ユンギボの日記

ネタバレなしの映画感想日記。

2017.5.27 『ろんぐ・ぐっどばい 探偵 古井栗之助』

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2017.5.27

『ろんぐ・ぐっどばい 探偵 古井栗之助』を観賞。

まず映画好きな人間がみんな、ロバート・アルトマン監督の1973年公開の『ロング・グッドバイ』って映画が好きなんですよ。で、本作はこの映画にオマージュを捧げたというか、インスパイアされた作品なんですね。

監督はピンク映画界の鬼才=いまおかしんじ監督です。いまおか監督と言えば、ピンク映画でも、ちょっとファンタジーな世界観の作品が多いですね。お洒落なんですよね。だから、女性も見やすいというか、女性ファンも多いですね。「私、ピンク映画も見るんですよー」とか言うサブカル女は大体、「いまおかしんじとかー」って言いますね。まぁ、それはいいんですけど。ピンク映画として作った映画が評判になって一般の劇場でも公開されたりしてますね。最近では一般映画も監督してたり、その他にも山下敦監督とかの脚本も書いてたりしますね。まさに鬼才ですね。

本作は、そんないまおか監督の一般映画。『ロング・グッドバイ』の世界観はそのままに日本へ置き換えたような映画なんですけど、基本的には林海象の世界観にソックリでした。『私立探偵 濱マイク』の世界観ですね。親が失踪していて施設育ちとかね、おねーちゃん達のいる店(恐らくデリヘルの事務所か何かですかね)に顔が効いたり。あと『傷だらけの天使』の岸田今日子みたいな人も出て来ますね。教会を運営していて、人探しとかの仕事を主人公に回したりしてるんですね。「うるせー、ババァ」とかって罵り合ったりしてね。最近はこーゆーハードボイルドものって無くなってきましたね。『探偵物語』とか。似ていて当たり前。全部、大元はアルトマンの『ロング・グッドバイ』なんですね。松田優作は『探偵物語』をやる時、かなり『ロング・グッドバイ』を意識してるんですよ。なにせ、映画を暗記して、1人で演じられたってくらいですからね。『鮫肌男と桃尻女』の浅野忠信とかも、もしかしたら影響を受けてるかもしれないですね。『ロング・グッドバイ』はNHKで日本に舞台を移したドラマ版を作っていて、その時の主人公を浅野忠信が演じてますね。

そもそも『ロング・グッドバイ』ってレイモンド・チャンドラーって作家の書いた「長いお別れ」が原作なんです。フィリップ・マーロウという探偵の登場するシリーズの一遍です。同じマーロウの作品でも「大いなる眠り」って小説がハンフリー・ボカート主演で映画化(映画のタイトルは『三つ数えろ』)されてます。あと有名な映画化作品はロバート・ミッチャムがマーロウを演じていた『さらば愛しき女よ』ですね。この時のミッチャムのぼやきが最高でした。大好きです。

原作は1920年代とかなんですけど、アルトマンの『ロング・グッドバイ』は製作された1970年代が舞台になってます。全体的にベトナム戦争中の暗い雰囲気。ヒッピーとかがワラワラ出てきます。上裸のおねーちゃん達が踊ってたりするんです。この時のマーロウ役はエリオット・グールド。同じアルトマン監督の1970年の『M★A★S★H マッシュ』では朝鮮戦争を舞台にヒッピーなアメリカ兵役でしたね。『ロング・グッドバイ』のナヨナヨしたしょぼくれた感じは原作ファンからは大不評でした。スーツとかもヨレヨレで。ただ映画ファンからは好評。コーエン兄弟とかウェス・アンダーソンとか好きですよね。原作の翻訳は村上春樹がやってますね。「影響を受けた」と言って。

本作も、そんな『ロング・グッドバイ』の好きな気持ちが画面に溢れ出ていましたよ。他作品と見比べながら観ると、色々と比較できて面白いですね。

『ろんぐ・ぐっどばい 探偵 古井栗之助』

★★☆☆☆

星2つ

2017.5.27 『美しい星』

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2017.5.27

 

『美しい星』を観賞。

監督は『クヒオ大佐』や『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督。オフビートな笑いを無機質なタッチで描く作風の監督ですね。CMディレクター出身なので、無機質さの中にスタイリッシュさもありますね。ユーモラスな演出が印象的。そこで本作。原作は三島由紀夫なんですね。しかもSF。この組み合わせが違和感を感じるかもしれません。なんで吉田大八監督はこの作品を映画化したのでしょうか?

本作は東京郊外に住む家族が主人公なんです。

お父さんが、当たらない事で有名な天気予報士役のリリー・フランキー。もうこれだけで面白そうですね。本作の冒頭、夜中にリリーさんが車で帰る途中に意識を無くすんですね。運転中ですよ。突然。危ないですね。でも、朝、目を覚ますと畑の真ん中に車がハマってる。全然、違う場所ですよ。バカそうなADが「それ宇宙人の仕業ですよー」とか言い出すんです。そこから宇宙人について調べ出す。そーこーしているうちに「自分は火星人だ」と言い出すんです。

飛んでもない話ですねー。この映画、面白いのが、家族の揃うシーンが全然、出て来ないんです。

息子役は亀梨和也くん。自転車便のバイトしてるフリーターなんです。彼は惑星が迫って来るビジョンを見て「水星人だ」と言い出す。

娘役の橋本愛ちゃんは路上ミュージシャンの音楽を聴いて「金星人だ」と言い出す。

でもね、他の家族が何をしているのかとか、「○○星人だ」と言い出してる事とかは知らないんですねー。同時進行なんです。同じ家に住んでる家族なのに、あまり同じ場所にいるシーンがないんですねー。これが本当に宇宙人になっちゃったのか、或いはただの妄想や幻なのかハッキリしないままストーリーが続いて行く辺りはミステリー要素なんですよ。

もっと大変なのが、お母さん役を中嶋朋子が演じてるんですけど、お母さんだけは覚醒しないんですよ。その代わりと言ってはなんですが、ネズミ講にハマっていきます。普通なら家族が、お母さんがネズミ講にハマってたら大事件になる訳です。でも、他の家族が「自分は宇宙人だ」とか言ってますからね。

この映画、極端に説明がないんですよ。吉田監督は「何の理由も示されないまま家族が全員が宇宙人として覚醒して、そこから圧倒的に美しい言葉が精繊に組み上げられていき、最後にそれをまとめて叩き出すようなラストがある。入り口と出口の狂いかたと、その間の醒めた目線のギャップというかバランスが、滅茶苦茶かっこよかった。」と原作の魅力を語っています。また、脚本の執筆に関しては「三島が1962年に書いた小説の舞台を2010年代に置き換えるということは、『もし今、三島由紀夫が生きていたら、世界は彼の目にどう映るのだろう?』と想像することだったんですね」と答えています。

そして、もう1人の宇宙人役なのが、瞬きをしない佐々木蔵之介。メチャクチャ怖いです。

『美しい星』

★★☆☆☆

星2つ

2017.05.22 『カフェ・ソサエティ』

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2017.05.22

『カフェ・ソサエティ』を観賞して来ました。

コメディやロマンス、サスペンス、ラブストーリー……。様々なジャンルの映画を作ってきたけど、自作からロマンチストが滲み出ているウディ・アレン監督の最新作です。今回は、黄金期の1930年代のハリウッドを舞台にした大人のラブ・ロマンス映画。なぜ1930年代のハリウッドなのか? 今回のウディ・アレン監督の大人だけがグッとくるロマンチックな狙いは何なのか? ネタバレなしの範囲でお話しします。

そもそもタイトルの意味は、1930年代の都会のお洒落なレストランやクラブへ、毎夜、繰り出すライフスタイル、セレブリティの社交界の事。そーは言ってもウディが過去を描くのは初めてじゃないです。ドキュメンタリー風の偽アメリカ史コメディ『カメレオンマン』は20年代~30年代のニューヨーク。映画の中の人物が現実に出てきちゃう珍騒動ファンタジー『カイロの紫のバラ』は大恐慌時代のニュージャージー。自分の幼少期をスケッチした『ラジオ・デイズ』は第二次世界大戦の開戦間もなくだし、コミカルなサスペンス『ウディ・アレンの夜と霧』は1920年代のヨーロッパ。全部、暗いんですよね。お金のない人々の生活を描いていたんですよね。2011年のタイムスリップ・ファンタジー『ミッドナイト・イン・パリ』は1920年代のパリが多少、きらびやかでしたね。今回は超派手。

主人公はユダヤ系アメリカ人の青年なんです。主人公役は童貞を演じさせたら天下一品、『ソーシャル・ネットワーク』でザッカーバーグ役だったジェシー・アイゼンバーグ。ハリウッドで成功している叔父を頼って会いに行く。すると、プール付き大豪邸でパーティーやってる。様々なスター俳優や映画界の大物、政治家たちが来てるんです。今までのウディ作品ではピンポイントな場所しか描いてなかったですよね。本作では億万長者。貧乏な家庭。ギャング。もう様々な人々が出てきます。一つの時代を多面的に描いてますね。しかも、構成が上手い。上手いのに巧みだから上手さが伝わりにくい地味な上手さ。

田舎者の主人公は叔父の秘書を紹介されるんですね。メチャクチャ美人。で、ロス観光とかに連れて行ってくれるんですね。案の定、主人公は惚れちゃうんですよ。当たり前ですよね。『パニック・ルーム』の子役、クリステン・スチュワートが演じてますね。ちょっと切れ長の目で美形の顔だち。スタイル抜群。本作のスチュワートのきらびやかな衣装のいくつかは本作の為にシャネルが作っているんです。手足長いから何でも着こなしてしまう。しかも、嫌味じゃない。でも、そんな彼女にはある秘密が……。ここからは運命のイタズラ。ロマンチストなウディ監督のタイミングのスレ違い。甘酸っぱいロマンスが全開。“もしも……„の先を描いてる辺りが大人には刺さります。

実は長いスパンの出来事を描いてて、物語の後半で主人公はナイトクラブを経営するんです。実際、当時のニューヨークは人種差別が厳しかったらしいです。所がバーニイ・ジョセフィンというユダヤ人が1938年に様々な人種を受け入れるナイトクラブを作ったっていう実話があります。恐らく、その話がモデルになっていると思われます。ウディはこーいったエピソードや時代背景を盛り込む事により、当時の雰囲気を映画の中で再現しようとしたのではないかと思います。

ウディのインタビューでも「ニューヨークの歴史においても最大級にエキサイティングだった時代で、とてつもなく素晴らしい劇場、カフェ、レストランが存在した。」「あの時代はずっと僕を魅了し続けている」と語っています。

その再現の為、当時の雰囲気のあるバーのレイアウトや階段の作りなど何年も探し回っていたらしいですね。

美術を担当したサント・ロカストはインタビューで「ウディは我々が正確さに固執しすぎて、彼の視覚に訴えかけない舞台装置を作ったりしないか、常に気に掛けていた」と語っています。

また、そんな作りこんだ世界観を美しく見せる本作の撮影監督はイタリア出身のヴィットリオ・ストラーロ。映画好きには有名な人です。『地獄の黙示録』とか『ラスト・エンペラー』なんかで3回アカデミー賞受賞してる人です。今回、初めてデジタルカメラで撮影してます。長年、デジタルカメラでの実験を重ねてきて、やっと満足いくレベルに達したから使ってみることにしたとの事。見てみるとフィルム撮影にしか見えない。むしろ、フィルムっぽさを意図的に演出してましたね。「満足いくレベル」とは、後処理の簡単なデジタルで撮影して「フィルムっぽさを出せるレベル」の事だったのでしょう。

まさに、いつものウディ作品のテイストを残しつつ、新たなことに挑戦しているのが本作なんです。

『カフェ・ソサエティ

★★★★★

星5つ

2017.05.06 『フリー・ファイヤー』

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2017.05.06

フリー・ファイヤー』を観賞して来ました。

 これは久々に頭の悪い映画でした! 全編銃撃戦! だけど密室劇! 訳わかんないですよね?

 1978年のボストンを舞台。チンピラ系ギャングと武器商人の組織が廃工場でライフルのお取引。そーなんです。この映画、全編、この廃工場から誰も出ません。映画が終わるまで出れません。回想シーンもありません。どーです? 潔いでしょ?

 で、もの凄いピリピリしてんですよ。大体、危ないお取引はピリピリしますよね? そもそも危ないんだから。でも、本作は最初っから、すぐ揉めそうになるんですよ。やれ「なんだ、お前のそのダサい服は?」ですよ。挨拶代わりですよ。「揉めるかな?」と思わせて、ギリギリで落ち着いたタイミングで次の火種が……。挙げ句、「M16を頼んだのに、これはAR70じゃねーか?!」ですよ。性能も弾も同じなんだから、どっちだっていーじゃん!! すぐ怒鳴り合い。

 「そこでか!!」という理由で全員強制参加の銃撃戦へ発展!! ブラジル帰還兵やブラックパンサー党員やらキャラの濃いメンツがひたすら銃撃戦!!

バカたちが子供のケンカのように撃ち合います。バカバカしいけど、バカしかいないから次の展開が読めない!!

ユーモラスな中で、最後まで誰が生き残るのか解らないサスペンス要素も追加。

 この映画、『ハイ・ランド』を撮ったベン・ウィートリー監督なんです。とても同じ人の作品とは思えませんね。インタビューで本作を作るキッカケは80年代にマイアミで起きた事件のCIAの報告書。そこには約40分間の銃撃戦の記載を見つけたそーな。

「ハリウッドで作られるアクション映画が、いかにリアリティーがないかってことを知ったんだ。40分も銃撃戦をやってれば弾が当たらないこともあるし、ミスって仲間を撃つこともある。」との事。

 確かにそんな映画でした。中味が銃撃戦しかない。ベン・ウィートリー監督の目指したのは『仁義なき戦い』のアクション・シーンらしいです。深作欣二、スゲー。

フリー・ファイヤー

★★☆☆☆

星2つ

2017.04.29 『バンコクナイツ』

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2017.04.29

バンコクナイツ』を観賞して来ました。

 3時間がとにかく長い!! そして、登場人物が多い!! でも、有名な役者が出てないから、誰が誰だか。話の脈略も無いから、話も追えない。辛かった!! 正直、ドラマとかで観たかった。

 でも、そんなの関係ないのが本作の魅力。ストーリーとかどーでもいー訳ですよ。

 タイトル通り、舞台はバンコクの日本人専門の歓楽街。タイ人娼婦とタイに暮らす日本人の恋愛というか腐れ縁のような関係をベースにタイの人々の日常や風習がシチュエーション的に描かれていくんです。そこにはタイに移り住んだ日本人たちの金や性への私利私欲が渦巻いてるんです。だけど、押し付けがましくは見せません。なんとなーくで、嫌ぁーな感じでチラ見せ。逆に重たいっていう。

 本作の富田克也監督は製作のキッカケを

「“タイ”をたぐりよせることによって得た、「アジアの中の日本」という視点から始まった」

と語っており、これはとても面白いですね!

日本人って隣の人が自分の事をどのように思っているかは気にするのに、隣の国の人がどう思っているかは気にしませんもんね! そーゆー意味でも『バンコクナイツ』は見る価値のある映画なんですね。

 さらに心に刺さるのは映像の美しさ。何気ない日常が美しい。夜の歓楽街。畑の続く道。場末感のあるバー。そんな風景が美しいんですね。

 本作は準備期間は4年。監督は脚本を書いてる段階から、ちょこちょこバンコクへ取材に行き、撮影に入る1年前にはもうバンコクに移り住んでいたというからトンデモない映画ですよ。そのお陰で土着の匂いがプンプン感じられます。それだけあって、本当にタイの色んな顔を映し出しているんですよ。

 しかも、劇中に登場するタイの人々は本当にそこで生活する人々(要は素人さん)にほぼ本人役みたいなキャラを演じさせているから、もはやドキュメンタリーのようでもあるんですね。さらに、音楽も現地のミュージシャンの曲や歌を使用。これは旅行にいった気分になれますね。

 さらに驚いたのは本作のパンフレット!! 「本編に出てきたっけ?」というようなタイの歴史や風習、習慣について細かく触れられているんです。「ちょっとした観光ガイド本かな?」ってくらいの充実の内容。写真も豊富で劇中の美しい場面のスチールも収録されています。これは久々に凄いパンフでした!!

バンコクナイツ』

★☆☆☆☆

星1つ

2017.04.16 『お嬢さん』

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2017.04.16

『お嬢さん』を観賞して来ました。

 韓国発のエロ映画でした。エロい。とにかく、エロい。レズ映画です。ユリユリです。みんな好きなんでしょ?

 ミステリーとしても面白い映画でした! なんせ原作は「このミステリーがすごい!」で1位になった『荊の城』!

しかも、本作は『JSA』とか『オールド・ボーイ』のパク・チャヌクだからシリアス演出お手の物。ちなみに、原作の『荊の城』はBBCのドラマで映像化されてるんです。それを見たパク・チャヌン監督が「こんなん全然、つまんねー! 俺の方がもっと面白く作れるし!!」と映像化したのが本作なので、気合が違います。

 舞台は日本が占領していた頃の朝鮮。だから、韓国の俳優しか出てこないのに日本語のセリフばかり。

詐欺師の女が金持ちのお嬢さんの屋敷へメイドとして潜入。騙して金を奪うつもりが、感情移入してしまい、ユリ展開へ。

 バレちゃうんじゃないのというサスペンスとお嬢さんに惹かれていく人間ドラマ。所が、潜入ミッションのラスト、「えっ?! どーゆー事?!」ってシーンで唐突に場面が変わるんですよ。何だ?何だ?と思っていたら、本作は3部構成だったんですね。

第1部は詐欺師の変装したメイドの目線。

第2部では話をさかのぼり、お嬢さんの目線で同じ話をやり直すアナザーストーリー。ここで新たな新事実が発覚。

第3部はすっかり2人に感情移入できちゃった状態で、「この後、2人はどーなっていくんだろう?」という、“その後”のお話。

 もう目が離せなくなるドンデン返し展開の連続! 観てるコチラもヒヤヒヤ!!

 そして、エロい。とにかく、エロい!! ヒロインのお嬢さん役のキム・ミニがとにかくエロい!! 全身から溢れ出す清楚で儚げな雰囲気!! それでいて脱ぎっぷりの良さ!!
 後半はかなり過激なレズプレイ満載でセックス・シーンだらけです。でも、エロ文芸テイストなのでエロの中に美しさありって感じのお洒落エロ!!

 それだけではなく、お嬢さんは屋敷の伯爵に朗読会へ強制参加させられているんです。卑猥な言葉がバンバン出てくるエロ小説を読ませて見世物にしてるんです。しかも日本語で。だから、日本のテレビではNGなワードがバンバン出てきます。ねっ? 伯爵、悪い奴でしょ?

あと、等身大の人形とお嬢さんを天井から吊るしてセックスを模してる風のシーンがあったんですけど、あれは全く解んなかった(笑)

 パンフは肝心なシーンの写真少なめ、解説あっさり路線だったので、本作を気に入った人だけが買えば良いと思います。

『お嬢さん』

★★★★☆

星4つ

2017.04.16 『哭声/コクソン』

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2017.04.16

『哭声/コクソン』を観賞して来ました。

 閉鎖的な村を舞台に偏見と噂話の溢れる中、自らの家族をぶち殺す事件が連発。挙げ句、死人がゾンビよろしく生き返ったり、悪魔祓いに祈祷対決と超オカルトな内容。土着質な作風は昔の角川映画を思い出させますね。韓国製の超スリラー・ホラー映画です。韓国で大ヒット。日本人俳優から國村隼が出演。しかも韓国で賞を獲りまくりですよ。凄いですね。『ブラック・レイン』でリドリー・スコットの作品に出て、『キル・ビル』でタランティーノ北野武の作品から黒沢清園子温三池崇史是枝裕和。『シン・ゴジラ』にも『寄生獣』にも『進撃の巨人』にも『ちはやふる』にも『相棒』にも出てくる。次回作には『ジョジョ』と『鋼の錬金術師』って、もう笑ってしまうわ。

 しかし、これは大変な作品でして。何が大変って意味が解らない。……というか、意味が解らないように作ってあるんですね。これはキューブリックの『シャイニング』と同じ作りですね。キューブリック監督はあえてオチを意味不明にする事で見終わった後にも恐怖を維持させようとしたんです。謎が残るから怖いってやつ。

 とは言え、全く意味がないムチャクチャな作り方をしてるのかと言うとそんな事はないんですね。いや、ないらしいです。本作のナ・ホンジン監督いわく、キリスト教で身近な人が死んだ時に神の不条理みたいな事を考えまくって本作を作ったとインタビューで答えてます。だから、「イエス・キリストの復活を現代風に解釈した」とか「コクソン(村の名前)をイスラエルに見立てて作った」と話してました。実は色んな所にキリスト教のモチーフが混在しているんです。でも、絶対わかんねーよって話ばかりなので、そーゆー話は見終わった後にでも町山智浩さんの話とかキリスト教ウンチクの得意な人のブログでも読んで下さい。

 そーゆーバックボーンを抜きにして見ると、なかなか面白いB級映画。まず主人公がバカ!! 町の警官なんです。映画の冒頭、殺人事件が起きたと連絡が来るんです。所が、お母さんに「朝飯を食って行け」と言われておとなしく食べていく。そんで上司に「遅いぞ」と怒られてる。どうですか? 好感度高いボンクラですよね?

そんな主人公がエグい地獄絵図に出くわしてしまうんですけどね。

 そもそも、この映画に出てくるキャラクターって、善人だと思ってた人間が悪い奴っぽくなっったり、良い事だと思ってやった行動が悪い事に繋がったり、そんなんばっかり。これまた監督いわく「ある瞬間には「善」と思えた相手が、10分後には「悪」に変わってしまう。20分経つと隠された意外な一面が判明し、また違う表情が見えてくる。何度も何度も繰り返し「あなたはどう思う?」と問い続ける映画になっているんだ。」との事。実際、劇中でも「お前がそう思うならそうなんだろう」というセリフが頻繁に出てきます。宗教家の作る映画は説教臭い映画が多いですね。

 そんな事よりも、ボクが凄いなと思ったのは、こんなにも意味不明な映画が韓国で大ヒットしたって事ですよ。

パンフの小倉紀蔵京都大学教授)の解説によると、韓国ではシャーマニズムが一般的に社会の生活に溶け込んでいるとの話でした。劇中に登場する祈祷師とか家族の様子がおかしいとシャーマンに相談してみるという描写なんかがリアルなんでしょうね。撮影に6ヶ月も掛けた本作は、その祈祷のシーンで使う小道具とか美術も本物を集めており、実際の儀式で使われる物ばかり。雨や霧のシーンなんかは本当に天候が変わるのを待ったという頭おかしい体制で作られてます。それだけに細かい所まで見応え抜群。本物感が伝わってきます。そこら辺もヒットの要因なんでしょうね。

 パンフは上記の小倉先生の解説やプロダクションノート、監督や國村隼のインタビューが掲載されていますが、「映画秘宝」のインタビューより薄め。映画を観賞した人の疑問にも答えてくれない内容なので、ネットサーフィンで調べた方が納得のいく答えが見つかりやすいと思います。

『哭声/コクソン』

★★☆☆☆

星2つ