ユンギボの映画日記

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セクハラ問題で公開も危ぶまれたウディ・アレン新作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(#5)

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毎年、楽しみにしているウディ・アレン映画。本作は、ハリウッドの大物プロデューサーであるワイゼンシュタインによるセクハラ&パワハラ問題で公開が危ぶまれた一本。というのも、監督のウディ・アレンが何十年も前に起こした当時の妻ミア・ファローの養子へのセクハラ事件がありまして。#MeToo運動の流れで、この事件の話も掘り起こされ、映画の内容とか関係なく、公開が危ぶまれる自体へ。実際、映画会社は公開を中止。その後、アレン自身が権利を買い取り、NETFLIXへ売却。NETFLIX配信へ。

日本ではロングライドという会社の配給で劇場公開されていたのですが、コロナでバタバタしてて、劇場へ行けず仕舞いでした。なもんで、満を持してのNETFLIX観賞です。

本作は、ニューヨークへやってきたサブカルカップルの一日のお話。映画監督への取材へやって来た彼女。所が行方不明になった監督探しへ。途中から別行動になった彼氏の方は、ニューヨークを散策。学校の研修で映画を撮影する同級生と再会。そこで魅力的になってた友達の妹とも再会。
そんな流れで2人の別行動を同時進行で展開。2人の恋愛をベースに、どこへ辿り着くのか解らない物語。この行き先不明な脚本が多少、集中力を欠かせはするのですが、その中でも、おもしろユーモラスな描写が続出。思ってもない所から恋愛の始まるロマンティックさが、もはやファンタジーレベル。寓話的な効果も発揮!!

クライマックスの雨の中のキスシーンは、「このシーンを撮る為に、この映画を撮ったな!!」というくらいのアレン映画の中でもピカイチの名場面!!

今までウディ・アレン作品と言えば、昔から豪華キャスト。玄人受けする作品の数々。業界ウケが凄くて、スカーレット・ヨハンソンジェシー・アイゼンバーグエマ・ストーンなど、今をときめくナウい若手が喜びいさんで登場するのも魅力です。しかも、大した事ない役で出てたりする贅沢使い。

本作では、エル・ファニングやセレーナ・ゴメス、ティモシー・シャラメなど、ティーン人気な役者陣。さらに、ジュード・ロウディエゴ・ルナなど芸達者たちも出演。このサラッとさりげ無くゴッチャ煮れる感じがウディ・アレン作品。
それでも、みんなアレン芝居になってるから凄い(色んな意味で)!!

アレン作品で、もう一つチェックして欲しいのが、カメラマン。本作では、『地獄の黙示録』や『ラスト・エンペラー』などを手掛けたイタリアのベテランカメラマンのヴィットリオ・ストラーロ。アレンとは、前作『女と男の観覧車』、前前作『カフェ・ソサエティ』でもタッグを組んでいるストラーロ。本作では、黄色や赤などの色味でオシャレにまとめられた画が素晴らしいです。どこで一時停止しても絵ハガキのような美しさ。大事な芝居場を1カットで見せつつ、ちゃんと最低限の状況をフォロー。この2人のコンビ作をもっと観たい!!

星4つ
★★★★☆
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