ユンギボの映画日記

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7/19ソフト未収録の日本未公開映像で"やり過ぎ監督"の秘密が明らかに!! 映画『リチャード・リンクレイター 職業:映画監督』

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新宿シネマカリテで行われる真夏の祭典【カリコレ2018/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2018】!!
毎年、日本未公開になりそうなジャンル系作品の数々を世界中から厳選チョイス。日本のシネフィルにお届けする映画好き御用達の祭典【カリコレ】。

もう【カリコレ】での上映は終わってしまったのですが、素晴らしすぎるので、オススメしたい一本が、映画『リチャード・リンクレイター 職業:映画監督』。
毎度、やり過ぎなレベルで映画を作り続ける職業監督の破天荒すぎる舞台裏が明らかにされる本作。観てみると、驚きの証言まみれ!!


そもそもリチャード・リンクレイターとは?
1970年代の大学にタイムスリップしてドキュメンタリーを撮ったような『バッド・チューニング』(1993)。1組の男女がパリの街をさ迷いながら、思想や哲学について語り倒す映画なのにロマンチックは失わない『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995)。
両作品では、カメラが徹底的に登場人物たちを追い掛け、役者たちの軽妙な掛け合いを逃さない演出を確立。
もう、この頃から、"やり過ぎ監督"=リンクレイターが完成してたんですね!



メジャーとインディペンデントを行来する職人監督
さらにその後も、やり過ぎ度数は右肩上がり。
『ウェイキング・ライフ』(2001)では、実写で撮影した素材に色を塗り、アニメーション化。夢の中に浮遊する独特の映像世界を構築。『テープ』(2001)では、モーテルの一室から一歩も出ず、実時間で進行していく閉鎖的で緊張感のあるサスペンスを製作。
そんなインディペント作品を手掛けたと思ったら、ロックおじちゃん=ジャック・ブラックが音楽愛を語り倒し、吹奏楽部をロックナイズさせていく大作『スクール・オブ・ロック』(2003)をスマッシュヒットさせます!
人気シリーズのリブートで、スポーツ・ヒューマンドラマ『がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン』(2005)など、メジャー作品も手掛けるようになっていきます。
そのフットワークの自由さ&作風のやり過ぎ感こそ、リンクレイターの持ち味なんです!!


関係者が語る
リンクレイターの映画作りについて、本作の中でイーサン・ホークによって語られる「着想は誰でも思いつくものばかり。でもそれを映画にできたのはリンクレイターだけ」という言葉が代弁してます。
中でも、一人で映画製作を始めた20代のエピソードが強烈!! なんと、本当にカメラを三脚に立てて、ひとり旅を映画化してたんです!!
もう、この頃から、リンクレイター節のクセが強い!!
のちに、仲間を集め、本格的に映画製作へ。
家族や関係者、出演者、スタッフ、リンクレイター本人が1作品毎に振り返り、過去作品や日本未公開作品の映像をバンバン流していきます。ソフト未収録のメイキング映像もたっぷりです!
個人的には、去年の4月に亡くなってしまった『フィラデルフィア』や『羊たちの沈黙』など、リンクレイターと同じく、インディペンデント出身で職人肌なジョナサン・デミ監督の出演シーンにジーンときてしまいました。


一大プロジェクト
まさに、リンクレイター節、ここに極まりな作品が、『6歳のボクが、大人になるまで。』(2014)。本当に6歳の子役を毎年、12年間、少しずつ撮り続けた映画なんです。ね? 頭おかしいでしょ?
そんな『6歳の~』の裏話をプロデューサーが語り倒すシーンは会場爆笑!
「世界一、金を集めにくい映画だと思った」と赤裸々に当時を振り返ります。
一方のリンクレイターは、「どうにか違和感なく、一人の男の子の成長物語を描けないかと考えてたら、そうだ! 毎年、少しずつ撮っていけばいいんだ!」と最高すぎるノーテンキ発言。
ただ、映画完成後は絶賛の嵐で、ベルリン映画祭監督賞を受賞しています。やはり、ただ者ではない。


リンクレイターを知ってる人は勿論、知らない人も本作を入門書として観てもらうとリンクレイター作品を
楽しめる事、間違いありません!!