ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

【ジャンル分け不可‼】震災から9年。死んだと思っていた元カノを探す旅へ。映画『横須賀綺譚』

コロナの影響で公開が中止になっていた映画『横須賀綺譚』。そんな本作がとうとう本日、7月11日から公開。

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映画『横須賀綺譚』ポスター

本作は、東日本大震災をバックボーンに死んだと思っていた元カノを探すミステリーSFファンタジー……って、ジャンル分け不可‼
それでいて、濃厚なヒューマンドラマも炸裂。もう一寸先も読めない儚さが全体を覆う独特な映画になっています。


あらすじ・ストーリー

元カノ探しの旅へ

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トンネルに入ったのに傘さしっぱって、ありますよね

絶対にブラック確定の保険屋で、悲壮感満載で働く主人公。ある時、東日本大震災で死んだと思っていた元カノが「横須賀で生きてるかも」という情報をキャッチ。仕事を後輩に押し付け、強制有給取得。一路、横須賀へ。

小さな老人ホーム

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日本一、場末のスナックが似合う映画の現場渡り鳥・川瀬陽太

たどり着いたのは、不愛想な男が運営する小さな老人ホーム。元カノは、その施設で、通常運行テンションで介護スタッフとして働いているんです。しかも、その割には話が合わない所もあったりと様子がちょっとヘン。もう意味不明‼

しかも、スタッフのバックレにより、有給期間の2週間、老人ホームで働く事に‼
一体、元カノに何があったのか? さらに、舞台となる老人ホームにも秘密が‼ 果たして、物語はどこへ向かって行くのか?!

 

無料予告編動画


震災から9年。幽霊に会いに行く。 / 映画『横須賀綺譚』予告編

感想・評価・考察

いい意味で説明不足。不親切。だから観客も、東京で働いていた主人公と共に旅を追体験。行きついた老人ホームでも、何気ない日常が再スタート……したかのように思わせておいて、謎を小出しに投下していくミステリー展開。

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人間? 幽霊? ふわふわした魅力を振りまく女優・しじみ

東日本大震災という重たいテーマを抱えながらも、各キャラのバックボーンも徐々に判明。濃厚ドラマも炸裂。ミステリーでもあり、SFでもあり、ファンタジーでもあり、社会派ドラマな雰囲気も付属。観客をかく乱しつつ、一気に人間ドラマでクライマックスへ。
フラッシュバックする過去、保険屋の客や施設の老人たち。“忘却”“記憶”というモチーフのリミックスっぷりがナイス。それらが、そのまま“震災から9年”の観客の心境に突き刺さるんです。
そこら辺で深読みする楽しみ方が出来るか、気持ちが離れるかで、好みの分かれる所。シネフィル的なメタファー探しで面白がれる一本。


キャスト・スタッフ

監督/脚本 大塚信一

1980年生まれ。長崎県出身。日本大学文理学部哲学科卒。20代前半に長谷川和彦に師事。飲食店で働きながら『連合赤軍』のシナリオ作りの手伝いをする。『いつか読書する日』(05 緒方明監督)などの現場に制作として散発的に参加するが、映画の現場からは離れる。基本的にラーメン屋での勤務で生計を立てながら、自主映画を制作するが、完成まで至らず。今作『横須賀綺譚』ではじめて映画を完成させる。


映画『横須賀綺譚』の製作を振り返る大塚監督インタビュー


【ここだけの話】日本インディーズ映画界ではこんな事が起きていた‼奇才・大塚信一 監督が語る制作現場の真実‼

 
小林竜樹

1989年、神奈川県出身。09年、歌手369(ミロク)と加賀美セイラがコラボレーションした楽曲「I LOVE YOU」のPVに出演。11年、園子温監督作「恋の罪」で映画デビューを果たす。同作はカンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品された。同じ年に、岩松了が作・演出を手がけた「カスケード やがて時がくれば」で初舞台を踏み、たんじだいご演出「SUKIYAKI」にも参加する。その他、ドラマ、WEB作品、CMのモデルなど様々なフィールドで活躍。鈍牛倶楽部に所属。


小林竜樹インタビュー


上映中止になっていた映画『横須賀綺譚』の小林竜樹「物事が風化して、また次の話題になっていくのが早すぎる」

 

しじみ

2008年から映画・舞台を中心にフリーの女優として活動。映画、ドラマ、ウェブ作品、ビデオ作品、舞台とマルチに活躍。主な出演作品に、映画『終わってる』(11/今泉力哉監督)、『クソすばらしいこの世界』(13/朝倉加葉子監督)、『侵略する発狂』(16/佐々木浩久監督)、『ウルフなシッシー』(17/大野大輔監督)、『スナックあけみ』(18/山内大輔監督)など。『うたかたの日々』(10/加藤義一監督)が2010年の第22回ピンク大賞・作品ベストテン第1位を受賞。梅田日活で本人ゲストの特集上映が行われた。また、AV女優たちへのインタビューをもとに作られたノンフィクション本をもとに作られた『名前のない女たち』(10/佐藤寿保監督)が2010年映画化された際、宣伝アドバイザーを務めた。


しじみインタビュー


女優しじみ が幽霊役?!「普段からの幽霊感を活かしてもらった」


川瀬陽太

1969年、神奈川県出身。1995年、映画『RUBBER‘S LOVER』(福居ショウジン監督)で主演デビュー。瀬々敬久監督をはじめピンク映画で活躍。現在も自主映画から大作までボーダーレスに活動している。主な作品は『超能力研究部の3人』(14/山下敦弘監督)、『ジョーカー・ゲーム』(15/入江悠監督)、『さよなら歌舞伎町』(15/廣木隆一監督)、『乃梨子の場合』(15/坂本礼監督)、『ローリング』(15/冨永昌敬監督)、『新しき民』(15/山崎樹一郎監督)『バンコクナイツ』(16/富田克也監督)、『64』(16/瀬々敬久監督)、『シン・ゴジラ』(17/庵野秀明総監督/樋口真嗣監督)、『おっさんのケーフェイ』(17/谷口恒平監督)、『天然☆生活』(19/永山正史監督)など。


川瀬陽太インタビュー


映画の現場渡り鳥の川瀬陽太が語るコロナショック後の映画業界‼

 

【作品解説】

~幽霊に会いに行く~

2011年3月11日――あの日、私たちは「ついに来た」と思ったものだ。燃えさかる気仙沼を見ながら、原発のメルト ダウンの報道におびえながら。そして、生き延びたのなら変わろうと思った。変わらなくては、死んだ人たちに顔向けできない。

あれから9年の月日がたち、まるで夢でも見たかのように、あの日の気持ちを頭の片隅に追いやって生活しています。主人 公の春樹はそんな私たちの一人です。春樹はひょんな事から、被災して死んだと思っていた元恋人が「生きているかも」との怪情報を得て、横須賀へと向かいます。その旅はあの日の気持ちを思い出す旅でありました――。

春樹役に『恋の罪』(園子温監督)『こっぱみじん』(田尻裕司監督)『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(中川龍太郎監督)などで注目を集めた小林竜樹を迎え、共演 者にインディーズ映画から『シンゴジラ』(庵野秀明総監督)といった大作、『anone』などの TV ドラマまで幅広く活躍する川瀨陽太、友情出演に烏丸せつ子、昨年、映画界を盛り上げた『カメラを止めるな!』から長屋和彰らが脇を固める。(監督の上田慎一郎も監督補として参加)


【ストーリー】

結婚目前だった春樹と知華子は、知華子の父が要介護になったため、別れることとなった。春樹は、知華子との生活と東京 での仕事を天秤にかけ、仕事の方を選んだのだ。
それから震災を挟んだ9年後、被災して死んだと思われていた知華子が「生きているかもしれない」との怪情報を得た春樹は 半信半疑のまま、知華子がいるという横須賀へと向かう。

 

『横須賀綺譚』公開情報

2020年7月11日(土)より 新宿k`sシネマにてレイトショー
出演:小林竜樹しじみ川瀬陽太、湯舟すぴか、長屋和彰、烏丸せつこ
監督/脚本:大塚信一        
撮影/照明:飯岡聖英              メイク :大貫 茉央
録音/整音:小林徹哉              美術応援:広瀬寛己
監督補  :上田慎一郎             宣伝美術:西垂水敦
助監督:小関裕次郎、植田浩行          制作  :吉田 幸之助
2019年/日本/86分/カラー/ビスタ/ステレオ/DCP
公式ホームページ:

www.yokosukakitan.com

 

【公開スケジュール】

7月11日(土):Kscinema
8月22日(土):横浜シネマリン
8月29日(土):兵庫元町映画館、大阪シアターセブン
9月:名古屋シネマスコーレ、京都みなみ会館、広島横川シネマ