ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

『ランペイジ 巨獣大乱闘』

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ランペイジ 巨獣大乱闘』を観賞。

怪獣映画ファンと巨大生物ファンと両方のファンのハートをカツアゲする巨大生物のプロレス映画。

去年、公開された『キングコング 髑髏島の巨神』はモンスターバースというシリーズで、今後、『GODZILLA ゴジラ』のゴジラキングコングが闘う『Godzilla vs. Kong』という作品の製作が決まってます。そこで、怪獣王対決が始まる前に、巨大生物対決を実現させてやれ!というのゴキゲンな掛け声が聞こえてきそうな映画が本作。

遺伝子操作により、キングコングのようにデカいゴリラとオオカミ、その2匹より更にデカいワニが登場。街中で三つ巴の闘いを繰り広げるという、まるで中学生が考えたようなストーリーをまんま映像化。

3匹の巨獣なんて人類には手も足も出ないと思いきや、マッスルボディの持ち主、ドェイン・ジョンソンが霊長類学者という嘘にも程がある設定で登場。しかし、そこはただの学者な訳はなく、元陸軍特殊部隊&元国連の反密猟部隊というセガールのような肩書き付き。巨獣たちとガチで対等に闘うギャグみたいなクライマックスは必見です!

巨獣たちの登場しない前半は、DNAがどーしたとか、遺伝子がどーしたとか、ロック様の何もない日常とか、巨獣と優しきマッチョが出来上がっちゃった言い訳のよーなシーンが続くので退屈なんです。でも、中盤で巨獣たちが街へ到着するので、ご安心下さい。

フリン・ピクチャー社の創始者で、本作を製作するボー・フリンは
「巨獣たちを夜のシーンや雨や曇り空の下に隠すようなことはしたくない。映画全体をとおして、変異し乱闘する彼らを陽の光に照らし出したい、彼らが引き起こしている破壊を青空のもとに映し出したいと思った」
と言う解ってる人物。そのゴージャスな発言の通り晴天の中、暴れまくる巨獣たちには大興奮。

細かい設定を考え始めたら逆に負けな巨獣エンタメ大作を観て、ゴジラキングコングの闘いに夢を馳せて待ちましょう!!


ランペイジ 巨獣大乱闘
★★★☆☆
星3つ

『兄友』

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『兄友』を観賞。

少女マンガを実写化した学園ラブ・コメ。

先月まで放映されていたドラマ版は主人公の2人が付き合い始めて以降のエピソード。本作はその前談。そう、この2人、本作の序盤で普通に付き合っちゃうんですよ!
えっ?! 普通、ラブコメって、2人が付き合うまでのお話じゃないの? そんなんで、その後の展開は大丈夫? ……って思いますよね!?
そこが、本作の主題なんですよ! 2人とも付き合い出したは良いけれど、ウブ過ぎて手も繋げない。それ所か、お互いの下の名前も呼び合えない。もうピュアを通り越してコミュ障な域。

お互いの為を思っての行動が絶妙な裏目に出てしまい、2人共、疑心暗鬼モードへ突入。そんなタイミングで、お互いの恋敵が現れて……という悪い事は重なる展開へ。付き合うまでのハッピーな妄想の先で待ち受けていた人間不信レベルな現実とのギャップ映画なんです。

ドラマ版と同時撮影だったという事もあり、テレビ向けのライトなノリがノーテンキに観れる作風で、もはや映画とは呼べない代物に。そん中で全力コミカルの横浜流星くんと松風理咲ちゃんが微笑ましかったです。

周りのキャストも、松岡広大くん、古川毅くんとイケメンたちが乙女のハートをカツアゲ。声優の福山潤による恋の指南シーンもオプション追加で、腐女子のハートまでカツアゲですわ!
しかし、オジさんは何も奪われる事なく、ただただ苦悩をつづった自己満モノローグに吐き気さえ感じましたわ。映画みたいなゴミ!


『兄友』
☆☆☆☆☆
星0つ

『ばあちゃんロード』

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『ばあちゃんロード』を観賞。

映画美学校のプロットコンペティションで最優秀賞を受賞したプロットを元に製作されたのが本作。

主人公は結婚が決まったヒロイン。その事を疎遠になっている祖母へ報告に行くと、歩けなくなって、施設で気弱な偏屈ばあちゃんに再会。そこで、子供の頃のばあちゃんっ子魂に火が着き、「バージンロードをばあちゃんと歩く」という泣かせる目標を掲げるんです。

で、毎日、施設へばあちゃんに会いに行き、バージンロード・ミッションのクリアを目指すというストーリーになっております。

一見して、テレビのドラマ・スペシャル枠っぽいのですが、流石の貫禄を見せるのが、ばあちゃん役のベテラン:草笛光子

ばあちゃん孝行街道をひた走るヒロインがフィアンセと揉めたり、ばあちゃんのメンタル改革に乗り出したりというドラマもあるんですが、後半は、もうばあちゃんの映画。表情のみで、孫への思いや自らの体への不安を表現。

ちなみに、車イスで散歩するシーンはオール・アドリブとの事。外出にウキウキする感じで喋り倒し、それに答えるヒロイン役の文音ちゃんもグッド!

メガホンを取った青春映画で秀作を生み出し続けている篠原哲雄監督。エンタメ映画としては弱いのですが、なんて事ないよーなストーリーをロケ地の美しさ、ヒロイン役の文音ちゃんの凛とした表情など、良い所をより綺麗な演出でまとめ上げていました。


『ばあちゃんロード』
★★☆☆☆
星2つ

『四月の永い夢』

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四月の永い夢』を観賞。

恋人を亡くした主人公の日常を静か&丹念に描いた、いかにもインディーズな邦画。

冒頭から、かなり丁寧に主人公の女性の日常が描かれていくんです。すごーく丁寧に一つ一つの事柄が描かれていく。定食屋でのバイト。図書館へ行ったり。映画館へ行ったり。

決して解りやすい映画ではないんですが、ちゃんと観てると、徐々に彼女の元カレが死んだ過去が解ってくるんですね。

本作の潔いというか、面白いのは、安易に回想シーンなどで死んだ彼氏とのエピソードを語るよーな事はしないんです。むしろ、元カレがどんな人物で、主人公が具体的に何で悩んでいるのかも語られない。
そんな中、バイト先の常連客の青年から言い寄られてもハッキリとした態度を取らない。友人が仕事を紹介してくれても断る。 なんで?! どーして?! 一体、どんな彼氏で、どんなエピソードがあったの?!

で、この映画の上手い所は、そのヒントっぽいものが全編に散らばってるんです。名画座で1942年公開の『カサブランカ』という映画を観に行ってたり、主人公の部屋にやたらと古めかしいデザインの物が多かったり。もしかして、それは死んだ彼氏との? なんて考えると、メチャクチャ過去に囚われてるよーに観えてくるから不思議ですよ!

そして、主人公の元に届いた死んだ彼氏からの手紙により、過去をふっ切る旅が始まるんですね。

透明感&凄く繊細な表情で、過去を引きずりマクリスティーな主人公を演じるのは、朝倉あきが素晴らしいんです。なんなら、ちょっと少女っぽさも醸し出してますからね!

いかにも日本より外国の芸術系映画祭で栄える作品だと思っていたら、日本での公開前に、世界四大映画祭の第39回モスクワ国際映画祭のメインコンペティション部門に正式出品。国際映画批評家連盟賞とロシア映画批評家連盟特別表彰のダブル受賞を果たしてました。

エンタメ映画のような見せ場がある訳ではないですが、静かに一人でしっとりムービーを観たい方にはオススメの一本!!


四月の永い夢
★★☆☆☆
星2つ

『孤狼の血』

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孤狼の血』を観賞。

これは久々に楽しめるヤクザ映画です!!

警察とヤクザの癒着モノというフォーマットを取りながら、話は二転三転のスリリングなサスペンス。豪華キャストな上、警察とヤクザの間で生きるしかなくなった男の生き様を見せつける傑作でした。

若手刑事の松坂桃李くんが暴力団担当のベテラン刑事=役所広司とバディを組まされるんです。でも、その先輩刑事は、殴る!蹴る!!被害届を出しに来た女とヤッちゃう!!昼間からパチンコへ行く!!恐喝する!!気楽に賄賂を受け取る!!ヤクザに因縁をつけて脅す!!不法侵入する!! もうヤクザよりも正しい極道街道を走る限りなくヤクザな刑事!! 勿論、本物のヤクザとも仲良し。

所が松坂くん、途中で気づいてくるんですよ。対立関係にある二つのヤクザ組織の間を行ったり来たりしている役所広司が抗争を未然に中和しているのでは? あれ? このパイ先、実は良い人なのでは? ……と、最初は嫌悪気味だった松坂くんも段々と感情移入していく師弟関係へ。さらに、そんな松坂くんにも実は……という秘密もあり。
そして、ヤクザにボコボコにされた所を手当てしてくれた薬局のオネーちゃんとのロマンスもあり。抗争開始のカウントダウンにハラハラ。もう山盛りかつ贅沢な一本に!

広島弁で荒れ狂う役所広司が最低なんだけど、酷い程、カッコイイ!! ヤクザからも警察側からも陰口を叩かれつつ、良い人とも悪い人とも取れる絶妙なバランス。
敵対しているヤクザの皆様も超豪華メンツ。インテリヤクザ江口洋介。胡散臭い組長の石橋蓮司。『仁義なき戦い 広島死闘編』の千葉ちゃんのコスプレで登場の竹野内豊。情報屋の右翼組員にピエール瀧(安定の右翼顔)。物語の中心になるクラブのママ役を圧倒的な肝っ玉で演じる真木よう子

もうテロップの入れ方、編集の仕方から『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』のオマージュまでブチ込まれていて、非常に正しい深作欣二リスペクトもスパークしてます!! 深作欣二ファンには無条件にオススメ!!


孤狼の血
★★★★★
満点5つ星

5/3『犯罪都市』

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犯罪都市』を観賞。

警察組織VSヤクザ組織の抗争というレトロな物語を肉弾戦メインで描いた韓国発のアクション痛快サスペンス映画が日本到着!

本作の魅力はなんと言っても主演のマ・ドンソク! レスラーのような巨体と眩しそうな眼差し。本作でドンソクが演じるのは、強行犯係のリーダー。ナイフを持ったヤクザも拳ひとつのワンパンチで解決。コワモテなビジュアルとは裏腹に、ちょっと香水をつけただけで同僚にイジられる愛されキャラ。

そんな主人公の管轄に、ナイフや斧を使った残虐スキルを遺憾なく発揮するヤクザ組織が登場。地元ヤクザをグサグサ刺したり、体の一部をストンと切り落としたり、極悪非道な方法でやりたい放題。

悪役のボス役を演じるのは、アイドルグループ出身のユン・ゲサン。体を鍛え、体重を増やすというデ・ニーロ・アプローチにより、マッチョ体型にトランスフォーム。元アイドルとは思えないキレのあるアクションでイカれたヤバい奴を怪演。
かくして、正義のマッチョ=ドンソクVS残酷マフィア=ゲサンという韓流好きのオバちゃんも裸足で逃げ出す夢のタイトルマッチが実現!

そして、この映画、とにかく飛道具が出てこないんです。武器と言えば、ナイフや斧、割れたガラスの破片、己の拳。肉弾戦に全力投球映画なんです。
新感染 ファイナル・エクスプレス』や『MASTER マスター』の韓国を代表するホ・ミョンヘン武術監督によるスリリングなアクションの数々。武術家でも格闘家でもない、実際の刑事の戦闘を追求したリアルなアクションは、ボクシングや柔道、護身術などが豪華コラボしたようなハイスペックなものに。

それと、本作は壮絶なアクションだけではなく、主人公と周辺人物とのヤリトリがユーモラス&キャラを浮かび上がらせるのが上手いんです。主人公の行きつけの飲み屋で手伝いをしている子供とのハートフルな交流。ハード過ぎる職務にメンタルが擦り切れ部署移動した後輩のアフターフォロー。女性を相手にすると童貞のようにモジモジ。きめ細かい気配りのできる心優しき野獣っぷりは必見。

本国でのヒットを受けて、すでに2作目の企画もスタートしてるとの事。

犯罪都市
★★★★☆
星4つ

5/3『タクシー運転手 約束は海を越えて』

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『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観賞。

今年、ボクのトップ10に入るであろう傑作を見つけて来ました!

舞台は1980年。主人公は韓国のソウルで働く小市民のタクシー運転手。この愛すべきお調子者なキャラを名優ソン・ガンホが寅さんの渥美清風味のひょうきんさで演じてる訳です。
滞納した家賃を払うのに、大家から金を借りようとするクダリは爆笑必至。愛くるしいソン・ガンホだから出来る憎めないキャラなんです。
滞納した家賃を払う為、大金と引換えに、事情も知らず乗せたドイツ人記者。その目的は、デモ活動により封鎖された村への取材だったんですね。ここから危険な旅が始まります。まさに命懸けでした。
脚本的に上手いのが、ドイツ人記者を目的地へ送るミッションと同時にシングルファーザーである主人公の11歳の娘との約束を果たす為に早く帰るというタイムリミットも用意されてるんです。それが、主人公のキャラのバックボーンをより掘り下げるのに効果テキメンなんですね。
そして、言葉の通じない2人のギスギスした旅は、デモ隊も市民も見境なく攻撃する軍の横暴の前で熱い友情へトランスフォーム。男泣きな感動のラストを迎える訳です。

警察や政府がデモ隊や市民を力技で鎮圧する為、メディアに嘘の情報を流していたとか、規制線を張って、村の外と隔絶していた……など重たい実話をバランス良く落とし込んだ構成は素晴らしいの一言。

パンフには、監督やソン・ガンホのインタビューに加え、事件や時代背景のバックボーン。そして、当時のタクシー情報まで盛り沢山な内容。韓国の歴史のお勉強としも役立つ一冊でした。


『タクシー運転手 約束は海を越えて』
★★★★★
満点5つ星

5/1『勝手にふるえてろ』

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勝手にふるえてろ』を観賞。

驚くべきことに、主演の松岡茉優ちゃんが可愛いんですよ! もう、それに尽きる一本という感じがします。しかも、可愛いだけでなく、セリフ回しが抜群に上手いんですよ! 「ブスじゃないんだけどモテない子」の絶妙なバランス! とても『ちはやふる』のクイーンと同じ役者とは思えない!!

コミュ障で妄想ばかりの非モテ女子。マシンガントークで自分の思いを語り、空気も読まずに感情をすぐ顔に出してしまう。そんなヒロインを松岡茉優ちゃんが魅力的に演じてます。
冒頭の会社から帰宅途中に出会う人々(古舘寛治片桐はいり前野朋哉趣里池田鉄洋と、セリフ少なにインディーズ映画や演劇界の名優たちが脇を固める豪華さ!)に自分の思いを吐露する面白さ!
中学の頃から思いを寄せる男の子と、急に告白してきた冴えない会社の同僚。2人の男に揺れ動く少女マンガの王道パターンを現代的にリフォームした脚本もコミカル。
ただ、いかんせん、演出がかったるいんです。本当に勿体ない。ボクでも解るレベルで演出がちゃんとされてないんです。シーンとシーンの繋ぎが意識されておらず、強弱のない平坦な演出が、とにかくかったるい。なんで中盤の中だるみ感が凄いです。
ゆえに、松岡茉優ちゃんの可愛さを堪能する映画レベルに留まっている作品でした。豪華キャストで各モチーフ、セリフ回し等も良いだけに、本当に勿体ないと思いました。


勝手にふるえてろ
★★☆☆☆
星2つ

5/1『ラッカは静かに虐殺されている』

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ラッカは静かに虐殺されている』を観賞。

シリアの残酷な現状を写し出す過激なドキュメンタリーでした。
そもそもラッカとは、シリア北部の街。過激思想&武力拡大するテロ組織=「イスラム国」により、牛耳られてる街なんです。もう、やりたい放題なんですよ。イスラム国のメンバーたちは、言うことを聞かない市民を公開処刑してるんです。それが、首を切り落とし、広場で見せしめにしてたり、死体を街中に吊るしたり。恐怖で統治する酷い奴らなんです。でも、その酷い事を他の国にはバレないよーにと、ハードなメディア規制をしてるんです。そこで、立ち上がったのが、本作の主人公たちである市民ジャーナリストたちなんです。彼らは、爆撃で瓦礫と化した街や街中で日常的に起きている公開処刑(というか、もう殺人)をケータイやデジカメで撮影。ツイッターFacebookなどのSNSへアップする組織を結成。その市民ジャーナリストの組織名が「ラッカは静かに虐殺されている」なんです。

ただ、この映画で描かれる「ラッカは~」のメンバーたちとイスラム国の戦いがとにかく観てて辛い。焦りだしたイスラム国の報復がとにかく陰惨。ある日、イスラム国のFacebookに「今、お前ん家の玄関に来てるぜ」みたいコメントと自分の家の写真がアップされてるんです。挙げ句、父親を拉致られ、殺害する瞬間の動画もアップするんです。「次はお前だぞ」とばかりに、賞金まで懸けられるんです。
もうシリアには居れなくなって、トルコやヨーロッパやドイツと亡命する羽目になるんですけど、どんどん追い掛けてくる。これ、実話ですからね! ドキュメンタリーですから! 酷いですよ!

国内から発信される情報は、イスラム国のプロパガンダ映像ばかり。ニュースで観たことある人もいると思いますが、ハリウッドからプロを呼んで、オシャレ映像みたいに作ってるんです。そのくらい、イスラム国はメディアの重要視してるから、徹底して「ラッカは~」を追い込んでくるんです。最終的には、ネカフェを閉店させ、パラボラアンテナを取り外し、国内のメンバーたちとヤリトリできないよーにしたりしてきます。全てが力業。

そんな連中と命を賭けて、SNSに真実を配信し続ける市民ジャーナリストたちの苦悩のドラマが本作の90分に凝縮されてました。

ゲームやオモチャでそそのかされた子供たちが捕まった市民の頭を撃ち抜くシーンや柵の上に平然と刺さってる生首など、ショッキングなシーン満載です。これが、この国の現実かと思うと目を背けてはいけないと思う反面、感情的には目を覆いたくなるシーンばかりなので、観賞には注意が必要かと思います。


ラッカは静かに虐殺されている
★★★★☆
星4つ

4/30『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観賞。

10年目突入のDC映画。記念すべき19本目。もう、そんなけキャラ増えたら収拾つかないわ!と思いきや、ご安心ください! 見事にバランスの取れたファン映画! だって、スターク社長とストレンジが言い合い! ガーディアンズとソーが同じ宇宙船に乗ってる!キャップとブラックパンサーが共に戦う! 様々な場所であらゆるキャラたちが同時進行で夢のコラボを連打撃ち!! ファンから感動と興奮をカツアゲする豪華仕様です!!

もう冒頭から、“あるキャラ”がアッサリ殺される衝撃的な幕開け。殺したのは本作の悪役にして、今までちょっとずつしか登場していなかった大物ラスボスのサノスさん!
サノスさんの目的は、宇宙中に飛び散る6つのインフィニティ・ストーンを集め、宇宙の人工を半分にすること。何を言ってんだ?という感じですが、それが彼の信念。彼なりの正義を信じて、そーゆー極悪な目標をかかげてるんです。そう、サノスさんにも、ただの悪い奴という訳ではない深いドラマチックが用意されてます。もう不思議と後半には、ちょっとサノスさんを応援してる自分がいました。それだけ、人間臭すぎるキャラなんですわ。
その為、地球中に散っていたアベンジャーズたちや宇宙に行ってたハルク&ソーも帰還。スパイダーマンも晴れてアベンジャーズ加入。『シビル・ウォー』で行方不明になってたキャップも姿を現し、宇宙で活躍していたガーディアンズも参戦。みんなが「サノスの計画を阻止する」という目的の元に共闘するんです。
しかーし!! 1つだけでも、かなりのパワーを発揮するインフィニティ・ストーンを着々とゲットしていくサノスさん。ストーンの力を使って、セガール並に負けそうにもなりません。全てのインフィニティ・ストーンを集めると、もう指パッチンで宇宙の人工を半分にできるという話。果たして、サノスさんの指パッチンは見られるのか?!
ラストは、急にハン・ソロが石板にされて終わる『帝国の逆襲』並みに、衝撃的かつ次回への期待を残して終了。
本作と次作は同時に撮影されていたとの事。次回が楽しみ過ぎます!

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
★★★★☆
星4つ

4/21『レディ・プレイヤー1』

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『レディ・プレイヤー1』を観賞。

本作は巨匠スティーヴン・スピールバーグのやりたい放題が暴走した一本! 果たして、映画好き以外、楽しめるのか?疑問な作品でもありました。
2045年の未来世界。エネルギー危機、地球温暖化、飢餓、病気の蔓延……とバード過ぎる現実。人々はゲームの世界へ現実逃避。なんで、舞台は仮想現実の世界であるVR(バーチャルリアリティ)ワールド。妄想を自由に具現化できる夢の世界なんです! 自分の姿をお好みにカスタマイズ! 好きな映画やアニメ、ゲームのキャラに変身できるんです!

そんな自由のブレーキが壊れた設定がゆえ、冒頭のカーレース・シーンから主人公は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン・カー=デロリアンに乗ってたり、 競争相手は『AKIRA』の金田バイクだし、『マッドマックス』のインターセプターまで走ってるんです! しかも、コースを妨害してくるのは、キングコングや『ジュラシック・パーク』のティラノサウルス!! その他、通行人たちもよく見るとバットマンジョーカー、キティちゃんに、『エルム街の悪夢』のフレディなどなど。挙げ句、ガンダムメカゴジラ、『シャイニング』の世界を完全再現……と、巨匠の常気を逸したワガママが炸裂。全シーンに、様々な映画やゲームのキャラが追えないスピードでゲスト出演。「ソフトになったら、また買ってね」とスピバのドヤ顔が見え隠れ。そりゃあ、スピバがやるって言ってんだから、止められる人間はいないですよね。

物語の冒頭、VRの創設者が死亡。VR世界内に隠された3つの謎を説いた者に全財産56兆円&オアシスの後継者の権利をプレゼントという太っ腹な遺言を残した事により、争奪戦勃発。スーパーオタクな主人公はVRゲームの中でゲーム内の仲間たちと協力。3つの謎解きミッションにチャレンジ。その中で、金にモノを言わせる大企業の妨害を受け、VRの世界でも、現実の世界でも追われるというスピバらしいサスペンスの追加オプションにヒヤヒヤしてしまいます。まさに、テーマパークのアトラクションのような観てる間は楽しいけど、何も残らない作品に仕上がってます!!

本作には『ゲーム・ウォーズ』という原作小説があります。小説版では、80年代カルチャーを浴びるように育った原作者による、さらに酷いレベルでのオタクなオマージュ作品が続々登場との事。なんで、まだマシな方なのかもしれませんが、それにしても映画好き以外を置き去りにしてる感があります。
スピバ曰く、
「僕が初めて脚本を読んだとき、『オッケー。これは馬鹿げている。彼は僕のことを、僕が1980年代に手掛けたものを、10ページごとに登場させている』と思った。『他の誰かが監督をやる必要がある』と言ったんだ。でも、もし誰か他の人がこの映画を作って、僕の作品を入れすぎたら、僕は恥ずかしく思うだろう。それで、『やっぱり僕が監督するべきだ。そうすれば僕の作品をそんなに入れないで済む』と思ったんだ。」
との事。
まぁ、一応、「ゲームの世界で現実逃避してないで、現実の世界でちゃんと生きろ!」というテーマがあるんですが、スピルバーグ、お前が言うな!!

パンフレットは、イントロダクション他、ギンティ小林さんによるオマージュ作品の解説が楽しい一冊になっていました!


『レディ・プレイヤー1』
★★☆☆☆
星2つ

4/15『ワンダーストラック』

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ワンダーストラック』を観賞。

ちょっと変わってるノスタルジックなヒューマンドラマ。「変わってる」とは、2つの話が同時進行していくストーリーなんです。
1人目の主人公は、1927年の生まれつき耳の聞こえない女の子。母親がいない孤独な女の子。彼女の心を慰めてくれる憧れの女優に会う為、ニューヨークへ家出するんです。
2人目の主人公は、1977年の父親のいない男の子。ある日、父親の物と思われる博物館の本を発見。なんと、そのタイミングで雷が落ち、耳が聞こえなくなってしまうんです。彼もまた家出し、ニューヨークへ父親探しの旅へ。

この映画の面白い所は、時代の違う2人が物語の中盤で、共にニューヨーク自然史博物館へ迷い混むんです。タイトルの「ワンダーストラック」というのは、このニューヨーク自然史博物館の本の事なんです。勿論、時代が違うので、展示や街並みも違います。
それを1927年パートはモノクロのサイレント映画(セリフの無い映画)として演出。1977年パートはニューシネマ(自然光を多用したロケ撮影中心の映画)として演出。つまり、時代背景になっている当時に作られていた映画のように、本作も作られているんです。まるで、2つの時代の別々の映画を巧みに1本に編集したかのよう。
そして、クライマックスに近づくにつれて、2人の関係が明らかになっていく脚本も素晴らしいです。

キーとなるのは、ニューヨーク自然史博物館なんですが、舞台はニューヨーク全体。2人の主人公は人探しの為、色んな人に出会い、ニューヨークの様々な所を旅していくんです。なので、まるでニューヨーク観光に出掛けた気分を味わえます。しかも、1920年代と1970年代のタイムスリップ旅行です。
そして、BGMはデヴィッド・ボウイの「スペースオディッティ」。

パンフは、本作のバックボーンの設定を割りとあっさりめに解説した内容なんですが、劇中に登場する「ワンダーストラック」を再現した表紙が超キュートです。


ワンダーストラック
★★★★★
満点5つ星

4/15『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

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ヴァレリアン 千の惑星の救世主』を観賞。

今まで『レオン』や『フイフィス・エレメント』などジャンル無双なフィルモグラフィを作ってきたリュック・ベッソン監督の中二病爆発SF大作。
銀河パトロールの連邦捜査官である主人公=ヴァレリアンが悪党の謎な取引を追うミッションが中心。ではあるんですが、相棒であるヒロインとのラブ・ロマンスも描かれるワガママ仕様。
とにかく、主人公のキャラが良いんです。プライドが高く、ごう慢なプレイボーイ。捜査の最中もヒロインを口説き続けるも、なかなか相手にされない。ヒロインの前だと強がる。銀河規模のミッショッン中でも緊張感のないノーテンキなノリ。どこか既視感があるなと思ったら、『007 ムーンレイカー』のクオリティ高い版ですわ!
と言うのも、スゴ腕という設定で、確かに仕事っぷりはキレッキレなんですが、やたらと寄り道する展開が多いんです。所々、ストーリーと直接、関係ないシーンが出てくるんです。
冒頭から、美しい惑星で暮らす宇宙民族の平和な日常を描いてるんですが、やたら長い! そんな細かく描く必要ある?って程、長いんです。でも、それが晴れ渡った海を背景に、他の映画では観たことないオジリナリティ溢れる宇宙民族の風土を美しいパステル調の映像で描いてるんです。それを言葉なしで描き切る。まるで、アート系ショート・フィルムを観てるような。それがベッソン監督流なんです!
歌手のリアーナが演じる宇宙人のショータイムのシーンも、次々と衣装チェンジ。これまた長いんですが、まるでライヴ・パフォーマンスかPVのような仕上がり。それがクセになりそうな痛快さ。チョイチョイそーゆーシーンが出てくるんです。ミッショッンそっちのけで、ヒロインを追い掛けたり。もう圧倒的なヴィジュアルで蛇足シーンを面白く見せる熟練の技ですよ!

本作、ベッソン監督の会社であるヨーロッパ・コープって会社で作ってるんですよ。要は、やりたい放題なんです。ルーカスがルーカス・フィルムで『スター・ウォーズ』作ったノリです。「意味は無いけど、面白いだろ?! 何か文句あっか?!」っていうジャイアンイズムの中で作られてるんですわ!
オープニングの現代の地球が他の惑星の宇宙人たちと連合を築くまでのプロローグ・シーンにデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」を使うオジさんセンスにグッときてしまいます。

パンフには、本作の細かいバークボーンや構想20年のあゆみ、スゴ過ぎるヴィジュアルの製作秘話など、やり過ぎな裏側は読み応え抜群でした。


ヴァレリアン 千の惑星の救世主
★★★★☆
星4つ

4/14『リメンバー・ミー』

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リメンバー・ミー』を観賞。

トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』を作ってきたピクサーの新作は、まさかの死者の国!
舞台はカラフルで陽気なメキシコ。冒頭からピクサーらしい明るい音楽で始まります。ですが、なんと主人公の家族は音楽禁止一家なんです! メキシコなのに!! でも、主人公の男の子は、メキシコの伝説のミュージシャンをリスペクト。家族に隠れてギターの猛特訓。それが家族にバレてしまい、大騒ぎ!! 家を飛び出した所、その日がメキシコのお祭り=「死者の日」だった為、死者の国へ迷い込んでしまうんです。そこで一族に音楽禁止令を強いた、ひいひいバアちゃんに出会うんです。音楽禁止令は、ひいひいオジイちゃんに原因がある事が発覚。ひいひいオジイちゃん探しミッションが発生。道案内のガイコツ男と死者の国を旅するファンタジー。

お気楽なビジュアルとは裏腹に、夜が明けるまでに、ひいひいオジイちゃんから「許し」を得ないと現世に戻れなくなる……というバードなタイムリミットつき。それが物語を盛り上げます。
また、コメディリリーフである相棒のお気楽ガイコツ男。現世で誰も思い出してくれなくなると訪れる「二度目の死」なる設定があり、実は悲し過ぎるバックボーンを抱えてるんです。クライマックスでグッとくるポイントに直結。ほっこり感動のフィナーレにただただ涙。

シンプルなストーリーながら、まだ見ぬ、ひいひいオジイちゃんがミステリー要素として効果的。二転三転する展開から目が離せません!!
さすがはピクサーなカラフルで美しいビジュアルと作り込まれた世界観はスクリーン向き!!

パンフもリサーチ旅行で得た作品の背景や細かすぎて1回観ただけでは解りにくい設定を網羅。ファミリー向けとは思えない厚みのある一冊でした。


リメンバー・ミー
★★★★★
満点5つ星

4/14『パシフィック・リム: アップライジング』

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パシフィック・リム: アップライジング』を観賞。

巨大なロボットと怪獣の戦う男の子の夢映画の続編。
前作から10年後という設定ながら、冒頭で「前作のおさらい」をスマート&コンパクトに挿入してくれる親切設計。お陰で、前作の細かい記憶を失っていたボクも何の問題もなく観賞できました。
何と言っても素晴らしいのは、一致団結感。前作では、様々な国のイエガー(巨大ロボットのこと)が各国から集結。怪獣退治に一致団結する展開がグッとくるポイントでした。
でも、本作では、もう国同士の隔たりは登場しないんです。キューバ人やプエルトリコ人、日本人、アメリカ人、中国人、ナイジェリア人、イギリス人……。様々な人種が共同作業してるんです。
その中では、親を失った経験のある2人の主人公。あるいは、様々な環境で育ってきた訓練生たち。物語はシンプルに人間ドラマへ集約されていて、そこからの一致団結感がクライマックスのグッとくるポイントになってるんです!
また、本作の最大の見所は、勿論、怪獣たちとの戦闘シーン。前作は夜、雨降る中での戦いがメインで、それはそれでダークな雰囲気が良かったんですが、今作では昼!! 晴天の中、巨大な怪獣が突如、出現!! 街をバッコンバッコン壊していくんです!! それはそれは、大興奮でございます!!
今まで映画作品の監督経験は無いものの、ドラマ『デアデビル』や『スパルタカス』で男の子の興奮をカツアゲしてきたスティーヴン・S・デナイト監督。子供の頃は、1950~1960年代の日本の怪獣映画を観て育ったとの事。
「子供の頃は、人間が着ぐるみを着て撮影していた時代の作品が好きだった。そして今、怪獣映画を作る上で素晴らしいのは、現実の技術を駆使してよりスペクタクル感あふれる作品にすることができる点だ」とおっしゃる通り、中学生魂がスパークした低偏差値映画としてディルドアップ!! 文句なしのディテールに!!
さらに、クライマックスは人間の欲望にアンチテーゼなテーマも交えつつ、怪獣たちの合体。勝ち目激薄な巨大化した怪獣と各国のイエガーたちが全滅した中でのプレッシャー溢れる一戦をご提供!!
怪獣好きならずとも興味をグイグイ奪う一作になってます!!


パシフィック・リム: アップライジング』
★★★★☆
星4つ