ユンギボの映画日記

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第9回したまちコメディ映画祭  「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」/「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」

本日、東京国立博物館で第9回したまちコメディ映画祭「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」と「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」を観賞して来ました。


「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」
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本作は『刑事コロンボ』のピーター・フォークや『ピンク・パンサー』シリーズのピーター・セラーズ、『ピンクの豹』のデイヴィッド・ニーヴン、『スター・ウォーズ』のオビ・ワン役のアレック・ギネス、さらには実録犯罪小説『冷血』を書いたトルーマン・カポーティまでが出演した豪華キャスト映画。
これが、日本語吹替え版も超豪華。フォークは勿論、コロンボでお馴染み小池朝雄。セラーズは『ピンク・パンサー』でも吹替え担当の羽佐間道夫。ニーヴンは中村正。カポーティ内海賢二。その他、高橋和枝滝口順平千葉耕市千葉繁
今回は吹替え60周年という事で、この泣ける程、豪華なのにソフト未収録な超レア吹替え版上映なんです!!
各国から集められた名探偵たちが殺人事件を解決していくミステリー……のはずなのに、次から次へと設定を無視していく(と言うか壊していく)破天荒にも程があるコメディで、それを大御所の声優陣がコミカルに演じていくのが最高です。中でも、さりげない会話のヤリトリが素晴らしく、セリフ回しの緩急で何でもないシーンでも笑わせてくれます。「名優が揃った吹替え版はこんなにも凄いのか」と驚かされました。




「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」
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オーストラリア製作の脱力系な戦隊番組『危険戦隊デンジャー5 ~我らの敵は総統閣下~』を羽佐間道夫江原正士堀内賢雄千葉繁星野充昭甲斐田裕子、多田野曜平という超豪華な声優陣がアドリブ満載で吹替えた本作。
これが、なかなかの怪作で、見た目は現代なのに、敵の組織はナチスヒトラーの暗殺が任務というB級感。主人公たちの組織も『サンダーバード』とかの雰囲気なんだけど「連合国」とセリフに出てくるだけで何のどーゆー組織なのか説明なし。そんな連中が小学生の思いつきみたいな任務を遂行していくアホ・ストーリー。上司も頭だけ鳥の人間……なのか、鳥の被り物してるという設定なのか……。挙げ句、飛行機を吊るす糸がバレてたり、ハンズのお面レベルな被り物の敵キャラだったり、オモチャの寄せ集め感のある特撮セットの数々は低予算と言うよりチープ。脈略なく、主人公たちのチームにアニメの合成キャラが出てきた時は、もはや薬中患者の夢かと思いましたよ。
そんなオリジナル本編だけならゲロ吐く程、つまらなそうな作品をアドリブ満載の吹替えで爆笑コメディに料理してるのだから素晴らしいです。
顔はヒスパニックな役者を熊本弁で喋り倒す千葉繁さんの安定したテンション芸。江原正士さんと多田野曜平さんのその他大勢を演じ分ける演技力。また、多田野さんの様々な声優さんモノマネという芸達者っぷりやたるや。そして、羽佐間先生の口が閉まってるのにアドリブでセリフをブチ込む力業には脱帽。
『俺はハマーだ!』に『サンダーバード』を足して、『クイーン・コング』と『モンティ・パイソン』で割ったよーな完璧な仕上がりに。

上映後は、もはや吹替え映画研究家(だけど本職は漫画家)のとり・みきさんと吹替えキャストの皆さんのトーク。
恒例のとり・みきさんによる吹替え史を復習しつつ、各声優さんの本作へのアドリブ・アプローチの仕方、過去の吹替え収録現場での制作秘話までジャンジャン聞けて、大爆笑だったけど、メチャクチャ勉強になる講義でした。

よく考えるとスタローンとブラピとトム・ハンクスとチバシゲオとブシェミとハサウェイが会話してる訳ですよ。でも、全然、共演しないメンツですよ!

ソフト化と来年の講義が楽しみ過ぎます。
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