ユンギボの映画日記

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ムチムチなクリスティーナ・リッチの色気がムンムン『僕のニューヨークライフ』(#75)

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公開当時、ボクの好きなクリスティーナ・リッチが、ボクの好きなウディ・アレンの作品に出る事自体が個人的大ニュースでした。
クリスティーナ・リッチと言えば、「アダムス・ファミリー」シリーズや『キャスパー』など子供から大人まで楽しめるキャラものエンタメ映画がヒット。実は、そんなヒットの最中、リッチの両親が離婚。精神不安定になった彼女は自虐行為へ。『キャスパー』が1994年の公開。
それから、第二次ヒットが1998年の『バッファロー'66』。当時は俳優やモデル、カメラマン、建築まで、アーティストとして活躍していたヴィンセント・ギャロが初監督した『バッファロー'66』。本作の中で、主人公に連れ去られたにも関わらず、どんどん恋愛関係へ発展するヒロインをチャーミングに演じていました。そのアーティスティックな作風もあって、リッチの魅力ムンムンでした。

I love ペッカー』や『耳に残るは君の歌声』、『スリーピー・ホロウ』など、様々なジャンルに出演。映画ファンのハートに刺さる玄人系の映画ばかり。それでも、以前ほどのヒット作はなく。そんな2003年に公開された『僕のニューヨークライフ』。

本作の主人公は、スタンダップコメディやステージでのトークネタを書く若き作家。主人公は、リッチ演じるヒロインと同棲中。このヒロインが良く言えば“自由奔放”。悪く言うと“ワガママ”。そんなヒロインをリッチが演じると、なんともチャーミング。主人公がメロメロなのが解る!!
しかも、自分の容姿を「ブス」「デブ」と言い放つヒロイン。拒食症だった過去を持つリッチ(オッパイを小さくする手術も受けています)のセルフパロディのように見えてドキッとしてしまいます。
ただ、ムダに足を上げたりする姿勢が無性にエロいんですけど!!

所が、話はそれだけでは終わらず。ヒロインに負けず暴走系の母親が、主人公の部屋へ転がり込んできます。最悪の3人暮らしです。
その他の人物も変な人ばかり。“良いヤツ”なんだけど、仕事の出来ない主人公のマネージャー。ウディ・アレンが演じる主人公と同職の老人。彼らからアドバイスを貰ったり、逆に巻き込まれたりする主人公。

物語は、「えっ?!」という運命論なラストへと向かっていまきます。観ている時は、本当に先行き不透明。「この話はどうやって終わるんだろうか?」と観ていました。
このラストも公開時には不満を感じましたが、今は軽妙で粋な終わり方に感じました。

監督・脚本・出演と三足の草鞋で本作を撮ったのは、ウディ・アレン。年に1本ペースで作品を世に放っています。公開当時のアレンは、『おいしい生活』や『スコルピオンの恋まじない』、『さよなら、さよならハリウッド』など軽妙で破茶滅茶な設定のドタバタコメディを連発していました。が、スランプと言っても良い程、ヒット作もなく、評価も芳しく無いものでした。
インタビューによると、「『さよなら、さよならハリウッド』では、“目の見えなくなった映画監督が新作を作る羽目に合う”という話をやったので、今度は独創的なキャラクターがドラマの中心になる映画を作りたかった」という旨の話をしていました。
なるほど。ウディ・アレンの映画って、ほとんど同じフォーマットに感じていましたが、そんな違いがあったんですね。

ウディ・アレンの映画によく出る傾向が本作にも続々登場します。例えば、作家の主人公。そして、大抵はアレン本人同様、スタンダップコメディアン
ヒロインは、大体が女優や歌手の卵。スターを目指してレッスンに明け暮れています。『アニー・ホール』、『インテリア』、『ブロードウェイと拳銃』、『誘惑のアフロディーテ』とか。
ストーリー的には、若い主人公の場合、主人公とヒロインが出合い、スレ違い、別れまでを描くパターンが多いです。
過去作品との共通点で言えば、“第四の壁”を超える所。『アニー・ホール』や『地球は女で回ってる』でもやってました。それ以降も、『人生万歳!』でも使ってました。

逆に、公開当時に以外だったのは、主人公のスタンダップコメディで小説を書いている設定。若い頃のアレン自身が演じるキャラに多い設定でした。それが本作では、ジェイソン・ビッグスが演じています。ビッグスもリッチ同様、子役からキャリアをスタート。1999年にお下劣おバカコメディ『アメリカン・パイ』に出演、ヒット。その後、シリーズ化されます。2003年に「アメリカン・パイ」シリーズ第二作『アメリカン・サマー・ストーリー』に出演。同年、アレン同様、自身で脚本と監督を兼任するケヴィン・スミスのコメディ『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』に出演(ただしクレジットなし)。
2001年には、『私は「うつ依存症」の女』でリッチと共演済み。アレンによる本作での2人の起用は、その際の2人の相性を見てなのかな?

その見立ては正しく、本作での2人のヤリトリはまるで舞台での演劇を見ているようなテンポの良さ。ストーリーは多少、停滞し、退屈な部分もありましたが、この2人のヤリトリを見れるだけでも観る価値のある作品でした。

星3つ
★★★☆☆