ユンギボの映画日記

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5/3『タクシー運転手 約束は海を越えて』

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『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観賞。

今年、ボクのトップ10に入るであろう傑作を見つけて来ました!

舞台は1980年。主人公は韓国のソウルで働く小市民のタクシー運転手。この愛すべきお調子者なキャラを名優ソン・ガンホが寅さんの渥美清風味のひょうきんさで演じてる訳です。
滞納した家賃を払うのに、大家から金を借りようとするクダリは爆笑必至。愛くるしいソン・ガンホだから出来る憎めないキャラなんです。
滞納した家賃を払う為、大金と引換えに、事情も知らず乗せたドイツ人記者。その目的は、デモ活動により封鎖された村への取材だったんですね。ここから危険な旅が始まります。まさに命懸けでした。
脚本的に上手いのが、ドイツ人記者を目的地へ送るミッションと同時にシングルファーザーである主人公の11歳の娘との約束を果たす為に早く帰るというタイムリミットも用意されてるんです。それが、主人公のキャラのバックボーンをより掘り下げるのに効果テキメンなんですね。
そして、言葉の通じない2人のギスギスした旅は、デモ隊も市民も見境なく攻撃する軍の横暴の前で熱い友情へトランスフォーム。男泣きな感動のラストを迎える訳です。

警察や政府がデモ隊や市民を力技で鎮圧する為、メディアに嘘の情報を流していたとか、規制線を張って、村の外と隔絶していた……など重たい実話をバランス良く落とし込んだ構成は素晴らしいの一言。

パンフには、監督やソン・ガンホのインタビューに加え、事件や時代背景のバックボーン。そして、当時のタクシー情報まで盛り沢山な内容。韓国の歴史のお勉強としも役立つ一冊でした。


『タクシー運転手 約束は海を越えて』
★★★★★
満点5つ星