てて辛い。焦りだしたイスラム国の報復がとにかく陰惨。ある日、イスラム国のFacebookに「今、お前ん家の玄関に来てるぜ」みたいコメントと自分の家の写真がアップされてるんです。挙げ句、父親を拉致られ、殺害する瞬間の動画もアップするんです。「次はお前だぞ」とばかりに、賞金まで懸けられるんです。
もうシリアには居れなくなって、トルコやヨーロッパやドイツと亡命する羽目になるんですけど、どんどん追い掛けてくる。これ、実話ですからね! ドキュメンタリーですから! 酷いですよ!

国内から発信される情報は、イスラム国のプロパガンダ映像ばかり。ニュースで観たことある人もいると思いますが、ハリウッドからプロを呼んで、オシャレ映像みたいに作ってるんです。そのくらい、イスラム国はメディアの重要視してるから、徹底して「ラッカは~」を追い込んでくるんです。最終的には、ネカフェを閉店させ、パラボラアンテナを取り外し、国内のメンバーたちとヤリトリできないよーにしたりしてきます。全てが力業。

そんな連中と命を賭けて、SNSに真実を配信し続ける市民ジャーナリストたちの苦悩のドラマが本作の90分に凝縮されてました。

ゲームやオモチャでそそのかされた子供たちが捕まった市民の頭を撃ち抜くシーンや柵の上に平然と刺さってる生首など、ショッキングなシーン満載です。これが、この国の現実かと思うと目を背けてはいけないと思う反面、感情的には目を覆いたくなるシーンばかりなので、観賞には注意が必要かと思います。


ラッカは静かに虐殺されている
★★★★☆
星4つ