ユンギボの映画日記

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逮捕までの24時間を描いた実録ドラマ『恐怖の二十四時間 連続殺人鬼西口彰の最期』(#52)

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『恐怖の二十四時間 連続殺人鬼西口彰の最期』VHSジャケット

5人を殺害、日本中を逃亡していた実在の殺人鬼=西口彰を描いた本作。西口彰事件と言えば、佐々木隆三さんの書いたルポを原作とし、今村昌平 監督が作った映画『復讐するは我にあり』が有名です。映画版で西口彰を演じたのは、緒形拳さん。その後、原作の映像化は続き、根津甚八 版や柳葉敏郎 版も作られました。

しかし今回、ご紹介するのは、「復讐するは我にあり」を原作とせず、西口彰事件を描いたドラマ版です。ビートたけし(『金(キム)の戦争 ライフル魔殺人事件』の金嬉老事件)や片岡鶴太郎(『昭和の説教強盗 命はとらぬ金を出せ!』の“説教強盗”妻木松吉)などが犯罪者役を演じたフジテレビの実録犯罪史シリーズ。その中で製作されたのが本作。本作の西口彰は役所広司が演じています。

復讐するは我にあり」ではラスト部分、西口彰が弁護士の家へやって来た24時間のみを描きます。これが、「復讐するは我にあり」の短縮版にあらず!!

むしろ、連続殺人は冒頭のハイライトで終了。ヤバい感をバンバン放ちながら弁護士一家こ家に現れるのです。東京から来た弁護士に成りすまし一家の家に居候。
最初に、手配書を見ていた一番末の娘が西口の存在に気づくのです。所が家族の誰も信じず。
西口の行動に目を配る末娘。何を考えているのか解らない西口。次々と抜群のリアリティでウソの連続砲火。口車に乗せて、どんどん状況が変化していく展開はスリリング。

後半では、一家の不良息子が帰宅。義理の父に反抗、母親へは八つ当たり。家中暴れ回る姿に、まさかの西口が大説教!! 大熱演をブチかますのです!!
これがまさに、「やってはいけない事があるんだ!! お前はどっちに進むんだ?!」と、もう後戻りできない西口彰本人と重なるセリフ。思わずグッときてしまいました。

本作の脚本を担当したのは、大量の脚本だけでなく、小説や舞台演出、監督経験もある中島丈博。メガホンを取ったのは、NHKのドラマを多く演出した深町幸男 監督。

西口が居座る一家の主を演じる河原崎長一郎役所広司のセリフのヤリトリは緊張感がパないです。
一家の奥さんを演じる丘みつ子も怯えつつも、子供たちを気遣い、西口に悟られないようにする演技も絶品。

星4つ
★★★★☆

実録犯罪史シリーズ 恐怖の二十四時間 連続殺人鬼 西口彰の最期
1991年・フジテレビ、総合プロデュース・120分・カラー・スタンダード
監督:深町幸男 出演:役所広司 河原崎長一郎 丘みつ子
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