半身不随となり人生に絶望した中年男性と、家族のために夢を諦めた出稼ぎ家政婦の交流を描いた香港映画『淪落の人』。読み方が難しいですが「りんらくのひと」と読みます。
2019 年の本国公開と同時に香港中を涙と感動で包み大ヒットを記録。去年、第14回大阪アジアン映画祭にて『みじめな人』のタイトルで上映された際には、観客賞を受賞した本作。主演のアンソニー・ウォンが約10年ぶりに来日した舞台挨拶付き特別先行上映は発売わずか4分で前売券が完売に!! 公開前から評判は上々!! そんな話題の本作が、いよいよ2月1日から日本公開となります。今回もネタバレなしのレビューをお届け!!
あらすじ・ストーリー(ネタバレなし)
異種文化交流!!
事故で半身不随となったチョンウィン。物語は、フィリピン人の出稼ぎ家政婦エヴリンが住み込む所からスタート。
前半こそ、異国の地で困惑するエブリン。広東語が話せない彼女にイラ立ちを募らせるチョンウィン。そんなギクシャク関係から、片言の英語で歩み寄る内、距離が近づいていく2人。
普段は気難しいオヤジのチョンウェン。エヴリンと打ち解けていく内、妻とも離婚し、妹との関係も悪く、唯一の楽しみは離れてくらす息子とのSkype電話というバックボーンも判明。
一方、エヴリンも地元での結婚が上手くいかず、家族へ仕送りをする為、写真家になる夢を諦めていた事が発覚。その夢を叶えて欲しいと思うようになったチョンウェンは、ある計画を立てるのですが……。
先程もお伝えした通り、チョンウェン役はベテランのアンソニー・ウォン。しかし、相手役のエヴリンは、これといった有名な映画には出演経験のない若手女優なんです。
無料予告編動画
感想・評価
名優&若手女優のコンビ
何の希望も抱けないまま日々を過ごしていた主人公を、「インファナル・アフェア」シリーズなど香港を代表する名優アンソニー・ウォンが演じています。いつもは包丁で人をメッタ刺しにしたり、銃を撃ちまくる激シブ俳優のイメージがありますが、今回はヒューマンドラマ。ゴキブリにビビり、隠れてAVを見たり、サプライズプレゼントを用意してドギマギ。さすがの演技力でガンコ親父のユーモラスさや哀愁、人間臭さを見事に体現。思わず感情移入を誘発させます。
本作で香港のアカデミー賞と言われる香港電影金像奨の主演男優賞を受賞(しかも三度目の受賞!!)。
もう一人の主人公である、フィリピン人の出稼ぎ家政婦を演じるのは、本作が初主演となるクリセル・コンサンジ 。映画出演経験はほとんどないそうですが、異国の地でカルチャーショックを受けながら奮闘する姿には思わず涙。
所が本作、それだけではないのです。
物語の背景に隠された差別や偏見!!
文化も習慣も違う2人が衝突。それでも、お互い情が湧き、距離の縮まっていくハートフル展開。ときにコミカルに。ときにピリピリと。様々な苦楽を乗り越える姿にカタルシス。ついつい2人のハッピーエンドを望んでしまいます。
それでいて、香港の出稼ぎ家政婦の問題や市場での外国人差別、外国人家政婦と雇い主である障害者への偏見……など、物語の背景には現実の問題も見え隠れ。ロケ地選定もリアル。単純な障害者へのお涙頂戴映画になっていないのが、素晴らしいです。
映画『淪落の人』は、2月1日より新宿武蔵野館、名古屋シネマスコーレ、大阪シネ・リーブル梅田、京都シネマなど、全国順次公開となります。前売りや上映館情報は公式サイトをご覧ください!!
星)★★★★☆4つ星
映画『淪落の人』
原題:淪落人
英題:STILL HUMAN
監督:オリヴァー・チャン / 出演:アンソニー・ウォン、クリセル・コンサンジ、サム・リー、セシリア・イップ、ヒミー・ウォン
2018 年/香港/原題:淪落人/英題:STILL HUMAN
上映時間:112 分/
ビスタサイズ/5.1ch/G NO CEILING FILM PRODUCTION LIMITED © 2018
公式サイト:http://rinraku.musashino-k.jp /
武蔵野エンタテインメント
Twitter:@musashino_ent
2020 年 2 月 1 日(土) 新宿武蔵野館 他 全国順次公開
まとめ情報
インタビュー動画
【動画インタビュー】アンソニー・ウォン「デモで香港の若者の目線も変わってきた」‼ 約10年ぶりに来日した香港を代表する演技派俳優を直撃‼/映画『淪落の人』2/1公開‼
舞台挨拶
香港の名優アンソニー・ウォン来日‼ ノーギャラ出演を決めた映画『淪落の人』とは? 香港のデモ運動にも言及‼
ヤフー映画
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