ユンギボの映画日記

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エノケンと柳家金語楼のハチャメチャコメディ『初笑い底抜け旅日記』(#56)

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『初笑い底抜け旅日記』ポスター

日本の喜劇人の代表エノケンこと榎本健一のコメディ映画。

冒頭から旅人役のエノケンが陽気歌って登場。旅先の村人との年貢の取立ての話を歌のみで紹介するミュージカル仕立て。
それでいて、エノケンが誘拐され、外を自由に出歩けない殿様へ旅先の話をさせられるクダリがあります。驚くべき事に、このクダリ、本編には全く関わってこないシーンなんです!! ただ面白いから入れただけ!!
作りは雑貨だけど、パワーで見せる昭和の日本映画。あっぱれです!!

さらに、エノケン古川ロッパと並ぶ喜劇人=柳家金語楼水戸黄門役(!!)で出演。助さん格さんと旅先で女スリに財布を盗まれ、同じ宿に泊まっていたエノケン水戸黄門と間違えられるドタバタっぷり。そんな中、状況を把握できないトボけた笑いを振り撒く柳家金語楼

本作の公開は、1955年の1月3日。タイトル通りの「初笑い」。正月から、こんなメチャクチャなコメディを観れたら、そりゃあ楽しくなるだろうなぁ。

本作公開の2年前にエノケンは事故で右足の指を切断しており、よく見ると足を引きずっているのが解ります。全編通して歌いまくってはいますが、エノケンお得意のアドリブや素早い動きはほとんど感じられず。
本作の2年後には、病気が再発し、右足を切断。長男も亡くし、自殺未遂を起こしています。

監督は、その他のエノケン映画や森繁久彌の「社長」シリーズを撮った青柳信雄 監督。脚本には、黒澤明監督の師匠である山本嘉次郎の名前が。山本監督と青柳監督と榎本健一は1歳ずつ違いの同世代。当時50代の3人を回想するのも感慨深いです。


星3つ
★★★☆☆

【関連動画】

エノケンの孫悟空 前篇  昭和15年
監督:青柳信雄
脚本:高木恒穂 山本嘉次郎
出演:榎本健一 柳家金語楼 榎本雅夫 柳沢真一 トニー谷 小堀明男
https://www.eigeki.com/series?id=27728&category_id=4&ym=202101