ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

4/21『レディ・プレイヤー1』

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『レディ・プレイヤー1』を観賞。

本作は巨匠スティーヴン・スピールバーグのやりたい放題が暴走した一本! 果たして、映画好き以外、楽しめるのか?疑問な作品でもありました。
2045年の未来世界。エネルギー危機、地球温暖化、飢餓、病気の蔓延……とバード過ぎる現実。人々はゲームの世界へ現実逃避。なんで、舞台は仮想現実の世界であるVR(バーチャルリアリティ)ワールド。妄想を自由に具現化できる夢の世界なんです! 自分の姿をお好みにカスタマイズ! 好きな映画やアニメ、ゲームのキャラに変身できるんです!

そんな自由のブレーキが壊れた設定がゆえ、冒頭のカーレース・シーンから主人公は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン・カー=デロリアンに乗ってたり、 競争相手は『AKIRA』の金田バイクだし、『マッドマックス』のインターセプターまで走ってるんです! しかも、コースを妨害してくるのは、キングコングや『ジュラシック・パーク』のティラノサウルス!! その他、通行人たちもよく見るとバットマンジョーカー、キティちゃんに、『エルム街の悪夢』のフレディなどなど。挙げ句、ガンダムメカゴジラ、『シャイニング』の世界を完全再現……と、巨匠の常気を逸したワガママが炸裂。全シーンに、様々な映画やゲームのキャラが追えないスピードでゲスト出演。「ソフトになったら、また買ってね」とスピバのドヤ顔が見え隠れ。そりゃあ、スピバがやるって言ってんだから、止められる人間はいないですよね。

物語の冒頭、VRの創設者が死亡。VR世界内に隠された3つの謎を説いた者に全財産56兆円&オアシスの後継者の権利をプレゼントという太っ腹な遺言を残した事により、争奪戦勃発。スーパーオタクな主人公はVRゲームの中でゲーム内の仲間たちと協力。3つの謎解きミッションにチャレンジ。その中で、金にモノを言わせる大企業の妨害を受け、VRの世界でも、現実の世界でも追われるというスピバらしいサスペンスの追加オプションにヒヤヒヤしてしまいます。まさに、テーマパークのアトラクションのような観てる間は楽しいけど、何も残らない作品に仕上がってます!!

本作には『ゲーム・ウォーズ』という原作小説があります。小説版では、80年代カルチャーを浴びるように育った原作者による、さらに酷いレベルでのオタクなオマージュ作品が続々登場との事。なんで、まだマシな方なのかもしれませんが、それにしても映画好き以外を置き去りにしてる感があります。
スピバ曰く、
「僕が初めて脚本を読んだとき、『オッケー。これは馬鹿げている。彼は僕のことを、僕が1980年代に手掛けたものを、10ページごとに登場させている』と思った。『他の誰かが監督をやる必要がある』と言ったんだ。でも、もし誰か他の人がこの映画を作って、僕の作品を入れすぎたら、僕は恥ずかしく思うだろう。それで、『やっぱり僕が監督するべきだ。そうすれば僕の作品をそんなに入れないで済む』と思ったんだ。」
との事。
まぁ、一応、「ゲームの世界で現実逃避してないで、現実の世界でちゃんと生きろ!」というテーマがあるんですが、スピルバーグ、お前が言うな!!

パンフレットは、イントロダクション他、ギンティ小林さんによるオマージュ作品の解説が楽しい一冊になっていました!


『レディ・プレイヤー1』
★★☆☆☆
星2つ

4/15『ワンダーストラック』

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ワンダーストラック』を観賞。

ちょっと変わってるノスタルジックなヒューマンドラマ。「変わってる」とは、2つの話が同時進行していくストーリーなんです。
1人目の主人公は、1927年の生まれつき耳の聞こえない女の子。母親がいない孤独な女の子。彼女の心を慰めてくれる憧れの女優に会う為、ニューヨークへ家出するんです。
2人目の主人公は、1977年の父親のいない男の子。ある日、父親の物と思われる博物館の本を発見。なんと、そのタイミングで雷が落ち、耳が聞こえなくなってしまうんです。彼もまた家出し、ニューヨークへ父親探しの旅へ。

この映画の面白い所は、時代の違う2人が物語の中盤で、共にニューヨーク自然史博物館へ迷い混むんです。タイトルの「ワンダーストラック」というのは、このニューヨーク自然史博物館の本の事なんです。勿論、時代が違うので、展示や街並みも違います。
それを1927年パートはモノクロのサイレント映画(セリフの無い映画)として演出。1977年パートはニューシネマ(自然光を多用したロケ撮影中心の映画)として演出。つまり、時代背景になっている当時に作られていた映画のように、本作も作られているんです。まるで、2つの時代の別々の映画を巧みに1本に編集したかのよう。
そして、クライマックスに近づくにつれて、2人の関係が明らかになっていく脚本も素晴らしいです。

キーとなるのは、ニューヨーク自然史博物館なんですが、舞台はニューヨーク全体。2人の主人公は人探しの為、色んな人に出会い、ニューヨークの様々な所を旅していくんです。なので、まるでニューヨーク観光に出掛けた気分を味わえます。しかも、1920年代と1970年代のタイムスリップ旅行です。
そして、BGMはデヴィッド・ボウイの「スペースオディッティ」。

パンフは、本作のバックボーンの設定を割りとあっさりめに解説した内容なんですが、劇中に登場する「ワンダーストラック」を再現した表紙が超キュートです。


ワンダーストラック
★★★★★
満点5つ星

4/15『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

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ヴァレリアン 千の惑星の救世主』を観賞。

今まで『レオン』や『フイフィス・エレメント』などジャンル無双なフィルモグラフィを作ってきたリュック・ベッソン監督の中二病爆発SF大作。
銀河パトロールの連邦捜査官である主人公=ヴァレリアンが悪党の謎な取引を追うミッションが中心。ではあるんですが、相棒であるヒロインとのラブ・ロマンスも描かれるワガママ仕様。
とにかく、主人公のキャラが良いんです。プライドが高く、ごう慢なプレイボーイ。捜査の最中もヒロインを口説き続けるも、なかなか相手にされない。ヒロインの前だと強がる。銀河規模のミッショッン中でも緊張感のないノーテンキなノリ。どこか既視感があるなと思ったら、『007 ムーンレイカー』のクオリティ高い版ですわ!
と言うのも、スゴ腕という設定で、確かに仕事っぷりはキレッキレなんですが、やたらと寄り道する展開が多いんです。所々、ストーリーと直接、関係ないシーンが出てくるんです。
冒頭から、美しい惑星で暮らす宇宙民族の平和な日常を描いてるんですが、やたら長い! そんな細かく描く必要ある?って程、長いんです。でも、それが晴れ渡った海を背景に、他の映画では観たことないオジリナリティ溢れる宇宙民族の風土を美しいパステル調の映像で描いてるんです。それを言葉なしで描き切る。まるで、アート系ショート・フィルムを観てるような。それがベッソン監督流なんです!
歌手のリアーナが演じる宇宙人のショータイムのシーンも、次々と衣装チェンジ。これまた長いんですが、まるでライヴ・パフォーマンスかPVのような仕上がり。それがクセになりそうな痛快さ。チョイチョイそーゆーシーンが出てくるんです。ミッショッンそっちのけで、ヒロインを追い掛けたり。もう圧倒的なヴィジュアルで蛇足シーンを面白く見せる熟練の技ですよ!

本作、ベッソン監督の会社であるヨーロッパ・コープって会社で作ってるんですよ。要は、やりたい放題なんです。ルーカスがルーカス・フィルムで『スター・ウォーズ』作ったノリです。「意味は無いけど、面白いだろ?! 何か文句あっか?!」っていうジャイアンイズムの中で作られてるんですわ!
オープニングの現代の地球が他の惑星の宇宙人たちと連合を築くまでのプロローグ・シーンにデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」を使うオジさんセンスにグッときてしまいます。

パンフには、本作の細かいバークボーンや構想20年のあゆみ、スゴ過ぎるヴィジュアルの製作秘話など、やり過ぎな裏側は読み応え抜群でした。


ヴァレリアン 千の惑星の救世主
★★★★☆
星4つ

4/14『リメンバー・ミー』

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リメンバー・ミー』を観賞。

トイ・ストーリー』や『ファインディング・ニモ』を作ってきたピクサーの新作は、まさかの死者の国!
舞台はカラフルで陽気なメキシコ。冒頭からピクサーらしい明るい音楽で始まります。ですが、なんと主人公の家族は音楽禁止一家なんです! メキシコなのに!! でも、主人公の男の子は、メキシコの伝説のミュージシャンをリスペクト。家族に隠れてギターの猛特訓。それが家族にバレてしまい、大騒ぎ!! 家を飛び出した所、その日がメキシコのお祭り=「死者の日」だった為、死者の国へ迷い込んでしまうんです。そこで一族に音楽禁止令を強いた、ひいひいバアちゃんに出会うんです。音楽禁止令は、ひいひいオジイちゃんに原因がある事が発覚。ひいひいオジイちゃん探しミッションが発生。道案内のガイコツ男と死者の国を旅するファンタジー。

お気楽なビジュアルとは裏腹に、夜が明けるまでに、ひいひいオジイちゃんから「許し」を得ないと現世に戻れなくなる……というバードなタイムリミットつき。それが物語を盛り上げます。
また、コメディリリーフである相棒のお気楽ガイコツ男。現世で誰も思い出してくれなくなると訪れる「二度目の死」なる設定があり、実は悲し過ぎるバックボーンを抱えてるんです。クライマックスでグッとくるポイントに直結。ほっこり感動のフィナーレにただただ涙。

シンプルなストーリーながら、まだ見ぬ、ひいひいオジイちゃんがミステリー要素として効果的。二転三転する展開から目が離せません!!
さすがはピクサーなカラフルで美しいビジュアルと作り込まれた世界観はスクリーン向き!!

パンフもリサーチ旅行で得た作品の背景や細かすぎて1回観ただけでは解りにくい設定を網羅。ファミリー向けとは思えない厚みのある一冊でした。


リメンバー・ミー
★★★★★
満点5つ星

4/14『パシフィック・リム: アップライジング』

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パシフィック・リム: アップライジング』を観賞。

巨大なロボットと怪獣の戦う男の子の夢映画の続編。
前作から10年後という設定ながら、冒頭で「前作のおさらい」をスマート&コンパクトに挿入してくれる親切設計。お陰で、前作の細かい記憶を失っていたボクも何の問題もなく観賞できました。
何と言っても素晴らしいのは、一致団結感。前作では、様々な国のイエガー(巨大ロボットのこと)が各国から集結。怪獣退治に一致団結する展開がグッとくるポイントでした。
でも、本作では、もう国同士の隔たりは登場しないんです。キューバ人やプエルトリコ人、日本人、アメリカ人、中国人、ナイジェリア人、イギリス人……。様々な人種が共同作業してるんです。
その中では、親を失った経験のある2人の主人公。あるいは、様々な環境で育ってきた訓練生たち。物語はシンプルに人間ドラマへ集約されていて、そこからの一致団結感がクライマックスのグッとくるポイントになってるんです!
また、本作の最大の見所は、勿論、怪獣たちとの戦闘シーン。前作は夜、雨降る中での戦いがメインで、それはそれでダークな雰囲気が良かったんですが、今作では昼!! 晴天の中、巨大な怪獣が突如、出現!! 街をバッコンバッコン壊していくんです!! それはそれは、大興奮でございます!!
今まで映画作品の監督経験は無いものの、ドラマ『デアデビル』や『スパルタカス』で男の子の興奮をカツアゲしてきたスティーヴン・S・デナイト監督。子供の頃は、1950~1960年代の日本の怪獣映画を観て育ったとの事。
「子供の頃は、人間が着ぐるみを着て撮影していた時代の作品が好きだった。そして今、怪獣映画を作る上で素晴らしいのは、現実の技術を駆使してよりスペクタクル感あふれる作品にすることができる点だ」とおっしゃる通り、中学生魂がスパークした低偏差値映画としてディルドアップ!! 文句なしのディテールに!!
さらに、クライマックスは人間の欲望にアンチテーゼなテーマも交えつつ、怪獣たちの合体。勝ち目激薄な巨大化した怪獣と各国のイエガーたちが全滅した中でのプレッシャー溢れる一戦をご提供!!
怪獣好きならずとも興味をグイグイ奪う一作になってます!!


パシフィック・リム: アップライジング』
★★★★☆
星4つ

4/14『ボス・ベイビー』

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ボス・ベイビー』を観賞。
ドリームワークスのアニメ映画。今作でまず怖いのがストーリーのほとんどが主人公の少年の妄想という事が前提で話が進んでいくんです。
両親の愛を一身に受けていた主人公の少年。そんなある日、弟となる赤ちゃんを連れて、両親が帰宅。赤ちゃんに翻弄される両親。弟に嫉妬する主人公。「あいつは侵略者だ」となるんです。それが見た目は赤ちゃん、頭脳は大人。その名はボス・ベイビー……って事なんです。
ボス・ベイビーの目的は、最近の愛犬ブームにより、赤ちゃんより犬の方が人気。そんな中、新発売される小型犬の秘密を探るというミッショッン。
でも、それも主人公の妄想。話のほとんどがハナから妄想なんで、人の夢の話を聞かされてるくらい、どーでもいー気分になっちゃうんですよ。なもんで、ほとんど作品の世界観に入れませんでしたわ。
ただ、日本語吹替え版のムロツヨシ芳根京子NON STYLE石田、乙葉とみんなタレントとは思えないレベルに吹替えが上手い!! ムロツヨシムロツヨシ芝居なので、どーしても顔が浮かんじゃうんですが、他のキャストは一切、解らなかったです。そんな中、悪役を演じる山寺宏一の振り切り芝居は圧巻!! 激ウマなタレントに交り、プロの凄みをスパークさせてました。


ボス・ベイビー
☆☆☆☆☆
星0個

4/14『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観賞。

ロビン・ウイリアムズ主演の大ヒット命懸けスゴロク・アクション映画の続編。ですが、1作目を観てない&もう20年前の映画なんて忘れた方々にも親切な心機一転仕様。
前作のスゴロクから、テレビゲームにトランスフォーム。オタク系ナヨナヨ童貞を主人公に、アメフト部の筋肉バカ、ガリ勉女子、SNS命の自己中娘。相性最悪な問題児たちが居残り掃除をしてたらゲーム機を発見。ゲームの世界へ吸い込まれるという定番フォーマット。
ただ、今作が画期的なのは、テレビゲームなのでゲーム内では、見た目や得意能力、弱点が設定されるという事なんです。それを演じるキャスト陣が素晴らしいんです!!
コメディも出来るマッチョなドウェイン・ジョンソン、お喋り魔神のジャック・ブラック、コメディ映画には欠かせないケヴィン・ハート、セクシーキャラのカレン・ギラン……という、やり過ぎ系な芸達者たちを各種取り揃え。安定感のある演技力により、笑えて、ハラハラ。泣けて、ユーモラスというザ・エンタメの大道みたいな仕上がりに。
最初はいがみ合っていたメンバーたち。得意能力や弱点にも戸惑っているんです。でも、普段とは違う自分の力に自信をつけ、他のメンバーを守ったり、助けたりするよーになるんです。つまり、アクション・コメディ版『スタンド・バイ・ミー』的完成度なんです!!
また、ライフが3回分あり、死んでも2回は生き返れるという設定も効果的で死に所のチョイスがグッとくるポイントに直結。まさかのタイミングで涙のカツアゲをしてくるんです!

本作でメガホンを取ったのは、『バット・ティーチャー』や『SEXテープ』など、これまた濃すぎるキャラのやり過ぎ路線なコメディを監督してきたジェイク・カスダン
無条件に子供から大人まで楽しめる一本です!!


ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
★★★☆☆
星3つ

3/13『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を観賞。

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督+トム・ハンクスメリル・ストリープのオスカー俳優セット。アメリカの新聞社で起きた実話の映画化。……もうこれだけで、映画好きのハートを一気にカツアゲできる豪華コラボ。
舞台は、1971年の新聞社=ワシントン・ポスト。編集主任を演じるのがトム・ハンクス。そこである事件が勃発。ライバル誌のニューヨーク・タイムズが政府の極秘文書の一部を掲載。それは、4政権(トルーマンアイゼンハワーケネディ、ジョンソン)に渡って、ベトナム戦争に関して、国民に虚偽の報告をしていたという超極秘文書。アメリカがベトナム戦争から撤退したのは1973年なので、現在進行形でベトナム戦争がまだ続いているタイミングですよ。タイトルの『ペンタゴン・ペーパーズ』とは、この極秘文書のことなんですね。
そこで、ライバル誌に負けてはならぬと、ハンクス編集長は部下たちに発破をかけ、極秘文書の全文探しミッショッンが発動。ワシントン・ポストの経営者役のメリル・ストリープも巻き込んでヒッチコックばりのサスペンスが展開。
何の前情報も入れずに観に行ったので、冒頭から何のシーンかサッパリ。前半は説明少なで置いてけぼり感を食らったのですが、中盤からが凄い!!
雲を掴むよーな文書の所在探し。やっと極秘文書を入手したら入手したで、また飛んでもない展開へ転がるもんですから、中盤以降はスリリングで目が離せない。
スピルバーグいわく、
「今こそ、報道の自由という美徳を追及するのに完璧な時期だ。信念を貫いた報道が行われることでこの国の民主主義がいかに発展するかについて、率直な議論を交わすべき時だと思っている」
との事。
さらに、
「脚本の初稿を読んだとき、映画化まで2年も3年も待てるような作品ではない、つまり、すぐにこれを映画化しなければならないと感じました。」「この映画は私たちにとってのツイートのようなもの」
とも語り、実際、2017年2月に脚本を読んで、5月末には撮影。11月に完成……という巨匠とは思えぬハイスピード。
そのスピーディーな製作スピードが本編に良い形で反映されてる印象です。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
★★★☆☆
星3つ

4/13『娼年』

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娼年』を観賞。

爽やかイケメン俳優=松坂桃李くんが男の娼婦になるというインパクト大な作品。

たまたま知り合ったマダムが男の子の売春クラブを経営しており、説明なしの強制スカウト。試験セックスにチャレンジ。女性やセックスをナメまくってた主人公はギリギリ合格。そこから女性とセックス探究の日々が始まる。……って、ストーリーは色んなお姉さんたちが主人公を求めてイクというシンプル・ライン。

そんな事より、濡れ場のシーンがとにかく細かい!! もう、それだけの映画といった感じ。大事な部分が見えてないだけで、セックスの工程ははっきり解るレベル。もはや、AV!!

それをCM出身のカメラマンが撮影を担当した事により、シャレオツ映像でカスタマイズ! 下品にならない配慮は抜群。

監督は『ボーイズ・オン・ザ・ラン』や『愛の渦』などで映画監督も手掛け、劇団ポツドールで作・演出している三浦大輔石田衣良の原作を演劇畑の濃厚な演出で大人の悲喜交々を描ききってます。

クライマックスの賛否が分かれそうなヤリすぎ映像演出は、逆にダサいので止めてほしかった派です。

石田衣良の原作本を演劇界で人気の三浦大輔が描くシャレオツ・AV映画という女性へターゲットを絞った企画は大成功だと思います。


娼年
★★☆☆☆
2つ星

4/9『ウインストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』

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『ウインストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』を観賞。

本作は冒頭から、「世界一の嫌われ者」と言われていたウインストン・チャーチルがイギリス首相に就任。所が、時代は1940年の第二次世界大戦の真っ只中。戦況は、もうすでに絶体絶命のピンチ! さぁ、どーするチャーチル?! ……といった実話ベースな内容。
この映画で描かれているのは、首相就任前日から27日間の出来事。その間、悩み苦しむチャーチル。すぐ周りにブチキレるチャーチル。奥さんにデレデレなチャーチルジョークを飛ばすユーモラスなチャーチル。そして、イケイケだった頃のヒトラーにケンカを売るまでが描かれます。
本作でアカデミー賞を受賞した辻一弘が6ヶ月も研究に費やして完成させた超絶リアルな特殊メイク。それを受け、元祖カメレオン俳優=ゲイリー・オールドマンが本人完コピ芝居で演じてます。もう素晴らし過ぎます!!
さらに、衣装は実際にチャーチルの衣装を仕立てていたブランド。セットの戦時作戦室も忠実に再現し、チャーチルが動き回る国会議事堂は、本物のウェストミンスター宮殿で撮影。壮大な規模のエキストラもノーCG……という書き出したら常気を逸したレベルのこだわりよう。この本物志向と監督であるジョー・ライトによるエッジ効いた、白く靄がかった映像センスが見事にコラボ。寓話的美しさの中で人間=チャーチルが浮き彫りになっており、クライマックスの感動を煽り立ててます!
ジョー・ライト監督いわく、「この映画はある意味で国民と距離の離れたところにいた彼(チャーチル) が、庶民の声を代表するようになるまで、その声を発見する旅を追う映画なんだよ」との事。
短期間のエピソードに集約した脚本なので、予備知識が無くとも解りやすいですが、フランスのダンケルクに追い詰められ、絶体絶命のイギリス軍のエピソードは、去年、クリストファー・ノーランが『ダンケルク』という映画化済み。本作に登場するキーマン=国王ジョージ6世はコリン・ファースアカデミー賞を受賞した『英国王のスピーチ』の主人公。そこら辺の映画を予習していくと、さらに作品の世界観に入りやすいかもしれません。

パンフレットは、キャストや監督のインタビュー、作品の時代背景など、基本情報を網羅。お勉強にもなる一冊でした。



『ウインストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
★★★★★
満点5つ星

3/11『15時17分、パリ行き』

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15時17分、パリ行き』を観賞。

2015年の夏にヨーロッパで起きた過激派イスラム国による列車の中での無差別テロ=タリス銃撃テロ事件。本作は、その事件で犯人を取り押さえ、乗客554人を救った3人の青年を描いた作品なんです。実話映画ってことです。
でも、そんな前情報が要らない。知らなくても問題ない映画です。どちらかと言うと青春ストーリー。
テロを阻止して英雄になる3人のワルガキな子供時代から始まります。そんでテロを防ぐ所までをなんと94分とコンパクトにまとめてます! それが凄い!! コンパクトなのに余すところ無し!!
落ち着きが無さすぎて、学校の先生からADD(注意欠陥障害)と決めつけられた子供時代。サバゲーで遊びほうけ、軍隊入隊へ憧れ、挫折。
英雄とは程遠い普通に普通すぎる3人の成長物語。
削ぎ落し、シェイプアップされた脚本。テンポの良いスピーディーな編集。押さえる所は押さえた演出。あっという間に映画の世界観へ引っ張りこまれ、彼らのどんな経験がテロを未然に防いだのかが描かれる訳です。
そして、驚くは、本作の主演の3人は役者ではなく、本人なんです。実際に事件を経験した本人が本人役。しかも、ロケ地も出来るだけ同じ場所で撮影したらしく、クライマックスの列車のシーンは、事件当時と同じ車両という程の再現精神。故に漏れ出てるリアリティー。
監督はクリント・イーストウッド。87歳にして、トリッキーな作戦で映画を作ります。そして、そのギャンブルに勝った男。

パンフには、イーストウッドが作品に着手するまでや、キャスティングのエピソード、主演の3人のインタビューなど、本作を知る為の情報が全部、載ってて買いの一冊でした!


『15時17時、パリ行き』
★★★★☆
星4つ

3/11『シェイプ・オブ・ウォーター』

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シェイプ・オブ・ウォーター』を観賞。

もう半魚人が映画界へ帰ってきた……というだけでテンションの高揚を抑えきれないですが、まさかの第90回アカデミー賞で4部門を受賞ですよ。時代はモンスターですね!!

とは言え、半魚人が主人公って訳ではないんです!
主人公は、口のきけない幸薄な40代の女性。「航空宇宙研究センター」という研究施設で夜間清掃の仕事をしてます。その施設内の水槽で半魚人を発見。勿論、半魚人も言葉を喋れない。だから、手話を教えて、会話にチャレンジ。これが意外に上手くいって、どんどん意思の疎通が取れるようになって来るんです。ね? もう面白いでしょ?

でも、施設の管理をしている軍人が半魚人にハードな虐待をしてるんです。半魚人を助けようとするヒロイン。それを手伝ってくれるのが、コミカルな掃除婦メイトの黒人のおばちゃん&隣の家に住んでるゲイのおじいちゃん。1960年代を舞台に、当時としては、マイノリティな人々が半魚人助けに悪戦苦闘!!

ヒロインと半魚人のハートフルな関係を中心に、半魚人奪還作戦を決行するというダークなおとぎ話になっております。その中で、半魚人はどこから連れて来られたのか? 半魚人は何なのか?(または、何のメタファーなのか?) という謎が徐々に明らかになっていく仕掛け。

パシフィック・リム』ではハリウッドで怪獣VS巨大ロボットを描き、『パンズ・ラビリンス』ではゴシック・ホラーな悪趣味嗜好を余すところなく映画の中へ閉じ込めた。そんな「我らのトトロ」こと、ギレルモ・デル・トロ監督がアカデミー賞の監督賞を獲る日が来るとは!! そんなオタク界の成功者=デル・トロ監督に感謝!!

シェイプ・オブ・ウォーター
★★★★☆
4つ星

3/11『グレイテスト・ショーマン』

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グレイテスト・ショーマン』を観賞。

カンバーバッチと並んで女性が無条件に好きなものこそ、ミュージカル。もはや、ウーマン・スプロイテーション(女性搾取)映画と呼びたい昨今のママゴト・ミュージカル。今作も、実在の人物であるサーカスの生みの親=P・T・バーナムさんの半生をミュージカル映画化した映画。

まさに、女性の好きなものをムリクリ詰め込んだ挙げ句、ストーリーを激薄にシェイプアップ。女性人気の高い主演のヒュー・ジャックマンに始り、今時のダンスとPV風の映像……ともはやノリはYouTube。どのシーンのミュージカル・シーンも長めのPVを見せられてる気分。

子供の頃の貧乏生活から、身分の違いを乗り越えた結婚。変人扱いされながらもサーカスをオープン。ヒンシュクを買いながらも、地位と金を入手。挫折と成功のサクセス・ストーリーをあっさりめに描いていきます。まぁ、ここまで読むと面白そうに感じるかもしれませんが、これが面白くない。

実際のパーナムさんは「ホラ吹き」と言われる程の詐欺師まがいな人物だったらしーのですが、今作では気持ちが悪いくらい偽善者として描かれ、仕事熱心で家庭的な人。嘘臭いレベルまでの脚色。

サーカス……というか見世物小屋を始める際も、ティム・バートン映画の人物を4割くらい薄めたよーなフリークスしか登場しません。実際のフリークスを映画に登場させたブラウニングやホドロフスキーフェリーニの作品を観たことがある方には物足りなさ過ぎると思います。

PVをYouTubeで見漁ってる方は苦なく観れると思われます!!

グレイテスト・ショーマン
☆☆☆☆☆
星0個

3/11『スリー・ビルボード』

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スリー・ビルボード』を観賞。
最近、観た作品の中でも一際は面白かったのが、本作。
娘を殺され、捜査の進展がない事に腹を立てた主人公の肝っ玉かーちゃん。舞台となる田舎町の道路に3つの広告看板を出すんです。その広告には警察署長への批判を実名で掲載。所が、その警察署長は末期癌で余命いくばく。田舎町の住人たちは、みんな知ってるんですね。だから、「末期癌の署長を批判するなんて、酷い!」と大ヒンシュク! マスコミに取り上げられるわ、広告の賛成派と反対派で小さな村がモメモメになるわの大騒動!!
重たい映画かと思いきや、掘り下げられた登場人物たちとギリギリの痛快ブラック・ユーモア、スリリングな展開で、第90回アカデミー賞の作品賞、脚本賞編集賞など、6部門にノミネート。
主人公に批判される警察署長も悪人かと思いきや、家庭を大切にし、部下を思いやる常識人。演じるは名優というより怪優の方がしっくりとくるウディ・ハレルソン。ボスの貫禄と家庭的な好感度をバランス良くミックス。
そんな警察署長を尊敬しまくってる村のボンクラ警官が大変な奴。昼間からマンガばっか読んでは怒られてる。挙げ句、「クビだ! 銃とバッチを返せ!」と言われたら、「あっ、バッチありません。無くしちゃいました!」って言っちゃうバカ。挙げ句、荷物がマンガだけってのも爆笑。でも、彼には彼でまたドラマチックな展開が用意されてるんですねー。
主人公を演じたフランシス・マクドーマンドは、一見して強そうだけど、その内に様々な思いを閉じ込め、圧倒的な名演技でアカデミー賞主演女優賞を獲得。
ボンクラ警官役のサム・ロックウェルも素直になれない複雑なキャラクターで観客のハートをカツアゲ。アカデミー賞助演男優賞を受賞。
心のスキマがギクシャクした登場人物たちが批判広告事件を発端に様々な思いが交錯。もう先読み不可能なドラマへ発展していくスリリングな構成。もう目が離せない傑作でした!

本作のパンフは、キャストのインタビューや批評、監督の過去作品のおさらい、ロケ地解説まで満足の出来だったので、映画の余韻やバックボーンを楽しみたい方には、とてもオススメです!

スリー・ビルボード
★★★★★
満点5つ星

『チームジャックちゃんが読んだシンデレラ公演 Cendrillon サンドリヨン』

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チームジャックちゃんが読んだシンデレラ公演 Cendrillon サンドリヨン
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チームジャックちゃんが読んだシンデレラ公演 Cendrillon サンドリヨン
本日、『マーメイドブーツ』に続いて、『チームジャックちゃんが読んだシンデレラ公演 Cendrillon サンドリヨン』を観劇。

あらすじ・ストーリー(ネタバレなし)

今作は童話「シンデレラ」の裏側的なストーリーなんです。みなさん、ちゃんと覚えてます?

だから、ヒロインのシンデレラ置いてけぼりなんです。でも、それが面白い!! シンデレラの意地悪な姉たちの心情にフォーカス。 人間ドラマを掘り下げ、 感情移入できてしまうレベルまでジャストフィット!! 貴族階級の中で渦巻くプライド、陰謀と暗躍。なかなか先が読めない展開!! そして、ひねりの効いた衝撃のラスト!!

ヒロイティックなストーリーを、照明で細かく盛り上げた演出も効果バツグン!!

みんなの知ってる話をオレジナルにトランスフォーム。こーなってくると、「えーと、確かシンデレラのストーリーって、この後、こーなったはずだからー」と自分の記憶と照らし合わせる脳内ストレッチ作業も楽しいものです。『ハムレット』の超脇役の2人を主人公にした『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』という戯曲を思い出しました。今でいう二次創作ですよね!! 『スター・ウォーズ』のスピンオフ『ローグ・ワン』も言ってしまえば二次創作ですよ!? 否定的な人もいますが、ボクは、オリジナルへのリスペクト&ファンの夢のコラボ技にいつも興奮させられます。その感覚に近い印象です。
しかも、なかなか小さめな会場なのに、貴族とか舞踏会とか、そこそこのスケール感。だから、それが贅沢な距離感として感じられました。やってる事は蜷川幸雄の古典劇的なスケールですからね。これをこのサイズに凝縮した舞台というのもなかなかレア。しょうもない抽象劇でお茶を濁す小演劇が多い中、結構なチャレンジだと思いますね。最近、仕事で中規模くらいの演劇を観に行く事もあるんですけど、久々に良い舞台を観れた気持ちになりました。

ちなみに、本作はダブルキャストになってて、出演者のほとんどが入れ替えになっているのですが、ボクが観劇したのは「ねずみチーム」バージョン。
どの役者さんもハマッてて、他のキャスティングが思いつかないレベルだったので、別キャストバージョンも気になる所。

プログラム

ただ、プログラムだけが薄い割りに高い(涙の2,000円)。同人誌のようなペラペラな上に、役者陣へのどーでもいーQ&Aで中身も薄い。役者陣の芝居も上手だっただけに、個人的には
役へのアプローチや過去プロフィールという定番コースが欲しかったです。それならトートバックを買っとけばよかったと後悔。

最近の小演劇にゲンナリしている方には、おススメしたい作品でした。

http://signalworks.xsrv.jp/Cendrillon/

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