ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

名匠デ・パルマ監督の幻の初期作品『青春のマンハッタン』(ビデオ題『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN2・黄昏のニューヨーク』)(#64)

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本作は、『キャリー』や『スカーフェイス』、『アンタッチャブル』、『ミッション・インポッシブル』のブライアン・デ・パルマ監督の初期作品。『青春のマンハッタン』というのは、DVDになった際のタイトルで、ビデオタイトルは『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN2・黄昏のニューヨーク』。『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン/BLUE MANHATAN1・哀愁の摩天楼』という、タイトルからして、どっちを先に観れば良いのか迷う続編があります。

実は本作、ストーリーらしいストーリーが無いんです。一応、デ・パルマ監督の懲役を拒否した自伝エピソードが元になっているそう。なので、3人の若者がゲイのフリをしたら懲役をま逃れるのではと討論するシーンからスタート。メチャクチャ下らないんです。つまり、全編アホっぽいブラック・コメディなんです。

物語はベトナム戦争中のアメリカが舞台。この3人の日常をいくつの断片的なシーンで描かれていきます。コンピュータ・デート(今で言う出会い系?)で知り合った女たちとのハズレエピソード。ケネディ大統領暗殺の陰謀説にとり憑かれた男。本屋で万引きしていた女とデート。あるいは、アートと騙し、女の裸を撮影しようとしたり。

特に印象的だったのが、ゲリラ撮影と思しき街中の撮影なんです。陽気に走る若者が、警官が歩いているのにチョッカイを出したりしてるんです。でも、連れの友人は絵ハガキ自慢のオヤジと道端でくっちゃべったりしてるんです。カメラは遠くから望遠レンズで、奥の警官に絡む若者と手前のオヤジと行ったり来たり。多分、街を歩いてる本物の警官なんですよね。そう思うと笑えてきます。

あと、思わず笑ったのが、女の裸体にケネディ暗殺の際の弾丸の貫通した位置を書き込んでいくシーン。「ほら、やっぱり弾丸の入った位置と抜けた位置が違うじゃん!!」って、急にカメラ目線で熱く語り出したりするんですよ!!

挙げ句、ベトナムの戦地へ取材にきているテレビクルーのネタまで!!(もはや、“ネタ”としか言えない!!) バカらしい!!

そういうバカらしいコントのようなシーンの連続。映画というより、イギリスのコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」を観ているのに近いです。

とてもこの後、『スカーフェイス』や『アンタッチャブル』のギャング映画を作った監督と同じ人が撮ったとは思えません。が、本作の戦争中にニューヨークを彷徨う若者たちというのがリアルで皮肉が効いています。その為か、第19回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞しています。

若者たちの一人を演じているのは、その後、『アンタッチャブル』のアル・カポネ役で再度タッグを組んでいるロバート・デ・ニーロ。若くて初々しいデ・ニーロが見れるのもレアです。


星2つ
★★☆☆☆
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