ユンギボの映画日記

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動物愛護団体がキレた、犬の呪いの陰鬱な映画『犬神の悪霊』(#57)

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犬神の悪霊』ポスター

日本の経済発展に向けた開発と昔からの村の言い伝えがミックス。独特の雰囲気を持った怪奇ホラー映画。犬への虐待描写が満載なので、ワンちゃん好きはご遠慮ください。動物愛護団体からの猛クレームのお墨付き。
今回はチャンネルNECOで観賞。

ウラン探索の為、山奥の村を訪ねた調査団グループ男たち3人。その際、ジープで小さな祠を破壊。犬まで轢き殺してしまいます。
半年後、村の娘と結婚式を挙げる調査団の一人の男。その結婚式でも調査団の仲間が発狂。もう一人もビルから飛び降り自殺。
さらに翌年、結婚した妻も様子がおかしくなっていきます。

冒頭から、オッパイおしり。ノーテンキな調査団グループ。祠を壊した辺りから、テイスト変化。人間たちを襲い出す犬たち。友人からの手紙を串刺しにする奥さん。一見、コメディのようなシチュエーションも、役者陣の度を超えた芝居により不気味さムンムン。

エクソシスト』では開始50分くらい掛けて登場した病院での検査シーン。本作では、30分くらいでサクッと済ませます。病院では役に立たないと判明してからは、村人たちの呪術作戦シーンが続きます。意味は解らないけど、大勢で石を奥さんの体に近づけたりする描写が不気味。それはウランを想像させるからか?

さらにストーリーが進むと、村人たちは被差別モードへ。村人たちが主人公一家の家へ石を投げまくります。

演出も『サスペリア』かしら?と思うような水色の照明。夜中、少女が主人公の部屋を訪ねてくるシーンは、少女の背中に照明を取り付けているのか? 光も少女と共に動いてるから怖い画に仕上がっています。この照明技術を探って観るだけでも、かなり楽しめます!!

ウラン発掘の事業は順調。そんな中、奥さんも死んでしまい、途方に暮れる主人公。奥さんの友人だった村の娘には、“犬神憑き”のレッテルが貼られます。村人たちは“犬神の呪い”と悪霊退散の儀式を行い、一家を村八分

状況はさらに悪化。井戸水への毒物混入事件が発生。死人まで出てしまいます。それはウラン採掘で捨てた汚染物質が地下水に混入してしまったと知る主人公。所が、とき既に遅し。村人ちは「毒を井戸水に入れた奴がいる」と大騒ぎ。さらなる悲劇へ発展。どんどん陰鬱な雰囲気に。

やたらテンポの良いストーリー展開。逆に早過ぎて「なんで?」という疑問も。それらを踏まえても演出のパンチ力は抜群!!
だって、監督は伊藤俊也。「女囚さそり」シリーズでやり過ぎ演出をテンコ盛り。ストーリー説明より画のインパクト。訳が解らんままに映画を語り切ってしまう凄腕監督なんです。
そんな伊藤俊也監督&東映が『エクソシスト』や『オーメン』、『犬神家の一族』のオカルトホラーのヒットに便乗して作ったのが本作。

一族への呪い、ヒステリックになっていく村人たち、隠された座敷牢、ワンちゃん虐待描写……嫌ぁ〜な画やモチーフが次々と登場。観てるコチラの気が触れそうになってきます。
一時は幻の作品でしたが、今ではDVDも発売されていて簡単に観れます。


星4つ
★★★★☆

犬神の悪霊
1977年・東映・107分・カラー
監督:伊藤俊也 出演:大和田伸也 泉じゅん
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