ユンギボの映画日記

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名作映画の製作裏話の実録映画『Mank/マンク』(#1)

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オーソン・ウェルズ監督のデビュー作にして、代表作の映画『市民ケーン』。未だにアメリカ映画史に残る名作。そんな『市民ケーン』の脚本を書く羽目になった脚本家の男=マンクが主人公。

冒頭から、一軒家へ連れて来られたマンク。骨折した足にギプスをはめ、寝たきりのマンク。そこへ神秘的に登場するオーソン・ウェルズ。冷静なトーンで新作『市民ケーン』の新作を書くよう言われる。

そこから物語は、過去の回想シーンへ。マンクが「その時代、どんな脚本家なのか?」、「どんな生活をしていたのか?」、「何故、足を骨折する事になったのか?」等が語られていきます。

監督は『セブン』や『ファイト・クラブ』『ソーシャルネットワーク』などのデヴィッド・フィンチャー。その作品毎に独特な語り口を見せるダーク系監督。

そんなフィンチャーが、どんな実録映画を作るのかと思ったら、全編モノクロ。音声も当時の映画風。時系列をゴチャつかせた構成。さらに、“最高傑作に取り組む脚本家の男”を描きながら、製作当時の政治やアメリカ情勢まで見せてしまう。完全なフィンチャー映画でした。
本作は、実録映画だけあって、名作を大量に産み出したデイヴィッド・O・セルズニックなども実名登場。映画好きはキュンキュン。冷酷な鬼プロデューサーのイメージがあるセルズニックに対して、おふざけモードのMGMの脚本部メンバーなど楽しいシーン満載。

主演のマンク役を演じるのは、2018年、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマン。最近は、『チャイルド44』や『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』などの重厚な人間ドラマ作品と金のために出てるんであろう『死霊船 メアリー号の呪い』や『キラーズ・セッション』などのB級作品のピストン
出演が続いていました。
本作では、久々の“アル中ロクでなし”を演じたら天下一品のゲイリー・オールドマン、本領発揮!! どんなに酷い男でも、魅力的に演じてみせるゲイリー!!

クライマックスの天才オーソン・ウェルズとのケンカ。マンクの人生の分岐点をダイナミックに見せてくれます。

企画自体が素晴らしく、概ね満足な一本ではありましたが、当時の状況や周辺事情を知らないと解りにくい。エピソードの羅列である構成に多少の退屈さを覚え、星3つ。

★★★☆☆
星3つ
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