ユンギボの映画日記

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6/9『万引き家族』

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万引き家族』を観賞。

万引きする家族のお話です。万引き、良くない! でも、万引きのシーンはそんな多くないんです。家族のシーンはいっぱいです。
そんな家族が、親に虐待を受けているとおぼしき女の子を連れて来ちゃう。万引きですよ! 要は、家族を万引きしてくるんですよ!

で、観てたら徐々に、家族のように生活している一家が、実は血の繋がりのない他人って事が解ってくるんですね。
キャストは疑似パパ役にリリー・フランキー。疑似バアちゃん役に樹木希林。疑似ママ役で安藤サクラ。近所の駄菓子屋のオヤジ役に柄本明。……と、オフビート芝居な芸達者揃いで、ドキュメンタリー畑の是枝監督のリアル思考を満足させる面子。ゆえに、社会派ヒューマンドラマの本作にコミカル&ユーモラスを与え、見易くしてくれてます。
そんな中、オーディションで選ばれた演技初挑戦の子役の2人がナチュラル芝居で主役を演じています。

リリーさん演じる疑似パパは、「お店にある物はまだ人の物になってないから盗んでOK」という俺ジナルな教育方針の持ち主。ジリ貧の家計を助ける為、子供たちに高等万引きテクを教えてるんです。
その教育方針を素直に信じてた主人公の少年でしたが、ある事をキッカケに万引きが犯罪だと自覚。罪悪感&戸惑いがスパークして、行き先不明のストーリー展開となって、後半、ゴロゴロ転がっていきます。そして、全くの他人と思っていた家族がどのように疑似家族化したのか? そこから彼らの関係が明らかになっていきます。

本当の家族の元を離れたときに着てた服を小滝あげするシーンや、家族で花火を見上げるシーンなど、日本の土着文化感も交えつつ、絵空事っぽい画作りやマンションに囲まれたボロ家のロケ地など、寓話風味な仕上がりに。

そーゆー描写のせいかは知らないですけど、カンヌ映画祭で21年ぶりの日本人監督によるパルムドール(最高賞)を授賞した本作。

パンフはパルムドール授賞前に作られたせいか、その話には触れてないのですが、監督の着想や各スタッフ&キャストのインタビューにより、独特の現場での是枝演出が垣間見える内容。様々な読み解きのできる本作へのコラム記事も良かったので、オススメです。


万引き家族
★★★★☆