ユンギボの映画日記

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『A2 完全版』 感想

2016年6月22日(水)、『A2 完全版』をユーロスペースで観賞して来ました。

オウム真理教を内部から密着したドキュメンタリー『A』の第2弾で、2002年に公開された『A2』の未公開シーン追加の完全版が本作。

ラストのオチに向かって構成されていた『A』に比べて、日本のあっちこっちのオウム真理教の支部でのエピソードを垂れ流ししている『A2』は見辛かった印象があったのですが、今回、改めて観賞してみると、各支部でのエピソードが多岐にわたっている事に驚きました。
そして、超笑える。
特に、出所して来た上祐史浩の居るマンションの前で警備をする警察とデモをする右翼のヤリトリが爆笑でしたわ。
規制線の中へ入ろうとして警察に止められた右翼が、「俺らは刺したり、撃ったりしか出来ないんだから、身体検査してくれれば無力なんだから、入れろよ。」というオリジナリティー溢れる主張に爆笑。そんな右翼VS警察の間に割って入ってくる酔っ払いのオジさんにも思わず吹き出してしまいました。オウム+右翼+警察って、こんなに笑えるのかと。
あと、最初はオウムの支部に反対運動とかしてた地域ボランティアの人たちとオウム幹部たちの交流エピソードとかもグッときましたね。「事件後も町に居座るオウム支部を監視する」と支部の隣の空き地に監視テントを組んで見張ってたはずなんだけど、毎日、顔を合わせてるから、いつの間にか仲良くなっちゃっているというね。みんなワラワラ集まって来て、談笑して、地域の人たちの憩いの場になってるっていうね。監視テントの解体をオウム幹部が皆でワイワイ楽しそうに手伝ってる不思議な図には、観てるコチラまで和んでくる魅力がありました。
挙げ句、オウム幹部の引っ越しの日のシーンでは、地域のオバちゃんが「体には気を付けてね」と見送るんですけど、もう完全に孫との別れみたいになってて、グッときちゃうんですね。
中でも、1番、ツボに入ったのは、会見の準備をするオウム幹部が消臭スプレーを手に「マスコミ集まって、急にコレ(消臭スプレー)撒いたらビックリしますかね(笑)」というブラックにも程があるジョーク。
構成的には雑然としている印象は変わらなかったけど、オウム真理教の修行風景や当時、取りざたされた暴行監禁容疑事件の詳細、麻原彰晃の三女=アーチャーへのインタビューなど、見どころ満載。
ちなみに、アーチャーの出演シーンが本作の追加シーンらしーです。試写と山形国際ドキュメンタリー映画祭までは入ってたらしーのですが、アーチャーが当時、未成年だった為、カットされたそーです。
今回、観てみたら、素直に「学校へ行って勉強したかった」という姿は普通の中学生。当たり前ですが。英語で自己紹介を求められて、本名の「麗華(りか)」を使った事に対して質問され「だって、お父さんが付けてくれた名前だから……」と返す姿に涙!


『A2 完全版』
★★★☆☆
星3つ