ユンギボの映画日記

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不倫だらけの職場で殺人事件発生『推定無罪』(#17)

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ハリソン・フォードのサスペンスって、毎回、必要以上にヒヤヒヤしてしまいます。ガッチリ体型。デカい体。そんなハリソンが右往左往するだけで大変に野暮ったいのです。それがサスペンスとマッチ。必要以上の効果を上げるんですね!!

今回、ご紹介する『推定無罪』もそんな一本。
同僚の女が殺された所から物語スタート。犯人が捕まらないまま、テンポ良く容疑を掛けられる主人公。大した説明もないまま、やたら追い詰められていく主人公。これが、どんなにストーリーが進んでも犯人らしい人物さえ出てこないんです。

話の本筋は、主人公と殺された女と上司の職場内不倫ゴタゴタ。回想シーンにより、殺された女がのバックボーンが明らかに。すると、主人公の本音も発覚。ここまで来て、謎まみれだった事件の概要も解ってくる訳です。

メガホンをとったのは、『パララックス・ビュー』や『大統領の陰謀』、『デビル』などサスペンスモノをやらせると天下一品のアラン・J・パクラ監督。殆どの作品の舞台はニューヨーク。それも、どれも灰色のニューヨーク。作風と色の少ないトーンがマッチ。

そんな監督の元、本作の撮影カメラマンは撮影界のドン=ゴードン・ウィリス。「ゴッド・ファーザー」サーガやウディ・アレン監督作品などで超絶技巧を披露してくれたゴードン・ウィリス先生。本作でも、カメラワークを多用しつつも、安定した構図は維持。切替しさえもサイズを微妙に変え、観客への違和感をプレゼント。意識せずに不安な気分にさせてくれます。
それでいて、同室で話しているはずの人物に全く違う照明を当てています。なのに、シーンで観てると全然、変に見えない!! どーやてるんですか、ゴードン・ウィリス先生!!?
恐らく、そーなるよーに、外からの光や室内の電球、廊下側からの光源なんかを絶妙に調整してるんでしょうけど、それ凄過ぎません?!

どんな目線で観ても楽しい本作なんですが、クライマックスで凶器を発見するシーンは鳥肌!!

今回は、テレ朝版の追加収録バージョンで観賞。なんで、ハリソン・フォードは、フィックスの磯部勉さん。ソフト版の津嘉山正種さんバージョンのハリソンもシブくて良いんですが、吹替えファンとしては、やはり磯部フォードで観たい(聞きたい)所です。優踏生で知的な津嘉山フォードは、「まともな人が事件に巻き込まれたのか」という方向でしたが、磯部フォードは、より人間味が増々。それ故、ちょっと情緒不安定な余白が、追い詰められる後半での味に。どこへ着地するか解らない物語の世界へ引き込まれます。
ちなみに、上司役のブライアン・デネヒーを吹替えるのが石田太郎さん。ラウル・ジュリア役の吹替えを小川真司さんと超豪華な渋いメンツ勢揃いで、音声を聴いてるだけでウットリできる一本でもありました。

星4つ
★★★★☆
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