ユンギボの日記

ネタバレなしの映画感想日記。

7/16 誘拐犯?偽のパパはルーク・スカイウォーカー?! 映画『ブリグズビー・ベア』

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両親が実は誘拐犯ムービー!!
カンヌ受賞で騒がれている映画『万引き家族』は家族を万引きしてきた一家の絆のお話でした。現在公開中の映画『ブリグズビー・ベア』は、両親だと思っていた夫婦が実は誘拐犯だったムービー!! 目の前で突然の逮捕劇!! 知らないオジさん&オバさんが登場し、本物の両親だと伝えられるんです。なぜか、そのシュチュエーションを素直に受け入れる主人公がユーモラス。
冒頭から、かなりパンチの効いたエピソードですが、全然、重くないんです。むしろ、ユーモラスなヒューマンドラマ仕様になっております。偽の父親を「パパ……じゃなくて、古いパパ」と言い直すシーンが爆笑!!


監禁生活の洗脳
今まで、外は有毒ガスがあると教えられ、室内でのみ育ってきた主人公は、外の世界で様々なカルチャーショックを受けていきます。
そんな中、1番の衝撃が主人公を襲います。それは、タイトルになっている教育番組「ブリグズビー・ベア」。20年近い監禁生活の中で、主人公の楽しみだったのは、毎週、届く「ブリグズビー・ベア」のVHS。ブリグズビー・ネタを研究、ネット配信する毎日を送ってたんですね。でも、その番組は偽のパパのお手製。主人公しか観てなかったんです!!
手が掛かり過ぎだろ! というツッコミは置いといて、ブリグズビー・オタクにカスタマイズされた主人公は、「ブリグズビー・ベア」の続編映画の製作を決意!!
Google先生の教えの元、電光石火の勢いで映画製作を学び、自主製作メイトたちと映画作りにフルスロットル!!


親の心配
本当の両親からすれば、まだ外の世界へ出てきて間もない息子が、キチガイ夫婦お手製の洗脳番組の続きを作るなんて不安でしかない訳ですね。そこへカウンセラーも介入。事件担当の気の良い刑事も巻き込んで、なかなか賛同を得られない主人公。それが愛と友情と感動のクライマックスへ向かって行きます。


YouTube出身監督の小ネタ
本作は、YouTube出身のデイヴ・マッカリーによる長編デビュー作品。新人ながら、YouTubeにアップしていた動画をスピルバーグが絶賛。アメリカの人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演した事が本作への足掛かりに。
そんなマッカリー監督は、オタク系監督と見えて、小ネタ満載なのも本作の楽しみ。
教育番組「ブリグズビー・ベア」はVHSで保管されている事もあり、ちょっと劣化している設定。リアルなノイズが出る辺り、その世代にはグッとくる小道具。
主人公が人生初のパーティで話し掛けた男の子が『スター・トレック』Tシャツというのも気が利いてます。
さらに、偽者のパパ役は『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミル。誘拐犯でありながら、ただの悪人ではない好感度を見せ、勝手に『万引き家族』のリリーさんと被って見えます。
スター・ウォーズ』以降、「役者はもういい。声優になろう!」とアニメの声優業にも転身した経験のあるハミル。日本ではあまり馴染みがないですが、アニメ版『バットマン』のジョーカー役で有名。
この声優業で学んだ手練手管は、本作のブリグズビーの声でも発揮。ブリグズビーの声を録音するシーンは爆笑必死!!

リアルとファンタジーを行ったり来たりするキュートな作品好きにオススメの一本!!
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ロシアで急遽上映禁止になった問題作!【ロシアの黒歴史】映画『スターリン葬送狂騒曲』

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ロシアで上映禁止に!!
ロシアの独裁者スターリンの死をブラック・コメディとして扱った映画『スターリン葬送狂騒曲』が8月3日より、いよいよ日本公開決定!
メチャクチャ笑えるのに、実は、ほぼほぼ実話という所が凄いです!!
今年の1月、ロシアでの劇場公開3日前に「歴史映画としても芸術映画としても価値がない」との理由で上映中止に。未だにロシアでは、上映禁止が続いています。
原作は、「驚くべき物語が、さらに驚くことに、ほとんど実話」とフランスで出版されるや、ベストセラーに!!
それを映画化した本作も、ロシアでこそ上映禁止になったものの、アメリカやイギリス、フランス、スペインなど、様々な国でスマッシュヒット!!
そこで早速、観て参りました!!



20世紀の独裁者スターリン
ヒトラームッソリーニと並び、30年近く国を統治していた20世紀を代表する独裁者スターリン
物語は、1953年。突然、倒れたスターリン。それを発見した側近たち。そこから、後釜を狙ったドタバタ喜劇へ発展。
誰も信用できない最悪な状況。ゆえに、独りよがりなアホみたいな計画を乱立。案の定、狂いまくる計算。状況が刻一刻と変わっていく展開から目が離せなくなります。
そして、最後に笑うのは誰なのか?



自己中な登場人物たち
とにかく登場人物たちは自分の私利私欲を中心に、一生懸命、現状を何とかしようと必死な訳です。所が、ご存知の通り人間とは時に、本気であれば本気である程、滑稽なもので。随所に三谷幸喜的なタイミングのズレや思惑と逆になっちゃう設定など、細かい笑いが炸裂!
倒れたスターリンを見つけた側近たちのテンパり芝居が最高なんです!!
生前、スターリンは自分に反抗してきた人間を"粛清"の名の元、ブチ殺すリストに追加。それにより、倒れたスターリンを見てもらう医者を呼ぼうにも有能な医者たちは殺害済み。側近たちの「アイツを呼ぼう」「いや、アイツはこの前、殺しちゃったじゃん」「あぁ、そうだった!」みたいな会話を展開。それがメチャクチャおかしい!!



全然、ロシア人が出てこない!!
スターリンの側近たちのキャスティングに、アメリカやイギリスの役者たちを招集。全然、ロシア人が出てこないんです!!
勿論、セリフも英語!!
このフザケっぷりは!!
フルシチョフ役に至っては、コーエン兄弟映画でお馴染みのスティーヴ・ブシェミ。さらに、『ヘルボーイ』シリーズのジェフリー・タンバーやティム・バートン作品の常連でもあるポール・ホワイトハウスモンティ・パイソンの元メンバーであるマイケル・ペイリン……とコメディ寄りのベテラン芸達者たちが集結。笑いの時間がフルスロットル!!
メガホンを取ったのは、スコットランド生まれのアーマンド・イアヌッチ監督。監督いわく、「緊張と恐怖が支配する世の中では、不思議なことに幾分ヒステリックな滑稽さが生まれる。だから、おかしさと不気味さが感じられる作品にしたかった。」との事。なるほどねとは思わないけど、安定の名演技と英語のセリフ回しで、滑稽さがデッドヒート!!
秀逸&爆笑映画に仕上がっていますが、ロシアで上映禁止になった理由はよく分かりました。

7/10アカデミー賞を受賞した"あの"美人女優の衝撃的な下着姿!!映画『女と男の観覧車』

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チャレンジ精神を失わない巨匠=ウディ・アレン監督の最新作が、現在公開中の映画『女と男の観覧車』!! 本作の主演を演じるオスカー女優が凄い事になっています!! 82歳のウディ・アレン監督は、年1本ペースで毎年、映画を作り続け、今や監督作は50本超え!! しかも、どの作品もジャンルは様々。それなのに、どのジャンルも秀逸という!! 本作も新たなチャレンジが詰まってます!!


メロドラマ展開とリアルな芝居のギャップ萌え!!
舞台は1950年代。遊園地の中でウエイトレスとして働いている主人公。夫も同じく遊園地のメリーゴーランド・コーナーで働いています。2人の住まいは、なんと施設内の射的場の上!!
そんなファンタジー映画のような設定なのに、物語は凄くリアルかつソリッド!! ギャップにグッときます!! そして、何より恐ろしいのは、主人公に様々なストレスが襲いかかってくるカオス的シュチュエーション!!
旦那の前妻との天然系ノーテンキ娘の登場。この子がなかなか空気の読めない行動&発言を連発!!
そこへ、劇作家志望である主人公の浮気相手が絡んできて、嫉妬の炎を焚き付けます。そんな中、主人公の連れ子は、絶賛、火遊びにハマり中。ボヤを起こしては、校長室への呼び出し&カウンセリング騒ぎ。ゴールは見えなく、問題は山積み!! ユーモラスな域のメロドラマ展開をドタバタ喜劇にしない所がミソ!!
そんな話を遊園地内で展開する設定にも驚かされます。当時の遊園地の再現度も高く、実際に舞台であるコニーアイランドの遊園地を飾りつけ(アレンの子供時代の思い出の場所でもあります)。背景に写る遊園地の風景は、隅々までチェックが行き届いてるのが伝わってきます。
中でも、タイトルになってる観覧車は「同じ場所をグルグルと回り続けている」比喩表現になっている辺り、気が利いています。


オスカー女優の一世一代の熱演!!
主人公を演じるのは『タイタニック』のケイト・ウィンスレット。オスカーを受賞した『愛を読むひと』で美人なだけじゃないを証明。本作では、怒りまみれの生活の中で、女優だった頃の過去を楽しそうに夢想し、旦那に感謝しつつ、愛人を愛し、静かな嫉妬が大爆発!! なんと複雑すぎる役どころ!! 一見して、オーバーになりそうな喜怒哀楽。次々と襲い掛かるメロドラマ展開。それを絶妙なバランス感覚でリアルに落とし込んでいるのが素晴らしいです!!


ケイト・ウィンスレットの衝撃的な下着姿!!
本作の主人公のキャスティングに対し、アレンは「最高峰の演技力を誇る女優でないと成立しない」とコメント。ウィンスレットも「最初はどうすればいいのかわからなかった」と素直に答えているんですね。観れば納得のそりゃあそーだよねな難役!!
そして、何よりも驚かされるのは、デップリとした、その体型!! だらしない腹回りは、まさに中年体型。『タイタニック』でヌードを披露し、少年たちのハートにホールインワンしてた頃の面影はゼロ!! なのに下着のシーンが多いという。見て良いものか、悪いのか。そんな気持ちにさせるのも生々しいです。


映画を彩るカラフルな画面の裏には……
役者たちの熱演を長回しで抑えている本作。
ほとんどのシーンを1カットのみで構成。勢いで見せる演劇的な長回し!! 圧倒的技術力!!
カラフルでありながら、レトロな雰囲気を残す超絶技巧で画面作りをしたのは、『地獄の黙示録』や『ラスト・エンペラー』など3度のアカデミー賞受賞歴のあるベテラン撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ。本作では、「レジナルド・マーシュやノーマン・ロックウェルを意識した」との事で、なるほどな画作りに溜め息が漏れます。
新しいチャレンジの中で、しっかりと皮肉の効いたアレン節に思わずニヤリ。奇跡のメンツが集まった夢のコラボレーションは、是非、劇場でご確認を!!

7/6デビュー55年。85歳の巨匠が見せる女2人のサスペンス『告白小説、その結末』

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ー巨匠の本気度が伝わる
ヴェネツィア、ベルリン、カンヌ、アカデミー賞と世界各国で賞荒しをしてきた巨匠ロマン・ポランスキー。デビューから55年。85歳にしてメガホンを取った作品が現在公開中の『告白小説、その結末』。
『反撥』や『ローズマリーの赤ちゃん』などの情緒不安定で不安を煽りまくってきた初期作品への原点回帰的な一級のサスペンス仕様。全てのカットから巨匠の本気度が伝わってきます。


ー最初っから情緒不安定
主人公の作家は、心の病いで自殺した母親の話を私小説として発表。ベストセラーに。ただ、自分の人生を切り売りした執筆スタイルに、心は満身創痍で、絶賛スランプ中。
主人公を演じるのは、ポランスキーの奥さんでもある名女優のエマニュエル・セニエ。相手を惑わす役の多い彼女は今回、逆の立場へ回り、新鮮。
開始早々、主人公の前に「エル」と名乗る謎の女が登場。フランス語で"Elle"とは、"彼女"の三人称代名詞の意味なんです。ネーミングだけでなく、見た目もバッチリ怪しいエル。『シン・シティ 復讐の女神』で殺戮女帝を演じたエヴァ・グリーンが演じてますから、安定の不信感です。
エルは登場するなり、急速にマネージャーの如き働きを発揮。部屋の掃除からメール整理、挙げ句、執筆の代筆まで。この距離の詰め方が単純に怖いです。


ー度重なる怪事件
本作の本題はここから。主人公の家にエルが転がり込んで来てから数々の怪事件が発生。いよいよ感が濃厚になり、サスペンスフルな展開に。主人公を避難する差出人不明の脅迫状。Facebookの成りすましアカウントによる炎上事件。ただでさえ情緒不安定気味だった主人公をどんどん追い詰めていきます。
そこら辺の展開をエルが犯人なのか、本気で主人公を心配しているのか……。意味ありげなカットを積み重ねミスリード。巨匠熟練の手練手管が冴えわたります。


ークライマックスは予測不能な心理戦へ
「空想の友達と遊んでいた孤独な子供時代」や「元旦那との破天荒すぎる出会いと別れ」など、ポロっと洩らしたパンチの効いてるエルの半生。次回作のモデルをエルにするアイディアを思いついた主人公。執筆活動の為と、田舎の別荘に誘い込むのですが、そこからスリリングな心理戦に発展。予測不能のクライマックスは、解釈が分かれるであろうラストへ一直線。女優2人のどこまで知ってて、どこまでが妄想なのか解らない駆け引き演技から目が離せなくなっていきます。

いやぁ〜な雰囲気のサスペンスを味わいたい方にはオススメの一本です。

7/6男女平等はまだ先の話?!映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

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―まだ女性差別の根強かった時代
1973年。まだ男女平等が確立されていなかった当時、偉大な女子テニスプレイヤーがいました。なぜ彼女が“偉大”なのかを描いたのが、現在公開中の映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』。実話ベースながら、濃厚な人間ドラマあり、ロマンスあり、世紀の対戦あり……と、こんなにもドラマチックな話があったのかと驚かされる一本です。


―伝説の女子テニスプレイヤーの真実
彼女は女子テニス世界チャンピオンのビリー・ジーン・キング。2009年には、オバマ元大統領に「大統領自由勲章」を授与されたお方。
物語はビリー・ジーンが、女子プレイヤーの優勝賞金を男子プレイヤーの8分の1にしたテニス協会へ講義に向かうシーンから始まります。
男性至上主義で頭デッカチな協会のお偉いさんと口論の末、協会を脱退。自ら女子テニス協会を立ち上げるビリー・ジーン。彼女の、女性の権利を勝ち取る戦いはここから始まります。
スポンサー探し、チケット売り、宣伝活動など、決して楽そうには見えない女子テニス協会設立の舞台裏を持ち前の明るさで乗り越えていく主人公。


―実在の主人公を演じるのは、ノリノリのエマ・ストーン
そんなビリー・ジーンを演じるのは、屈託のないソバカスだらけの笑顔が鬼キュート。『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主演女優賞に輝き、乗りに乗っているエマ・ストーン
テニス経験のなかった彼女は、4か月の猛特訓&筋肉を7キロアップの肉体改造で本作に挑んでいます。
結婚し、旦那のいるビリー・ジーンと試合を観に来てくれた美容師とのユリ展開ロマンス。旦那と愛人がバッタリ鉢合わせのハラドキ&試合へのプレッシャーにメンタルを翻弄されるビリー・ジーン。
その結果、試合は?


ー主人公の前に立ちはだかる“男性至上主義”の権化
クライマックスは、テニスという手段で女性の権利を訴えるビリー・ジーンVS男性至上主義者のボビー・リッグスという出来過ぎなカードが実現。
ギャンブル依存症かつ目立ちたがりなお調子者の元男子チャンピオンのボビー・リッグス。
金と再び世間の注目を集める為、ノンデリカシーな発言&悪ノリムードで、男性至上主義の権化として主人公に挑戦状を叩きつけてきます。
圧倒的な悪役ながら、末の子供と無邪気に遊ぶ姿や、奥さんに頭の上がらない私生活。距離のある長男への歩み寄り等、バックボーンを見せる事で魅力的なキャラとして構築。
演じるのは、コメディばかりのフィルモグラフィを『フォックス・キャッチャー』のシリアス芝居でオスカーにノミネートする事で演技派への転身に成功したスティーブ・カレル。笑ったゃうくらい本物に激似です。
クライマックスのビリー・ジーンと宿敵ボビーの試合はテレビで中継され、9,000万人が人々が目撃したとの事。まさに世紀の一戦。


―恐るべき70年代の再現度
70年代の再現度も本作の魅力。ハッキリ言って、その雰囲気を味わうだけでも、劇場へ行く価値ありなレベルなんです。
女子テニスたちが主人公の為、カラフルな当時のカウンターカルチャー・ファッションの数々。特に、ビリー・ジーンたちのそれぞれのウェアもカラフルで楽しいです。
さらに撮影にも一工夫。当時の雰囲気を出す為、35ミリフィルムに、ヴィンテージのレンズを使用。クライマックスの試合のシーンでは、テレビ中継を意識したコート全体が収まるアングルで撮影。インベントの臨場感を伝えています。他にも、見てるだけで楽しい美術やヒット曲を踏まえたサントラなど、隅々まで手の届いた本作を劇場で体験して頂きたいです。

7/1『友罪』

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"少年A"を映画化。ニュースでは描かれない事件のその後。『友罪

ー"少年A"を映画に……
当時、14歳による殺人事件である「神戸連続児童殺傷事件」。通称、「酒鬼薔薇聖斗事件」ですね。この事件で有名になった"少年A"という表記。本作のキャッチコピーにも「心を許した友は、あの少年Aだった。」とあります。その少年Aの贖罪を題材にしたフィクションが現在公開中の映画『友罪』なんです。

ーコミュ障を演じる瑛太
本作は、とにかく豪華キャスト。もはや、芸達者たちの演技合戦なレベル。中でも、主人公の、駄々こねた子供のように喋るコミュ障の瑛太が素晴らしいです。一見して、やり過ぎるとドン引きなキャラを絶妙なバランスでリアルに演じてます。

ーもう一人の主人公……
もう一人の主人公である生田斗真が演じるのは、元記者。2人の主人公は、同じ日に工事へ入社。同期で同じ寮の為、親睦を深めていきます。決定的なのは、学生時代の自殺したイジメられっ子に瑛太が似ている……という事。同級生の自殺は記者になるキッカケであり、未だ、自殺した同級生の母親に会いに行く程のトラウマになっています。
それが、明らかに浮きまくってる瑛太への興味から友情へ変わり、さらに複雑な感情へと変わっていく機微を見事に表現している生田斗真。ジャニーズとは思えないです。観てる間、忘れてました。

元少年Aとどう接する?
で、なんで複雑な感情になっていくかと言うと、元少年Aだと解っちゃうんですね。山本美月の演じる元カノで元同僚の記者が、ある事件を調べており、生田斗真に相談して来ます。それが、瑛太の起こした殺人事件だったんですね! 写真を見て、「うわっ、これ、あいつだよ!」なんですね。そこから、2人の関係は友情と探りが同居したソワソワな関係に。

ー元AV女優の悲劇
その頃、瑛太はたまたま男に襲われそうになっていた夏帆の演じるメガネっ子を助けるんです。実は彼女、元AV女優。上京して元カレに騙され、AV出演。未だに、その元カレに追い掛けられ、脅迫されているというハードなバックボーンの持ち主。

ー加害者の父
さらに、これらのエピソードと同時進行で息子が殺人を犯した事で後ろ向きに生きるタクシー運転手役を佐藤浩市が演じています。未だに、被害者遺族への謝罪を繰り返し、出所した息子とは対立関係。
これらの人々による贖罪の群像劇になっています。

―こだわりの"現在"描写
本作のメガホンを取ったのは、『ヘブンズ・ストーリー』や『64ーロクヨンー』など社会派シリアス群像劇に定評のある瀬々敬久監督。これだけ過去に縛られた人々が登場しながら、瀬々監督は、頑なに回想シーンなどで安易に過去を語るような事はしません。あくまでも、現在の苦悩にのみスポット当て、登場人物たちの旅路を静かに見守る演出になっています。

確かに、不幸のつるべ落としのような作品ですが、普段の生活の中で、ニュースやテレビでは目の届かない部分に焦点を合わせているのが本作の魅力なんです。

7/1 あの有名な実話怪談がまさかの映画化『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』

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ー呪われた屋敷=ウィンチェスターハウスとは?
そもそも「ウィンチェスター」とは銃のメーカー名。連射可能という当時の最新型だったウィンチェスターライフルは殺傷力バツグン。アメリ南北戦争では、多くの命を奪いました。
所がその後、創業者のウィンチェスターさんと産まれて間もない娘を立て続けに亡くしたウィンチェスター夫人。これは何かヤバイと確信。霊媒師に相談すると、「一族に起きた不幸は全てウィンチェスター銃で命を落とした亡霊たちの仕業。彼らを閉じ込める屋敷を拡大し続けよ!」とのハード過ぎるお告げを頂くんです。
それを素直に受け止めた夫人は、巨額の財産をフル活用して、ウィンチェスターハウスを建設。
夫人が生きてる間……、つまり38年間、24時間体制で増築を繰り返しました。1906年のサンフランシスコ大地震で一部倒壊により、ちょっと小さくなったものの、最盛期には7階建て、500部屋、東京ドーム14個分に拡大。
そんなけデカい上に、中身も狂った構造なんで、これがまた怖いんです。「どこにも行き着かない階段」、「床に向かって開く窓」、「迷路のようなホール」、「隠し部屋」、「秘密の通路」、「天井に届く階段」などなど、常人には理解できない摩訶不思議な構造に。
夫人は残りの生涯を喪服で過ごし、霊の供養に努めましたが、屋敷での幽霊の目撃談や怪現象は後を断たず……。

ー有名な実話怪談をどうやって映画に?
どう考えても、どうかしている夫人ですが、そこが本作のキーなんです。
ウィンチェスター社の経営陣は夫人の精神不安定を理由に経営権を奪おうと、主人公である精神科医に鑑定を依頼。半ばムリヤリ屋敷へ連れて来られます。ただ、この精神科医、奥さんを亡くした過去があり、現在は絶賛アヘン中毒。さらに、「幽霊なんて非化学的」と幽霊を全く信じていないお方。故に、好奇心で「ダメ」と言われてる事を次々に実行。挙げ句、怪現象や幽霊が出ても「ヤバッ! アヘンやり過ぎた」と死亡フラグに気づかない始末。
こうして、ウィンチェスター夫人の精神鑑定ミッションに取り掛かりながら、うっかり様々な屋敷の秘密も見つけつつ、悪霊に殺されそうになる……という最恐お化け屋敷ムービーが完成しました。

ー心霊スポットで実話怪談に挑むスタッフ
本作のメガホンを取ったのは、『ソウ』シリーズの新作『ジグソウ:ソウ・レガシー』を監督した双子のスピエリッグ兄弟。サスペンスフルなSFアクションを作ってきた兄弟が、アクションを封印。怪現象を緊迫感たっぷりに描いています。
また、ウィンチェスター夫人を演じるのは、『クイーン』でアカデミー賞を受賞したヘレン・ミレン。怪しいけどマトモなのかイカれてるのか解らない絶妙な芝居で好演してます。
ちなみに本作、一部シーンでは実際のウィンチェスターハウスで撮影。撮影中にも怪現象を幾人のスタッフが目撃。しかし、心霊スポットで心霊映画を撮るというのは、どんな気持ちなんでしょう?
暑い夏を本作で乗り切るのも逸興。


『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』
★★★☆☆
星3つ