ユンギボの映画日記

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女の子たちの共同生活青春映画『転がるビー玉』ネタバレなしレビュー

試写会にて映画『転がるビー玉』を観賞。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

雑誌「NYLON JAPAN(ナイロンジャパン)」の15周年企画として、クラウドファンディングにより製作された映画『転がるビー玉』。作品の舞台である新生「渋谷パルコ」内の「ホワイトシネクイント」にて上映される事も決定している本作。

 

あらすじ・ストーリー・内容(ネタバレなし)

東京オリンピックが近づく、渋谷。その片隅にあるアパートのワンルーム。ここで共同生活する愛、瑞穂、恵梨香。そんなある日、部屋の立ち退き勧告の通達が。街の再開発で家の取り壊しが決定したとの事。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

いずれ出て行かなくてはならないその部屋での三人の期間限定のささやかな共同生活。三人は夢を追い求めつつも、悩み、もがき、飲んで、愚痴って、笑っては、泣く事になります。

 

予告編無料動画


映画『転がるビー玉』【予告編】 - 吉川愛・萩原みのり・今泉佑唯/宇賀那健一監督

 

登場人物・キャスト

愛(吉川愛は、ネカフェでバイトしつつ、モデルのオーディションを受けまくるも結果が出ない日々。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

一緒にモデル活動をしていたモデル仲間は、今や人気モデルに成長。普段は明るく振舞いつつも、結果がハッキリ出る業界だけに、他の子より切ないです。
とあるオーディションで「強み」を尋ねられた際の返答できなくなるシーンは、本人の迷走と不甲斐なさを表しており、グッときてしまいます。
ついつい甘えてしまう元カレのカメラマンに会うシーンでは、今カノの話は飛び出すは、撮影時の作り顔を完全拒否されてしまいます。さらに、鹿児島から上京してきたバイト先の女の子から、憧れの目で見られるシーンも逆に切ないんですよ!!

 

瑞穂(萩原みのり)は、NYLON編集部で働くボーイッシュな女の子。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

仕事では失敗続き。そんな中、彼女持ちの男やナンパ男と関係を持ってしまう危うさが、ちょっとサスペンス。「家に帰ると寂しいんだよね。みんなで住んでるのに何でだろ」「どこに帰りたいんだろ」というセリフが見ていて、胸が締め付けられてしまいます。彼女のいる男との肉体関係仕事で得られない肯定感を求めて。でも、男も友達でも埋められない虚無感。

 

恵梨香(今泉佑唯は、ストリートミュージシャン

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

働いている2人とは別で、親からの仕送りで生活。とりとめのない夢の話をしては呆れられる、3人の中ではノーテンキな天然キャラ。そんな彼女も、昔の仲間たちは夏フェスに参加する程、出世しており置いてけぼり感が満載。ストリートライブ中に、よく訪れるサラリーマンのエピソードがあるんです。何も語られないのですが、そのサラリーマンの背景を勝手に想像して泣けてしまいます。

 

解説・感想・評価・批評

始まりから「期間限定の生活」というナレーションでタイムリミットの物語がスタート。舞台となる再開発で変わりゆく渋谷の街と主人公たちが重なっていく脚本も秀逸。
主人公3人とも、一見、仲良さげなんですが、どうも会話は上辺だけ。虚無感満載の会話。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

3人のアドリブ芝居のようなナチュラルさが観客も部屋の中にいるような感覚になります。切ない歌詞ながら、ポップなメロディの音楽も本作が暗くなり過ぎない絶妙なバランスをとっています。

 

美術・セット・ロケ

主人公たちが生活するシャレオツなカフェのような明け透けなワンルームの部屋。DVDやCD、関節照明などビレバンにありそうな物で溢れ、ゴチャゴチャした室内。イスのひじ掛けに放置されたコンタクトレンズ。一見、オシャレな物がゴチャっとした部屋は、“渋谷”という街全体のメタファーに思えるし、その中で不安定に置かれたデリケートなコンタクトは主人公たちのメタファーのよう。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

勿論、洗濯機から発見される“欠けたビー玉”も主人公たち。その後も、“賞味期限切れの食品”や“道路に出てきてしまったミミズ”など壊れやすい物や繊細な物が次々と登場し、主人公たちの心情とシンクロしていく演出が上手いです。

 

撮影・編集

NYLONのパーティーイベント。設営準備を終えて、イベントに参加している主人公の3人。一人パーティーから離脱する瑞穂。エキストラでいっぱいの会場で音楽がフェードアウト。足音だけが響き、まさに瑞穂の心理状態を映像で表現。登場人物が横になる姿をカメラは逆さまでとらえたり、3名とも1人の時に鏡で自分の姿を見るという描写。カメラはあえて意図的に不安定な撮影をおこなっているよう。

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(C)「転がるビー玉」製作委員会

映画『転がるビー玉』は、舞台にもなっている渋谷で、渋谷・ホワイトシネクイントにて、1月31日(金)より先行公開。2月7日(金)より全国順次公開となります。

◼︎キャスト

吉川愛、萩原みのり、今泉佑唯

笠松将大野いと冨手麻妙、大下ヒロト日南響子田辺桃子神尾楓珠、中島歩、徳永えり大西信満山中崇
仁科あい、中尾有伽、手島実優、安倍乙濱正悟河合優実、浦山佳樹、比佐仁、高橋雄祐、青木将彦、川端康太、内堀太郎、松川遥菜、佐々木穂高

◼︎スタッフ

監督/宇賀那健一(うがな・けんいち)
1984年生まれ、東京都出身。青山学院経営学部卒。ブレス・チャベス所属の映画監督 / 脚本家。過去作に『黒い暴動♥』、『サラバ静寂』他。『魔法少年☆ワイルドバージン』が2019年公開となる。

プロデューサー/戸川貴詞(とがわ・たかし)
1967年生まれ、長崎県出身。明治学院大学社会学部卒。2001年にカエルム株式会社を設立し、2004年に『NYLON JAPAN』創刊。現在、同社代表取締役社長、『NYLON JAPAN』編集長を務める。

脚本:宇賀那健一、加藤法子
製作会社:「転がるビー玉」製作委員会
制作会社:株式会社Vandalism
キャスティング:當間咲耶香(スカリー株式会社)
配給:パルコ

Ⓒ『転がるビー玉』製作委員会
公開日:2020年1月31日
公式サイト:https://www.nylon.jp/korogarubidama