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ユンギボの日記

ネタバレなしの映画感想日記。

『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』を10月1日、MOVEXさいたまで観賞して来ました。

本作はビートルズのツアー時代を描いたドキュメンタリー映画になります。でもね、ただのドキュメンタリーではないんですよ。本作はビートルズの46年ぶりの公式映画。この「46年ぶり」というのがどーゆー事なのか? そもそも「ツアー時代」という言い方が不思議じゃないですか?
実は、ビートルズは13年間の活動期間の中の1963年~1966年までの3年間しかライブ活動をしてないんです。この3年間の間に世界中を回ってるんですけど66年には完全にライブを止めちゃうんです。それは何故なのか? メンバーたちにとって、ライブとは何だったのか? ……って所に焦点を当てた作品になっております。

過去のライブ映像の素材とインタビュー映像を組み合わせた構成で、勿論、ポールとリンゴへのインタビューは新緑。ジョンやジョージなど故人は過去素材を流用してるんですが、これはほとんど『ザ・ビートルズ アンソロジー』の流用。『アンソロジー』というのはビートルズ解散後の1995年から発売された8巻構成でメンバーの誕生から解散までを丁寧に追った総尺7時間以上のドキュメンタリー! もっと言えば、細かいインタビューで一会場づつ振り返る『アンソロジー』の方がツアー時代を振り返るにしても、内容的にも構成的にも濃いですよ!
そいじゃあ、本作はツアー時代を短く纏めただけの『アンソロジー』ショート版なのか? 新緑インタ以外、『アンソロジー』を見た人間には見る価値なしなのか?
勿論、そんな事はありません!

そんな事ないポイント①
本作制作の為、ネットで世界中の人々に「ビートルズのライブ映像あったら教えて」と呼びかけ、過去最大のアーカイブ映像を収集。要は当時、観客が隠し撮りしていた映像までも掻き集めたという事です。それにより、テープが擦り切れるほど見ていたライブ映像でも、別アングル(しかも客席からの)が追加されているんです!

そんな事ないポイント②
最新の技術で映像と音をクリーンアップ!
映像は当たり前だの4K化! さらに今作の為、新たに整音技術を開発。素人が当時のカメラで撮影した映像を元に、新たに音を加える事なく演奏や歌声が聞こえるようにしたそうです!  ビートルズのプロデューサーであるジョージ・マーティンの息子=ジャイルズ・マーティンいわく「正直に言ってしまうと、当時のライブ会場にいて聴くよりも、この映画で聴いた方がちゃんと聞こえるというレベル」だそうです。スゴ技過ぎて理屈が解りませんが、凄い! つまり、ビートルズのライブを疑似体験できるんですよ! 凄くない?!

そんな事ないポイント③
様々な人たちへの追加インタビュー!
エルヴィス・コステロビートルズ映画(『ビートルズがやって来る! ヤァ!ヤァ!ヤァ!』『ヘルプ! 4人はアイドル』)のリチャード・レスター監督。伝説の日本武道館コンサートの際、ビートルズに密着したカメラマン=浅井慎平のインタビュー(日本公開版のみ日本公演のシーンが長めに収録されているサービス仕様だそうです)!
挙句にライブ会場で泣き叫ぶ映像が発見されたシガニー・ウィーヴャーが当時を振り返ったり、ウーピー・ゴールドバーグが母と行ったライブの貧困時代の泣けるエピソードを披露したりとメンツが豪華!

そんな事ないポイント④
ビートルズVSアメリカという構図!
アメリカに憧れてやってきた若いビートルズと真実のアメリカの姿。中でも、座席が人種ごとに別けられた南部の会場でのメンバーによるコンサート拒否事件が衝撃的。
さらに、ジョンの「ビートルズはキリストよりに有名になった」発言やブッチャー・カヴァー騒動など、ビートルズがツアーに嫌気がさすまでの当時の彼らの心境とケネディ大統領、キング牧師暗殺やベトナム戦争といったアメリカの時代背景がミックスして描かれているんですね。

そんな事ないポイント(おまけ)
本編終了後、1966年のシェイ・スタジオ公演が30分以上のノーカット版で特別上映!
しかも、本編同様、4Kで音もクリーンアップされて。正直、本編よりも興奮しました!
もはや、何年も前の映像なのに、ライブビューイング状態でしたよ!

確かに、『アンソロジー』ほど濃くないし、グッとくるポイントも低めですが、綺麗すぎる上に今まで見た事ないライブ映像を大スクリーンで観れる機会は超レア!! まさに、ビートルズ・ライブへタイム・スリップしたかのような映像体験。 劇場観賞必見作品!!

パンフは厚みも内容も薄かったですけど、寄稿メンツのナイス解説は読みごたえあります。あと、レコードサイズなのがカッコイイです。

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK』
★★★☆☆
星3つ

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『スーサイド・スクワッド』

スーサイド・スクワッド』(吹き替え版)を昨日、イオン・シネマズ浦和美園で観賞して来ました。

アメコミ映画……それも悪役を集めたチームというアメコミ悪役版『エクスペンダブルズ』。
本作の監督はデヴィッド・エアー。『フェイクシティ』で汚職まみれの悪徳警官を、『エンド・オブ・ウォッチ』ではロサンゼルス市警を主人公に下町ギャングの現実をヴァイオレンスでエキサイティングに描いた監督。『フューリー』では1台のアメリカ軍の戦車チームをナチスの軍隊と戦わせた血も涙もないお方。自身もロサンゼルスのサウス地区で犯罪と隣り合わせな日常を全身で浴びながら育ち、海軍へ入隊していた過去もある映画監督にしてはデンジャラスすぎる経歴のオーナー。こんなにも本作に打ってつけの監督はいないと思わせるのに余りある人物なんです。期待値上がります!

所が、前半から悪役チームの各メンバーを30分も掛けてチンタラ紹介。チームを率いる政府の官僚がポンミスで魔女が復活させてしまい、いちいちキャラの濃いメンツを大した争いも無しに、使い捨てミッションへ送り込む。なんだ、このヘボい展開は。ゆるゆるです。挙げ句、大してそんなエピソードも無かったのに、血も涙もないはずの犯罪者集団の間には謎の友情が芽生えて、みんなで一致団結して魔女退治という穴だらけの後半。やれやれですよ。どーなってるんだ、エアー監督!!

エアー監督は第二次世界大戦を舞台に囚人たちの危険ミッションを描いた名作『特攻大作戦』を意識したとインタビューで答えています。確かに、設定は似てます。しかし、『特攻大作戦』はリー・マービン演じる行動が荒い事この上なく、何をしでかすか分ったもんじゃない上官の血も涙もないシゴキに耐える囚人たちの男泣き映画であり、その最も重要な要素が本作には欠落しているんですよ。
しかし、本作の男泣きはエアー監督のインタビューから。監督はインタビューで
「こういう映画を作る時は、スタジオ側はあれこれ口を出してくる。監督は色んなルールブックを渡されて、それに従って映画を作らされることになるんだ。そして、編集の段階になると、スタジオに作品を取り上げられてしまう。こうした映画の作り方が、今では当たり前になってしまっている。」
と答えてるんですね。
こ……これは、大のアメコミ・オタクのザック・スナイダー監督が『マン・オブ・スティール』をカタルシスの無いスーパーマン映画に改変された疑惑やジョン・ファブロー監督が『アイアンマン』&『アイアンマン2』の成功の後、『3』を蹴ってインディーズ映画に戻った問題を想起させます。エアー、ボロクソ言って、すまん! オイラが悪かった!!
悩みすぎるスーパーマンがだらだら自分探しをする『マン・オブ・スティール』。自己中ヒーロー同士の意味不明な対決を描いた『バットマンVSスーパーマン』に続き、DCコミックはまたもや駄作を世に送りましたよ!
キャラクター映画なのに、各キャラのバックボーンは描けば描く程、全体のバランスが悪くなり、ウィル・スミスは悪党役でもウィル・スミスだし、ハーレークイーンのキュートさにオンブにダッコ。ジョーカーはハーレイをどんな状況でも助けに来る王子様キャラに悪変されている始末。だが、魔女による理想の世界を幻として見せる謎の技が炸裂するシーンのハーレイの一途すぎる夢に涙。唯一、良かったのは、アレックス・ロスジョーカーとハーレイがダンスを踊るビジュアルを再現した映像がホントにグッときました!!

まぁ、結局の所、色んな意味で涙なしには見れないのが本作なのです。
くたばれ、DC!! 頑張れエアー!!

パンフレットは監督・キャストへのインタやシリーズおさらい、イントロダクションとそこそこ豊富な内容だが、作品の世界観を表現したカラフルなグラフィックが見事。それだけ見ていても飽きないです。

スーサイド・スクワッド
★☆☆☆☆
星1つ

『君の名は』

『君の名は』を9月30日に、ユナイテッド・シネマズ浦和で観賞して来ました。

過去作は全部、観てるけど、1本も面白いと思った事のない新海誠監督の新作を観て来ましたよ。
冒頭のプロローグでの男女のモノローグが交互に絡み合う少女漫画のような演出に萎えたものの、オリジナル劇場アニメ映画としては珍しくオープニングが!!
オープニングって、やっぱテンション上がりますね。
そこから、「東京に憧れる田舎の女子高生」と「東京の高校に通う男子高生」の体が入れ替わる設定は、大林宣彦監督の『転校生』じゃないですか!
でも、『転校生』よりクリーンアップされてるのは「東京と田舎と別の場所」と「体の入れ替わりは週に2日くらいのペース」という設定。その設定のお陰で、お互いの生活を垣間見る程度になっており、『転校生』より多少お気楽だし、主人公の2人がお互いに感情移入していく無理のない展開に。しかも、「夢だと思ってたら……」「周りの友人たちの反応」から徐々に体の入れ替わりが判明していくミステリー展開で世界観に引き込まれます。
ケータイというナウいヤング・ツールで日記を書き合い、お互いの交換日を補完。音楽の力を借りつつ、細かい所はナレーションで説明という潔さ。協力体制でクリアしていく日常に片思い応援ミッション追加。新鮮なリアクションの中、新しい環境に順応していく主人公たちをスピーディーに見せていく演出が楽しいです。そして、衝撃の身体交換の終止符。「とんでもなー展開だなー、おい!」と思ってたら、ここから急速に失速。どんどんつまらなくなる。
ゴールの見えない中の主人公の闇雲な行動に突き合せれる羽目に。広げ過ぎた大風呂敷にご都合主義の後出し設定とお茶を濁された感のある綺麗な映像でダラダラと集約。数々の?マークを置き去りにして、運命というロマンチックで強制終了。
東京との対比に由緒正しき神社の跡継ぎ生活という民俗学な世界観をブレンド。SF(少し不思議)の世界へ誘う現実の延長線上な世界観が脱ジブリで面白く、細田守ほど無理がないのが興味深いです。
しかし、ちょっと前まで恋愛漫画の王道ネタだった「入れ替わり設定」と「少女漫画演出」のコラボ技は今のヤングたちには新鮮だったりするんですかねー。

主人公2人の声を担当する白石上萌音ちゃんと神木隆之介くんも勿論、素晴らしいのですが、主人公のバイト先のヤリマン先輩役の声を担当する長澤まさみが全然、長澤まさみに聞こえない素晴らしさ。クソ・タレントを起用して作品をメチャクチャにする洋画の吹き替え版と違い、芝居のできる役者さんの起用は好感が持てますね。

『君の名は』
★★★☆☆
星3つ

【演劇】月刊「根本宗子」第13回『夢と希望の先』

月刊「根本宗子」第13回『夢と希望の先』を9月30日(金)に、下北沢・本多劇場で観劇して来ました。

最近、全然、演劇を観に行く習慣も無くなり、観に行ってもクソみたいな作品ばかりではあるのですが、こんなに面白い演劇を観れたのは久々です。

ステージ上には、同じアパートの部屋のセットが2つ。上には田舎の家の縁側という3つの空間が用意されています。そんなセットの中で、田舎で生まれ、役者を目指し、東京に憧れる主人公の女の子の「田舎での少女時代」「上京したての時期」「東京生活10年目の30代」という3つの時代をスピーディーに同時進行で見せていく刺激的な作品でした。
圧倒的な勢いで羅列されていくセリフの数々。やり過ぎなキャラクター達のテンション芸のような勢いは大爆笑。それでいて「主人公の事を何でも分かっている幼馴染の親友」と「上京してからの新しい友達」のせめぎ合いや、「希望に満ちた夢」と「彼氏とのルンルン生活」の天びん等、主人公のとっていく選択が泣けます。しかも、「その10年後」の時代での主人公の後悔も同時に描かれるので、とにかく泣けてきます。
それらの人間ドラマがグチャグチャになっていくタイミングで歌唱シーンが入り、これまた歌詞の内容がグッとくる上に明るい楽曲だったりするものだから主人公の孤独を高めつつも、どよ~んとさせ過ぎずに、シーンをエモーショナルに高めていくという演出があっぱれ!
クライマックスでは、いよいよ回想劇のフォーマットが崩壊。夢を諦め、希望を完全に失った「10年後の後悔だらけの主人公」が「上京まもない自分」にヤジを飛ばし、逆に過去の自分に励まされるという、ステージ上だからダイナミックな演劇的ミラクル技が発動! 名曲「トゥモロー」を出演キャスト総出で熱唱の元、幕を閉じる感動のフィナーレ!
初めて本多劇場で面白い作品を観ました! 嫌いだった下北沢さえもちょっと好きに思える程、面白かったです!

若い頃の主人公を演じる橋本愛ちゃんが上手かった。あのナチュラルな芝居、凄いですね。気張らずに見せるナチュラル演技。『あまちゃん』の不良娘役で出演していた時、ブラックなジョークを言って共演していた登場人物(キョンキョンだったかなー)をドン引きさせておいて「ハハ、うそうそー」と変わらぬテンションで返すシーンがあったのですが、そのナチュラルさは衝撃的で、『寄生獣』の頃には、ほぼ全シーンがアドリブに見えました。今回、そんなに注目してませんでしたが、凄い役者さんなんだなーと思いましたわー。
そして生:長井短! もはや怪物です! 膨大なセリフ量を吐き散らすシン・ゴジラっぷりはモンスター以外の何物でもありません。クセになります。

パンフレットは出演者紹介プロフィールと本作の作・演出の根本宗子さんと本作の書き下ろしポスターを担当した浅野いにおさんの対談。好きなら買いの値段の割りに薄味パンフでした。

『夢と希望の先』
★★★★★
星5つ

【演劇】疎開サロン『牡丹灯篭 お札はがし』

疎開サロン『牡丹燈篭 お札はがし』を9月25日(日)に上野桜木・市田邸にて観劇して来ました。

古い日本家屋を会場に会談の公演というのは味わい深いです。

5畳ほどの部屋を二間つなげた形にして座椅子と丸イスを置き、客席に見立てているんです。そこから、廊下と室内の一部、庭がステージという変わったステージ。それはインパクトのあるものでしたが、本番が始まり、もうそれ以上にインパクトのある事は起きないくらい退屈な劇でした。その代り、噛みまくる役者陣と蛇足演出のオンパレード。
中でも、手作りの小さな襖にマジックミラーを取り付け、わざわざ芝居をしている役者の前に持ってくる演出が蛇足でした。わざわざ、芝居している役者さんの前に小さな襖を持ってる人がいるというシュールな画。
挙げ句、クライマックスの芝居場では幽霊が琵琶を弾いているという演出で笑い(しかも、ほぼ失笑)が起きる程スベリ倒しっぷり。まぁ、クライマックスでは、お神輿に幽霊が乗って現れる等、派手さがあるので良いですが、中盤はホントに眠かった。

演出家のドヤ顔が垣間見えるオナニー演劇を見せられ、これで3,500円も取られたのが腹立たしい。

牡丹燈篭 お札はがし』
☆☆☆☆☆
星0

第9回したまちコメディ映画祭  「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」/「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」

本日、東京国立博物館で第9回したまちコメディ映画祭「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」と「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」を観賞して来ました。


「吹替え60周年記念上映『名探偵登場』」
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本作は『刑事コロンボ』のピーター・フォークや『ピンク・パンサー』シリーズのピーター・セラーズ、『ピンクの豹』のデイヴィッド・ニーヴン、『スター・ウォーズ』のオビ・ワン役のアレック・ギネス、さらには実録犯罪小説『冷血』を書いたトルーマン・カポーティまでが出演した豪華キャスト映画。
これが、日本語吹替え版も超豪華。フォークは勿論、コロンボでお馴染み小池朝雄。セラーズは『ピンク・パンサー』でも吹替え担当の羽佐間道夫。ニーヴンは中村正。カポーティ内海賢二。その他、高橋和枝滝口順平千葉耕市千葉繁
今回は吹替え60周年という事で、この泣ける程、豪華なのにソフト未収録な超レア吹替え版上映なんです!!
各国から集められた名探偵たちが殺人事件を解決していくミステリー……のはずなのに、次から次へと設定を無視していく(と言うか壊していく)破天荒にも程があるコメディで、それを大御所の声優陣がコミカルに演じていくのが最高です。中でも、さりげない会話のヤリトリが素晴らしく、セリフ回しの緩急で何でもないシーンでも笑わせてくれます。「名優が揃った吹替え版はこんなにも凄いのか」と驚かされました。




「映画講義 とり・みきの吹替え“凄ワザ”講義 第2弾」
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オーストラリア製作の脱力系な戦隊番組『危険戦隊デンジャー5 ~我らの敵は総統閣下~』を羽佐間道夫江原正士堀内賢雄千葉繁星野充昭甲斐田裕子、多田野曜平という超豪華な声優陣がアドリブ満載で吹替えた本作。
これが、なかなかの怪作で、見た目は現代なのに、敵の組織はナチスヒトラーの暗殺が任務というB級感。主人公たちの組織も『サンダーバード』とかの雰囲気なんだけど「連合国」とセリフに出てくるだけで何のどーゆー組織なのか説明なし。そんな連中が小学生の思いつきみたいな任務を遂行していくアホ・ストーリー。上司も頭だけ鳥の人間……なのか、鳥の被り物してるという設定なのか……。挙げ句、飛行機を吊るす糸がバレてたり、ハンズのお面レベルな被り物の敵キャラだったり、オモチャの寄せ集め感のある特撮セットの数々は低予算と言うよりチープ。脈略なく、主人公たちのチームにアニメの合成キャラが出てきた時は、もはや薬中患者の夢かと思いましたよ。
そんなオリジナル本編だけならゲロ吐く程、つまらなそうな作品をアドリブ満載の吹替えで爆笑コメディに料理してるのだから素晴らしいです。
顔はヒスパニックな役者を熊本弁で喋り倒す千葉繁さんの安定したテンション芸。江原正士さんと多田野曜平さんのその他大勢を演じ分ける演技力。また、多田野さんの様々な声優さんモノマネという芸達者っぷりやたるや。そして、羽佐間先生の口が閉まってるのにアドリブでセリフをブチ込む力業には脱帽。
『俺はハマーだ!』に『サンダーバード』を足して、『クイーン・コング』と『モンティ・パイソン』で割ったよーな完璧な仕上がりに。

上映後は、もはや吹替え映画研究家(だけど本職は漫画家)のとり・みきさんと吹替えキャストの皆さんのトーク。
恒例のとり・みきさんによる吹替え史を復習しつつ、各声優さんの本作へのアドリブ・アプローチの仕方、過去の吹替え収録現場での制作秘話までジャンジャン聞けて、大爆笑だったけど、メチャクチャ勉強になる講義でした。

よく考えるとスタローンとブラピとトム・ハンクスとチバシゲオとブシェミとハサウェイが会話してる訳ですよ。でも、全然、共演しないメンツですよ!

ソフト化と来年の講義が楽しみ過ぎます。
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第9回したまちコメディ映画祭「声優口演ライブ したコメmeets 小津安二郎【前夜祭】」

本日、毎年恒例の第9回したまちコメディ映画祭の「声優口演ライブ したコメmeets 小津安二郎【前夜祭】」を見る為、浅草公会堂へ行ってきました。

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豪華な声優陣が様々なトーキー(無声映画)作品へ生でアフレコをするという今イベント。今まで、チャップリンやキートン、ロイドときて、今年は初の邦画。しかも、小津安二郎の初期作品『淑女と髯』。

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口演は勿論、リーダーながら思いつきで語り倒す羽佐間道夫、マイペースなノリで気の良さが伝わる野沢雅子、大御所と初参加者に挟まれて、もはや司会進行ポジションの山寺宏一、声もドレスも色っぽい土井美加などなど豪華なメンツです。

口演前に自己紹介をスッ飛ばしてしまう羽佐間を進行通り、軌道修正する山ちゃん。「羽佐間先生、いつも通りだなー」なんて思ってたら、唐突にスイッチが入った如く、小津作品について語り倒し、さすがの演出家目線の映画解説を披露。実はスゲー勉強している映画愛を炸裂。
今回のイベント用の脚本を執筆された日本チャップリン協会会長の大野裕之氏による解説と程よい前解説の後、口演上映。

冒頭から下らないボケを大量投下したユーモラスな人物描写。それをコミカル全開で演じ倒す山ちゃんの演技力。
そんな中で真面目なナレーションに徹し、流石の実力を感じさせる羽佐間先生。ギャップで笑わせます。
小津オジさんによる脚本・監督の本編は、むさ苦しい風貌から周りの人たちに厄かみがられてるヒゲモジャの主人公がヒゲを剃った途端にモテ始めるというキャッチーなラブコメ風味。 それでいて、後半、外国映画のようなモダンなカットを演出しているのだから、手練手管のバリエーションに驚かされます。
ヒロインを信じられないくらいの色っぽさで演じきる野沢雅子の芸達者ぷりに、土井美加の妖艶な悪女の芝居対決はホントに鳥肌モノでした。

会場内、爆笑に次ぐ爆笑で浅草公会堂が揺れてましたよ。
今年も良いもの見させて(聞かせて)頂きました。