ユンギボの映画日記

ユンギボ(@yungibo)によるあらすじ紹介、ネタバレなしのレビュー、解説・考察をお届け‼

ショーケンのパロディシーンに爆笑『ガラスの知恵の輪』第四話(#33)

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主人公ハチは、ヒロイン=ユカが隠れている友人の家へ。久々の再会。ユカの言伝を熱愛が報道された相手の男優の入院する病院へ届ける事に。

石原裕次郎からの代理のフリをして、病院へ潜り込むシーン。花束を渡すショーケンの口から「あっ、これボスからです。体だけは丈夫ですから。ちょっと太りました」というセリフが笑えます。『太陽にほえろ』でマカロニ刑事を演じていたショーケンだからの笑える感慨深いシーンになってます。

さらに、本話では、パントマイムも披露してくれるショーケンですが、正直、サッパリ上手いのか解らなかったです。

本話では、ユカのマネージャーがユカのハチの足取りを追う。一方のユカは、ハチの里帰りへ着いていく。勿論、倉本聰 作品の故郷と言えば北海道・小樽。

痴呆で大量の知恵の輪の発注を受けたと勘違いしているハチの父親とハチのドラマが切ないのが本話のメイン。ここら辺の家族ドラマの手堅さが倉本聰 作品という感じ。そこへショーケンの行き場のない感情の芝居が追加。やるせない気持ちになります。

星2つ
★★☆☆☆

スキャンダラス女優、逃亡『ガラスの知恵の輪』第三話(#32)

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ヒロインの人気女優ユカの兄貴がヤクザと判明。主人公ハチの部屋へ泊り込んでいた兄貴。その記事の載った新聞を兄貴が読んでしまう。
ゲイだと解ってる上に、ハチへ朝ご飯を作ってくれるのが怖いし、ショーケンの怯えようが笑えます。

コミカルシーンは、ここまで。ヤクザの兄貴は、テレビでノウノウと熱愛の事やヤクザ批判など、ユカの報道について語る熱愛相手の男優の姿に腹を立てる訳です。そして、ついにその男優を刺す事件を起こしてしまうんです。
さらに、第一話に登場したハチの友人の記者が再登場。実は、ハチの告発で手に入れた金を病気の子供に使っていない事が発覚。それ所か、「安西ユカをオレにも紹介しろ」と言ってきて、ブチキレ!!

落ち込んでいたユカが参加する、茄子に恨みを込めて揚げる謎の“茄子の呪い揚げ”なる儀式のシーンもおかしい。岡田眞澄が黙々と喋りながら茄子を揚げてる側で、キャキャやってる岸田今日子。全体的に浮いてる異様なシーンでもあります。

行方をくらませたユカ。ハチはボケが始まって、荷物を送ってくる父親への心配を募らせる日々。
そんなある日、ユカの妹クミと再会するハチ。久々にユカと電話で話す。様子のおかしいユカ。そこで次回へ。


星2つ
★★☆☆☆

ヤクザの兄貴と人気女優の妹『ガラスの知恵の輪』第二話(#31)

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前話で連絡先を交換した主人公ハチとヒロインの女優ユカ。ユカが忘れて行ったカバンを届けた所から、ハチはメッセンジャー役を買って出る事に。
熱愛相手の男優へ手紙を届け、逆にユカへの言伝を受けて。さらに、ユカにはムショ帰りの兄貴がいると判明。そのヤクザの兄貴への連絡係にも。
行き掛かり上、ヤクザの兄貴と行動を共にする事になったハチ。

ユカのヤクザの兄貴役を演じるのは、なんとガッツ石松。パンチパーマで母の死に泣く姿は、思わずグッときてしまう。

そんな中、売店の女性に、香典袋の代筆を頼むシーン。「私、字、汚いわよ」「どんなに汚くても、俺より汚い訳ないから」というヤリトリ。心の声で「俺より汚ねぇ字」というのが笑えます。
さらに、ヤクザの兄貴はゲイで、ホステスたちが噂する中、ハチに「今日、泊めてくれ」という流れも最高!! こういう所で笑いを取ってくる倉本聰の脚本にグッときてしまいます。

また、ユカの兄貴に付いてくるインテリヤクザ役の岩城滉一も、ゲームに夢中だけど、難しい内容を話していて、イイ味を出しています。

物語は、「女性の兄がヤクザ」という記事の載った新聞が届く所で次回へ。


星4つ
★★★★☆

しがないピエロが有名女優に急接近ドラマ『ガラスの知恵の輪』第一話(#30)

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TBSチャンネルで再放送されてたドラマ『ガラスの知恵の輪』を観賞。萩原健一 主演、倉本聰 脚本の豪華タッグが、本ドラマ。

街で客寄せピエロの仕事をしている主人公ハチ。そんな中で、記者をやっている友人の子供が病気に。金銭的に厳しいという相談を受けてしまうんです。
そこでハチは、街で偶然、キャッチした人気清純派女優=安西ユカの熱愛情報を教えてしまうんですね。それが、その後、まさかの展開へなっていきます。

そのスキャンダルによって、友人は金を手に入れるんです。所が、そのユカはマスコミに報道フルボッコに合ってしまうんです。
罪悪感満載のハチ。テレビ局の前で車を停めてたら、タイミング良くマスコミからユカが逃げてくる訳です。助けるんです。
車内の2人。実は同郷という事が発覚。仲を急激に縮めていきます。
そのまま、自宅へ送迎すると、なんとユカの母が病死。報道陣に囲まれた家。
果たして、2人はどうなるのか?!

ハチを演じる萩原健一ことショーケンの愚直さ、ヒョウキンさが全面に露出。ダサ格好良いショーケンの魅力全開!!
父への手紙がナレーションとして流れるシーンはショーケンの代表作『前略おふくろ様』を思い出させます。
そして、ヒロインの女優ユカを演じるのは、若かりし頃の大竹しのぶ。プリップリのお肌で、大人しく、お人好しな清純派女優を演じています。
倉本聰の脚本は、2人の周辺での人間ドラマを細かく描写。一般人と芸能界の内幕、マスコミの過剰報道などが描かれていきます。


星4つ
★★★★☆

カラスの力で蘇った不死身の男『クロウ/飛翔伝説』(#29)

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ザ・シネマにて【木曜洋画劇場版】(テレビ東京)観賞。

ハロウィンの夜。恋人と共に、チンピラたちに殺された主人公。1年後、カラスの力によって蘇り、不死身の力をもって、復讐を果たしていくカルト・ムービー。
もう、このストーリー説明だけで、突っ込み所が満載。なんですが、まぁ、それが本作の魅力。愛嬌。カルト・ムービーになった由縁なんですね。

何の説明もなく、土の中から出てくる主人公。なんで1年の時間経過が? どうして生き返ったの?? ボクらの素朴な疑問へはノーコメント。
本人も事情が解らない設定で、おぼろげな記憶から犯人一味の一人を迷わずブッ殺す!! 怖いね!!
撃たれても、刺されても、傷は自然修復。死なない体になってても、本人はあまり驚かない。些細。気の小さいボクの方がビックリ!!

面白いのは、街の“良い警官”へ「事件の概要を教えて!」と聞きに行く展開。2人のバディ要素追加。その際、触れるだけで、相手の記憶を見れるという追加能力も判明。特殊能力の割にトッポイ素の顔が可愛いクロウ。

どうやら、恋人の死は、立ち退きのサインをさせる為、街のマフィアの暗躍による事件と解ってきます。そこから、構図はクロウVSマフィア組織へ。その中で、街のアバズレや、その娘、警官たちとの人間ドラマ要素も追加。

これだけ「?」な本作ではありますが、悔しい程に主人公クロウがカッコイイ!! 中盤のマフィア組織の会合へ出向く銃撃戦のシーン。黒と白のコントラストが強調された画面。札束が飛び交う中、様々なタイプの銃が乱射。二丁拳銃で、次々とマフィア幹部たちを撃ち殺していくクロウが超クール!!

主人公のクロウを演じるのは、ブルース・リーの息子、ブランドン・リー。本作の撮影中に銃器の手違いで玉が発射され、その事故で死亡。本作が遺作に。28歳の若すぎる死も、当時、話題になりました。

本作の裏主人公と言っても良さそうなのが、街並み。街の情景カットは、恐らくミニチュアを使った特撮。昔のティム・バートン映画みたいな感じだと思います。

残念ポイントは、こんな追加増々な映画なのに、悪役が全く魅力的じゃない事。クロウの特殊能力の無効化にも成功するのに、格好良い訳でもなく、頭がキレる訳でもない……というラスボス。

【ソフト版】の吹き替えでは、クロウ役を池田秀一さんが演じていたのに対し、今回の【木曜洋画劇場版】は宮本充さん。池田秀一さんのシブさに対し、宮本充さん版には、ヒョウキンな一般人感があり、主人公に親近感が湧きます。素晴らしいですね!!


星2つ
★★☆☆☆

意味不明? 隠された名作ホラー『ザ・センダー/恐怖の幻想人間』(#28)

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東映ホラーチックなサブタイトルに惹かれて観賞。B級ホラーかと思ったら(実際にそうなんですけど)、画作りが雰囲気タップリで意外に楽しめました。

精神科へ運ばれて来た名前の解らない患者。仮にジョン・ドゥ(日本で言う所の“名無しの権兵衛”的な意味)と呼ばれ入院する事に。物語は、彼の主治医になった女医の視点で語られます。
今までの記憶も名前さえも解らないジョン・ドゥ。謎だらけの彼には隠された不思議な力が。それは、ジョン・ドゥの見た夢が、現実の世界の女医の前に幻として見えてしまうという。
全くもって、理屈の解らない力なんですけど、それが『サスペリア』的なやり過ぎビジュアルだったり、ゴシック・ホラー風だったりと全く気が抜けません。

さらにクセ者なのが、ジョン・ドゥの母親を名乗る女性。度々、女医の前に現れて、意味深な事を言うのですが、すぐに姿を消し、女医以外の誰も目撃していないんです。もう訳ワカメ。

全編に放置された謎と魅力的な画の力だけで観せ切った映画でした。とにかく説明がないんです。もはや、物語全体が悪夢のような一本で、観終わった後も引きずる気持ち悪さ。不気味さ。

星4つ
★★★★☆
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ゾンビより恐ろしいのは人間という答えホラー『死霊のえじき』(#27)

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Makuakeでのクラウドファンディングにて《配役交換》版の日本語吹替えは観賞していたのですが、今回、やっとソフト版の吹き替え版で再観賞。

世界中にゾンビが満ち溢れた世界。生き残った数少ない人間たち。地下のシェルターで細々と生活している軍人や科学者、技術者。

本作の魅力は、この閉じられた世界での、濃いキャラたちの人間ドラマ。

どーしよーもない程、下品な軍人たち。ゾンビを解剖して楽しんでいるイカれた科学者。自己中で気分屋な大尉。閉鎖空間でどんどん状況は悪化。

博士は、ゾンビを飼い慣らす研究をしています。その研究室で飼われているゾンビのバブ。どんどん学習していくバブ。博士に怒鳴られてションボリするバブ。ゾンビのバブが一番、まともに見えてくる不思議。意図的にそーゆー演出をしてるんです。

中盤はゾンビそっちのけで、ひたすら追い詰められた人間たちのドラマなんです!!

クライマックスは、追い詰められた兵士がテンパりを発揮!! 捕まえた研究用ゾンビを逃してしまいます。そのゾンビが他の兵士に噛みつきます。もうシェルター内はパニック!!

自らの体をエサにシェルター内へ大量のゾンビたちを呼び込む“ゾンビ・テロ”は圧巻!! 効果的な物量作戦が効果的!!

今回、ポニーキャニオンから販売されたBlu-rayにて、初めて吹き替え版が作られました。主人公のロリー・カーディルを本田貴子さん。イカれ博士を演じたリチャード・リバティ役を大塚芳忠さん。イカれ大尉を演じたジョセフ・ピラトー役を山路和弘さん。無線技師を演じるジャーラス・コンロイ役を千葉繁さん。もう安定の豪華メンツでした。
ワンシチュエーションな本作。豪華声優陣による演劇を観ているような楽しみ方も出来て満足!!

本作は、ゾンビの産みの親=ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作の3作目。ゾンビなるニュー・モンスターのデビュー作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。その続編で、ゾンビで消費社会を表現し、ショッピング・モールに逃げおおせた人々を描く『ゾンビ』。その流れで作られたのが本作。継続性は無いものの、初めて観た時は、3作目で「こう来たか!!」と唸らされました。

世間的にもゾンビファン的にも、あまり1位に上げる人は聞かないですけど、ロメロ監督のゾンビ映画では一番好きな作品です。ちなみに、2位は『ランド・オブ・ザ・デッド』なんですけど、こちらもあまりベストに上げる人と出会えないですねぇ。

星5つ
★★★★★
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臨死体験で戻って来たのは死んだ奥さんだったホラー映画『トゥ・ヘル』(#26)

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高速道路のマーケットを訪れた主人公ニコラス・ケイジ。トイレで首を締められている女性を救出。所が、何故か女性は逆ギレしてきます。そんなタイミングで電話に出ます。そこから「娘の意識が戻った」と病院へ急行。

解りにくいので説明します。彼女は過去に臨死体験を経験。交通事故で意識を失くした娘の為、もう一度、人口で臨死体験。娘を救い出そうと行きずりの男に金を渡して首を絞めてもらっていたと。

その事情を知ったケイジは、改めて首絞め。臨死体験のお手伝い。お陰で娘の魂は体へ帰還。
所が退院してきた娘の様子が変!! リアクションが遅かったり、ボーっとしてたり、ケイジに擦り寄って来たり。

面白かったのは、ここまで。この先はただただ下らないです。

ケイジには火事で妻と娘を亡くした過去あり。なんと臨死体験で、ヒロインの娘の体へ戻ってきたのは、ケイジの死んだ妻だった事が発覚!!
あとはヒロインと娘との三角関係へ。セックス三昧。
ニコラス・ケイジも酔いどれポンコツ親父の魅力を遺憾なく発揮!! どんどん壊れていきます!!

中盤はホラーっぽい音楽と違和感満載のカット割りで見せていくんですけど、何も起きないシーンが続きます。退屈!! 徐々に明らかになるトンデモ展開もサスペンス演出なんですけど、もはやコメディ!!
とてもつまらなかったです。

星0個
☆☆☆☆☆

大した事ないけど、たまに観たくなる映画第二弾『メジャーリーグ2』(#25)

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前作で優勝までいった主人公チーム。時間が経ってヘッポコへ逆戻り……という設定。「そんな事ある?」という疑問はこの段階で捨てて下さい。

一応、前作とは違った方向でポンコツ化した主人公たち。チャーリー・シーンはヤンキーを卒業。実業家風にイメチェン。ファンからの総スカンをゲット。さらにスランプに陥り、女とカウンセリングの往復する日々。
ブードゥーから仏教へ鞍替えしたデニス・ヘイスバート。だから、理由なんか考えたらダメなんですって。穏やかな精神状態を維持。全く打てないバッターへ。
前作のウィズリー・スナイプスからオマー・エップスへシレっと演者がチェンジ。野球の試合よりアクション映画への出演を優先。足を痛め、本気で走れない始末。
さらに本作から、オマー・エップスと対立する日本人選手タカ役を、“とんねるず”の石橋貴明が参入。

そして、前作の主人公を演じたトム・ベレンジャー。心臓発作で倒れた監督に代わり、新監督へ就任。選手たちの問題を解決していく構成。

チームが軌道に乗ってきてからの勝ち進むクダリは何のドラマも挟まず、ポンポン進んでいきます。もうノーストレスで、ただただ痛快!!

前作より絶対に質は落ちてるけど、パワーアップしてる雰囲気だけはお約束。

星1つ
★☆☆☆☆

ザ・シネマさんって神?『ハドソン川の奇跡』【ザ・シネマ新録吹替え版】(#24)

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冒頭から明らかに同時多発テロを意識した飛行機の墜落シーン。サラリと興味をカツアゲ。

事件の概要は伝えつつも詳細はまだ先。
墜落を無逃れ、乗客を救い、アメリカのヒーローになった機長が主人公。周りから崇められながらも、自分にミスがあったのではないかと疑心暗鬼。不安が一人の時間を侵食。飛行機の落ちる妄想ばかり見てしまうナーバスっぷり。観ているコチラも、主人公をどんどん疑ってしまうサスペンス要素。

事件発生時の回想と事件後の現在の話が行ったり来たり。構成が抜群に上手いです。テンポの良い編集から目が離せません。

焦らしに焦らし、後半は待っました解答編。クライマックスへ向けて、審議会シーンがスタート。事件発生時の機内コックピットのエピソードが語られます。一連で流しても素人には正しかったのか瞬時に解らないのがミソ。

時間を掛けて、しっかりと感情移入させてるから、審議会とか、もう他人事じゃありません。手に汗握って観るクライマックス。果たして。
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今回は、ザ・シネマさんの新録吹き替え版で観賞。今までソフト版に入ってなかったトム・ハンクスのフィックス声優の江原正士さんのバージョンが爆誕!! メチャクチャ良かったです!!
マジでザ・シネマ、ありがとうございます!! これからも着いていきます!!

星5つ
★★★★★
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トム・ハンクスは名作の保証?『アポロ13』(#23)

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本作の主人公を演じるのは、トム・ハンクス。公開時のポスターを観ると、当時、どれだけ人気があったのかが解りますね。『めぐり逢えたら』、『フィラデルフィア』、『フォレスト・ガンプ』と、トム・ハンクスが出ている事が名作の条件だった時代がありました。
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冒頭から主人公の“月への憧れ”をサラッと見せてしまう上手さ。この“思い”が伝わるお陰で、本作全体のドラマにシビれてしまうんです。そんな主人公がトントン拍子に月面ミッションへ。
月へ行く夫へエールを送りながらも、安否を考えると神経質になってしまう主人公の奥さん。そこら辺の側の人間のエピソードも見事に盛り込まれてます。「この奥さんが待っていてくる主人公」という目で本作を観ていくと感情移入はひとしお。

プロフェッショナルというより職人気質ながら、医者からのいわれのない病気宣告を受け、月面ミッションを諦めるゲイリー・シニーズ。代わりにミッション参加が決まったのはゲビン・ベーコン。完璧なシニーズに対し、訓練でミスを犯すベーコン。ここでミッションに不安要素を追加。この後のサスペンス要素を牽引。

そんなこんなで、いざ宇宙へ。世界初の月面歩行を提供してくれたアポロ11号の後のアポロ13号。テレビ局各局が宇宙からの中継の放送をお断り。それを知らされず、宇宙船内で撮影する主人公たちが切ないです。それが、この後、効いてくるとは。

前半では、訓練シーンを畳み掛けます。それだけに、宇宙空間へ行ってのあくしの数々が緊張感を捻出。「あれだけ練習したのに、訓練と違う」という思いを観客にも疑似体験。

酸素タンクの空気漏れ、二酸化炭素の充満……、次々とヤバめのアクシデント発生。素人にも解りやすくグッド!!
それらと同時進行で、地球上のNASA対策室の試行錯誤も描かれます。バックアップチームの人間ドラマも盛り込む事で、ミッションチーム全体のグループ感も増々。

マスコミや国民はアクシデント満載のアポロ13号のニュースに釘付け。結果、宇宙からのテレビ中継を無視した中継のエピソードが効いてきます。クルーの家族や関係者たちのドラマをラストへ行くに連れ回収。

満を持してクライマックスの大気圏突入、ラストの生還はあっぱれ!! ストレートに感動をプレゼント!! トム・ハンクス出演映画にハズレなし!!

本作には、ソフト版と日テレ版とフジテレビ版の日本語吹き替えが存在します。ソフト版とフジテレビ版でトム・ハンクスを担当するのが、フィックス声優の江原正士さん。ほとんどの作品でトム・ハンクスを吹き替えているので、江原さんの声を聞くとトム・ハンクスを思い出すほど。
また、ソフト版とフジテレビ版でケビン・ベーコンを吹き替えているのが安原義人さん。安原さんはゲイリー・オールドマンティム・ロスソン・ガンホメル・ギブソンカート・ラッセルメル・ギブソンビル・マーレイなど、様々なタイプの吹き替えを担当。なんと、『ウォルト・ディズニーの約束』や『幸せの教室』ではトム・ハンクスも吹き替えているので、江原版と聴き比べるのも楽しいです。

星5つ
★★★★★
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傭兵教師VSチンピラ生徒たちの麻薬戦争『野獣教師』(#22)

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『野獣教師』(#22)

第一線で活躍していた傭兵の主人公。しかし、時代は移り変わり仕事を失くしていきます。
教師をしているヒロインと再会。職場の高校で不良グループに襲われ、怪我をしてしまうのを知ります。
そこで、一肌脱ぐぞと裏社会フレンドに裏工作依頼。見事、職歴詐称し、教師として赴任。ヤンキーばかりのクラスを受け持つ事に。
ヤンキーどころかチンピラレベルの悪ガキ生徒たちと、ベテラン傭兵教師によるグレートティーチャー映画。

主人公の傭兵教師を演じるのは、名作戦争映画『プラトーン』でベテラン兵士を演じていたトム・ベレンジャー。なもんで、勿論、どんなチンピラ生徒たちが来ても圧勝。それどころか、本音満載の破天荒な授業で生徒たちのハートをキャッチ。異色学園モノへ。

中盤から、元警官の校長がチンピラ生徒たちを使い、校内で麻薬ビジネスに精を出していたというトンデモ展開が発生。デカいんだか狭いんだか解らないスケール感でお届け。

今回はフジテレビ版の日本語吹き替えで観賞。トム・ベレンジャーの吹き替えは、羽佐間道夫。好感と激シブを安定供給。敵のラスボス=アーニー・ハドソンを強面に吹き替えるのは内海賢二。ゴールデン洋画を思い出させます。

クライマックスは傭兵仲間を召集。校内マフィアたちを次々と倒していくスクール・ウォーズへ発展。銃撃戦アクションのつるべ落としで、もはや潔いくらいの別映画状態。そんかアホさ加減、嫌いになれません。

星3つ
★★★☆☆
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キングとロメロの悪ノリ見世物ショー映画『クリープショー』(#21)

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オムニバス形式ながら、全作品にジョージ・A・ロメロ監督印で安心して観れる『クリープショー』(#21)。

そもそも、どの話も原作者のスティーヴン・キングの思いつきみたいな話がいちいちB級テイストとマッチ。ホラーなのに、コミック感覚な作風が楽しく、ユーモラス。

そんな中、レスリー・ニールセンハル・ホルブルックエド・ハリスなどの芸達者な役者たちが出てきます。バカバカしい話をシリアス風味の芝居で見せてくれるのが楽しかったです。赤と青の照明が『サスペリア』っぽくて、カルト感満載。
挙げ句、調子に乗ったスティーヴン・キングや特殊メイクのトム・サヴィーニなど、裏方勢がノコノコ役者で登場。(本作のトム・サヴィーニの特殊造形は本当に圧巻でした!!)

海辺で首まで埋められた男女。徐々に満潮になっていくのを、じっくりと見せる。植物人間になっていく男をじっくりと見せる。箱から飛び出す怪物をじっくりと……。こんな調子で「こーなる、あーなる」の先読みをストレートに描写。それが、「待ってました」で気持ちいいです!!

星3つ
★★★☆☆
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大した映画じゃないけど、たまに観たくなる『メジャーリーグ』(#20)

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定期的に観たくなる全然、名作じゃない映画『メジャーリーグ』を観賞。

ボンクラ野球チームが勝ち上がっていく……という、よくあるサクセスストーリー。なんですけど、そのノーテンキな設定やケレン味しかない演出、細かい事を気にしない辺りがメチャクチャ楽しかったです。

勿論、弱小チームが勝っていく為に様々な試練を乗り越えていくストーリーライン。なんですが、とにかく登場するキャラが濃すぎ!! 下らないギャグ満載で悔しいくらい爆笑してしまいます。

中年のメジャーリーガーで別れた彼女への想いが断ち切れないでいるトム・ベレンジャー。刑務所あがりのヤンキールーキーのチャーリー・シーン。お調子者のウィズリー・スナイプス。

このキャラクターたちのドラマが中心のストーリーを支えてくれます。次から次へとアホみたいな事件が勃発。大して努力しているようには見えないけど、なんだかんだで感情移入。

笑いながらキャラクターたちの成長を観ているうちに、チームが勝ち進みシンプルな感動を生む訳です。

本作の構成的に面白いのは、主人公たちをフルボッコにしようとする敵チームが出てこないんです!! 本作の悪役ポジションは、主人公たちのチームの成金女オーナーなんです。チーム観客動員数を下回れば、本拠地の移転という話になり、その際に売り払ってしまおうと企んでいるんです。勿論、野球に興味なしで、金の事しか頭にないんだけど、どこかユーモラス。彼女が登場するとシーンがコミカルになっていきます。

そして、クライマックスの試合シーンへ突入。スローモーションで結果を見せる演出には展開が読めてしまっていても、ヒヤヒヤしてしまいます。

今回はソフト版の吹き替えで観賞。主人公のトム・ベレンジャーをコメディでは珍しい津嘉山正種さん。チャーリー・シーン池田秀一さん。ウィズリー・スナイプスを富山敬さん。もう安定メンツの吹替え芸まで楽しませてくれます。

脳ミソの休養に観たい一本です。


星5つ
★★★★★

ずっと不穏なホラー映画『エクソシスト』[ディレクターズ・カット版](#19)

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冒頭から、とにかく不穏。不気味な音楽&灰色の世界。何が起きているか解らないけど、いつ何が起きてもおかしくない重苦しい演出。

時間が経っても、どんなに進んでも、ストーリーは一向に進展しません。最恐の雰囲気映画。

リーガンの家での怪現象。カラス神父の信仰心を失いかけてるタイミングでの母親の病状の悪化。メリル神父が悪魔パズスの石像を発見。この三つのバラバラのエピソードが同時進行。

全くとっつきにくい内容ながら、ウィリアム・フリードキン監督による鬱で重厚な演出力により、見れてしまいます。

老けメイクを施されたマックス・フォン・シドーのおじいちゃん芝居が絶品。

星4つ
★★★★☆
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