今や邦画界に蔓延する青春キラキラ映画。イケメン&美少女を活用し、若い世代から理想の青春搾取する漫画原作映画の数々。そんな青春キラキラ映画に一石を投じる……っていうかディスりまくりの映画『ゴーストマスター』が12月6日から公開!!
ストーリー・あらすじ(ネタバレなし)
とある低予算映画の現場。作品は高校生の男の子が女の子に壁ドンするような青春キラキラムービー。
商業主義にまみれた監督やプロデューサーが傍若無人に現場を仕切る中、こき使われる助監督・黒沢明が主人公。頼まれると断れない性格な上、要領の悪い黒沢。実は、B級ホラー好きの気弱な映画オタク。自ら書いたホラー映画「ゴーストマスター」の脚本といつか監督するぞという夢を抱え、日々の苦しい撮影を耐える映画オタクなんです!!
しかし、あまりの過酷な撮影現場。鬱屈した黒沢の不満と怨念。それらが「ゴーストマスター」の脚本に宿り、爆発!! 「ゴーストマスター」の悪霊(?)が主演俳優にとりつき、体を手に入れた「ゴーストマスター」の悪霊(?)により次々と殺戮が!!
青春映画の撮影現場は、文字通り地獄絵図と化していくのです!! 自ら悪霊(?)を生み出してしまった黒沢は、この状況を止められるのか?! そして、B級映画愛にまみれた「ゴーストマスター」の悪霊(?)は何を叶えようとしているのか?! というネジの外れたホラー・コメディです。
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キャスト(出演者)・監督
主人公の助監督・黒沢明役を演じるのは、本人も数々の現場経験を持つ三浦貴大。
父が有名なアクション俳優で、俳優業にわだかまりを持つヒロインに、成海璃子。
劇中の映画撮影の主演俳優役に板垣瑞生、ヒロイン役には永尾まりや。その他、原嶋元久、寺中寿之、篠原信一、川瀬陽太、柴本幸、森下能幸、手塚とおる、麿赤兒ら現場スタッフ役で出演。
本作のメガホンをとるのは、黒沢清監督に師事し、アメリカ人の父と日本人の母を持つヤング・ポール監督。本作が、長編デビュー作。主題歌はマテリアルクラブの「Fear」という曲なんですけど、作品のテイストとマッチしてて、良いです!!
作品概要・評価
本作は、TSUTAYAが主催する映像企画発掘コンペ「TSUTAYA CREATERS'PROGRAM FILM 2016」で準グランプリを受賞し、製作された本作。第37回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭Spamflix Asian Film部門、第23回富川国際ファンタスティック映画祭World Fantastic Red部門、第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭Midnight X-Treme部門の正式出品作品。
日本では、カリテ・ファンタスティック! シネマコレクション2019 クロージング作品としても上映されました。
感想・概要
タイトルが『ゴーストバスターズ』と似てますが、ノリとしては2016年のリメイク版に近いかも。劇中で発生するミッションもゲーム風。攻略法を手探りで探し、「ゴーストマスター」の悪霊を封印する為、悪霊の望んだ通りに撮影を続行する展開が笑えます。
それと同時に、キラキラ青春映画まみれになった邦画界への憂いを代弁してくれる作風には好感度が上がってしまいます。
主人公が並々ならぬ愛を語るトビー・フーパーとは、映画『悪魔のいけにえ』や『ポルターガイスト』の監督。中でも劇中のセリフにも登場する『スペース・バンパイア』はトリッキーな設定と展開でカルト的な人気を誇るフーパーの代表作。ちなみに、本作のヤングポール監督の師匠・黒沢清監督は自他共に認めるフーパーのファン。そんなオマージュさえも詮索せずにはいられません。
後半の"あるシーン"では、主人公が好きな映画監督の名前を畳み掛ける描写もあるので、映画ファンには見逃せない(聞き逃せない)シーンになっています。
映画『ゴーストマスター』は、12月6日から公開。上映館や舞台挨拶については、公式Twitter情報を!!
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