『四月の永い夢』を観賞。
恋人を亡くした主人公の日常を静か&丹念に描いた、いかにもインディーズな邦画。
冒頭から、かなり丁寧に主人公の女性の日常が描かれていくんです。すごーく丁寧に一つ一つの事柄が描かれていく。定食屋でのバイト。図書館へ行ったり。映画館へ行ったり。
決して解りやすい映画ではないんですが、ちゃんと観てると、徐々に彼女の元カレが死んだ過去が解ってくるんですね。
本作の潔いというか、面白いのは、安易に回想シーンなどで死んだ彼氏とのエピソードを語るよーな事はしないんです。むしろ、元カレがどんな人物で、主人公が具体的に何で悩んでいるのかも語られない。
そんな中、バイト先の常連客の青年から言い寄られてもハッキリとした態度を取らない。友人が仕事を紹介してくれても断る。 なんで?! どーして?! 一体、どんな彼氏で、どんなエピソードがあったの?!
で、この映画の上手い所は、そのヒントっぽいものが全編に散らばってるんです。名画座で1942年公開の『カサブランカ』という映画を観に行ってたり、主人公の部屋にやたらと古めかしいデザインの物が多かったり。もしかして、それは死んだ彼氏との? なんて考えると、メチャクチャ過去に囚われてるよーに観えてくるから不思議ですよ!
そして、主人公の元に届いた死んだ彼氏からの手紙により、過去をふっ切る旅が始まるんですね。
透明感&凄く繊細な表情で、過去を引きずりマクリスティーな主人公を演じるのは、朝倉あきが素晴らしいんです。なんなら、ちょっと少女っぽさも醸し出してますからね!
いかにも日本より外国の芸術系映画祭で栄える作品だと思っていたら、日本での公開前に、世界四大映画祭の第39回モスクワ国際映画祭のメインコンペティション部門に正式出品。国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰のダブル受賞を果たしてました。
エンタメ映画のような見せ場がある訳ではないですが、静かに一人でしっとりムービーを観たい方にはオススメの一本!!
『四月の永い夢』
★★☆☆☆
星2つ